モウズイカの裏庭2

秋田在・リタイア老人の花と山歩きの記録です。

男鹿三山の花図鑑(4)晩春編

2021年02月21日 | 男鹿の花図鑑

(本頁は「(3)陽春編」の続きです。)

連休明けには男鹿の名花オオサクラソウが咲き出す。
男鹿三山はこの頃、一年で一番、花の種類が多い時期を迎える。また登山者も多くなる。

オオサクラソウ Primula jesoana
鮮やかな花を咲かせる大型のサクラソウで、東北では男鹿と白神山地、津軽半島の一部に産する。
男鹿では毛無山山頂部西斜面に生育し、遊歩道から容易に観察できる。
それなのにロープの中に踏み込んで撮影する人が絶えない。困ったものだ。

2020/05/15 オオサクラソウ



2019/05/14 オオサクラソウ                         2020/05/08 キクザキイチゲ
 


キクザキイチゲは山麓では三月から四月にかけて咲くが、山頂部では五月、オオサクラソウと同時期に咲いている。



フッキソウ Pachysandra terminalis

草ではなく、ツゲ科の小低木。毛無山山頂部に群生している。

2020/05/15



ミヤマカタバミ Oxalis griffithii
男鹿三山では中腹より上、山頂部に多い。

コキンバイ Geum ternatum
キジムシロ属 Potentiilla の仲間に似るが、ダイコンソウ属 Geum に属す。
根茎は地を這い、葉、花茎ともに根生し、丈が低く、他の似たような花と識別できる。
雑木林の林内に群生するが、男鹿ではそれほど多くはない。


2019/05/14ミヤマカタバミ                          2020/05/15コキンバイ
 
 



男鹿の名花オオサクラソウを紹介する関係上、本頁は毛無山山頂部に咲く花からスタートしたが、
この時期は麓の方にも花が多い。

一旦、下山し、山麓の五社堂から山頂部にかけて咲く花を列記してみる。


シャク Anthriscus sylvestris
早春の芽吹きは美しい緑色で、春のエネルギーを感じさせる。
草丈は1m前後になり、葉はフワフワとして、白い花は咲き揃うとけっこう見ごたえがある。
花が終わると、ただちに枯れて休眠する。生活史は
スプリングエフェメラルそのものだ。

2020/05/08



シソ科を三種類ほど。

オドリコソウ Lamium album var. barbatum

海岸近くなど山麓部に群生する。

ラショウモンカズラ Meehania urticifolia
名の由来は有名なのでここでは敢えて記さない。

国内自生のシソ科としては最大クラスの花を咲かせる。
園芸植物としても使えそうだが、普及しないのはランナー(走出茎)で増殖するせいかもしれない。
日本の狭い庭やプランターには収まりきらない花なので、山に置いて見るのが無難だろう。

2019/05/04 オドリコソウ                            2019/05/14 ラショウモンカズラ
 


ニシキゴロモ Ajuga yesoensis
キランソウやジュウニヒトエの仲間。

花は小さく白色でさほど綺麗ではないが、紅紫色を帯びた葉とのコントラストがいい。

2019/05/04



チゴユリ Disporum smilacinum

かつてユリ科だったが、現在はイヌサフラン科。

2019/05/04 中腹のブナの木                          2019/05/14 チゴユリ
 


キバナイカリソウ Epimedium koreanum var.koreanum

メギ科。日本海側に多いイカリソウの仲間。花色は淡い黄色。
この花が咲く山麓の道端にはシラネアオイの残花も多い。

2020/05/08



ルイヨウボタン Caulophyllum robustum
メギ科。葉の形がボタンの葉に似るのでこの名がついたと聞く。
なお「るいよう」とは類葉と書き、「葉が似る」との意味だ。


ルイヨウショウマ Actaea asiatica
キンポウゲ科。ショウマとは同じ科のサラシナショウマ(開花は秋)を指し、その葉に似るのでこの名がついた。
花は地味だが、夏以降は黒い実が割と目立つ。


2019/05/04 ルイヨウボタン                          2019/05/14 ルイヨウショウマ

 



ウラシマソウ Arisaema urashima
海岸近くなど山麓部で見かける。この仲間は中腹より上はキタマムシグサ?が多い。

ツルシキミ Skimmia japonica var. intermedia f. repens
ミカン科の常緑低木。茎の下部は地を這う。花は地味だが、実は赤く熟し、よく目立つ。

2020/05/08 ウラシマソウ                            2020/05/15 ツルシキミ(雄株)
 


ヤマツツジ Rhododendron kaempferi

男鹿に咲くツツジは本種と後出のムラサキヤシオの二種類。山麓に多いが、山頂部にも少し現れる。

2019/05/14
 



地味な花が少し続く。

タニギキョウ
Peracarpa carnosa var. circaeoides
 
クルマバソウ Asperula odorata

2019/05/14 タニギキョウ                             2019/05/14 クルマバソウ
 


ハクサンハタザオ Arabis gemnifera, Arabidopsis halleri subsp.gemmifera var.senanensis
丈は50センチ内外有るが、ヒョロヒョロとか弱いので、雨のあとなどはよく倒れている。
県内の他の山ではほとんど見たことが無い。毛無山の山頂部、遊歩道脇に多い。
 
ワサビ Eutrema japonicum
本山東斜面のスギ林に群生している。

2019/05/14 ハクサンハタザオ                          2020/05/08 ワサビ
 



キブシ Stachyurus praecox

2020/05/08



オオタチツボスミレ Viola kusanoana

湿った林に多い。タチツボスミレの仲間では大型で草丈は20センチを超える。
また多くの花が地上茎の途中から伸びる花柄に付く。 


ミヤマスミレ Viola selkirkii
毛無山では中腹から上に多い。花色が紅味を帯びる株もある。

2019/05/14 オオタチツボスミレ                                                                          2020/05/15 ミヤマスミレ
 



オクエゾサイシン Asarum heterotropoides

トウゴクサイシンと較べるとやや高所に分布。男鹿では毛無山や本山の山頂部に多い。
 
トウゴクサイシン Asarum tohokuense
かつてウスバサイシンとされたが、2007年以降、独立した種とわかり、新種として命名記載された。

2020/05/15 オクエゾサイシン                         2018/04/28 トウゴクサイシン
 



次は「(5)初夏編」。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 男鹿三山の花図鑑(3)陽春編 | トップ | 温室で寒をしのぐ。(2月6日... »

コメントを投稿

男鹿の花図鑑」カテゴリの最新記事