み吉野の象山(きさやま)の際(ま)の木末(こぬれ)には
ここだもさわく鳥の声かも
=巻6-924 山部赤人=
吉野の象山、山中の木々の梢では、あたり一面に鳴き騒ぐ鳥の声の何とにぎやかなことか。という意味。
聖武天皇が即位してまもなく、吉野に行幸した際、山部赤人はお供をしていた宮廷歌人である。
「み吉野の 象山の際の 木末には……」 山深い風景の中から、「の」、「の」、「の」の律動にのって、絞っていったところに、鳥がにぎやかにさえずっている。
静中の動、あるいは動中の静を体感できる歌である。
「象山」は奈良県吉野郡吉野町宮滝の下流南岸に見える山で、象山の谷間を流れる喜佐谷川(象の小川)を少し上流に行ったところに桜木神社がある。その境内に、この歌の歌碑がたっている。静寂とした境内はまさに歌にぴったりの場所である。
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