飛鳥への旅

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万葉アルバム(奈良):山の辺、桧原神社の幣(ぬさ)

2011年06月13日 | 万葉アルバム(奈良)

三輪山の 山辺真麻木綿(まそゆふ) 短木綿(みじかゆふ)
かくのみからに 長くと思ひき
    =巻2-157 高市皇子=


三輪山の山辺にある真麻の木綿は短いものだ。そのように命も短いものなのに、いつまでも長くつづく命だと思っていた。という意味。

「木綿」とは、ここでは神に捧げる幣(ぬさ)をつくるための麻の布のことで、三輪の山辺では短い幣が特徴だったようだ。
幣(ぬさ)は祈願をし、または、罪・けがれを払うため神前に供える幣帛(へいはく)。紙・麻・木綿(ゆう)などを使う。みてぐら。御幣(ごへい)ともいう。

十市皇女(とをちのひめみこ)の薨(かむあが)りましし時に、高市皇子尊(たけちのみこのみこと)の作りませる御歌三首の中の一首。
高市皇子と十市皇女はひそかに愛し合っていたといわれるが、結婚は許されなかったようだ。十市は大友皇子に嫁いだが壬申の乱で大友は死に、十市は父大海人のもとに戻り、肩身の狭い思いで生きる。伊勢神宮に入る事を父から言われたあと、突然亡くなった。自殺ともいわれている。
愛する人が突然、死を選んだという高市の無念の気持ちが、この歌に現れている。

この万葉歌碑は茅原の穴師川近くの山の辺の道沿いに建っている。
桧原神社は拝殿・本殿共になく、「三ッ鳥居」を通して、ご神体である「三輪山」を拝する形をとっている。写真中央右手に見えるのが幣(ぬさ)。

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