うち上のぼる 佐保の川原の 青柳は
今は春へと なりにけるかも
=巻8-1433 大伴坂上郎女=
佐保の川風に打ち靡く河原の青柳は今は鮮やかに芽吹いて春の装いになっているだろう 。という意味。
「春べ(春方)」は「春のころ。春」のこと。
「にけるかも」は完了助動詞「ぬ」の連用形、+過去助動詞「けり」の連体形「ける」、+詠嘆終助詞「かも」=~なったなあ。
『万葉集』をはじめ古来歌にも詠まれた佐保川は、いまも奈良市民の憩いの場所として親しまれる。春日山中の石切峠にその源を発し、若草山の北側を流れ般若寺のあたりを経て、法蓮町や芝辻町など奈良市街北部を東西に流れ、近鉄新大宮駅の西側で南下、大和郡山市の額田部南町で大和川に合流する、総延長19kmの大和川水系の川である。土手には芝辻町から西九条町まで、約5kmにわたって1050本もの桜が植えられ、春には桜並木が美しい。
春の佐保川河畔は、柳青葉も美しく、万葉人のデートスポットでもあった。
また、当時の佐保川は河鹿のすむ清流であり、鳴く千鳥は平城京の人々に親しまれていた。
現在は、両岸を覆いつくす桜並木がとてもきれいだ。
万葉歌碑<クリックで拡大>
万葉学者の犬養孝氏の筆による歌碑である。
この万葉歌碑は、奈良市法連立花町佐保川堤北側 緑地公園内に建つ。
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