(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。)
鳥海山にはシシ神様(宮崎駿アニメ「もののけ姫」に登場)の住んでるような処が少なくとも二箇所はある。
ひとつは獅子ヶ鼻湿原。こちらは鳥海山の北面に位置し、行政区分上は秋田県にある。
もうひとつは南面に位置し、(行政区分上)山形県にある鶴間池(つるまいけ)だ。
この池はもののけ姫のアニメが世に出るずっと以前から気になっていた。
かつて山歩きしていた当時(1980年代)、鳥海山外輪山の高みから見下ろす機会が何度かあったが、
遠く山形県の八幡町(現・酒田市)から廻らないと入れない場所で、
当時は歩く距離も半端でなかったことから、ずっと行けないままでいた。
2008年10月18日の早朝5時半、ふと思い立って私は鶴間池に向かった。
鳥海高原ライン(鳥海公園青沢線)と呼ばれる立派な舗装道路を湯の台から滝の小屋入口に向かう途中、
たぶん一箇所だけ鶴間池を見下ろせる場所(展望所。クルマは数台置ける)がある。
この場所の標高は約1000m。
下の鶴間池は手の届きそうな位置に見えるが、200m近い標高差を下らなければならない。
非合法マップ
午前8時ちょうど。道標に従い、いざ出発。
はじめは明るく気持ちのいいブナ林だが、たぶん二次林だろう。
数分してブナの梢の切れ目から鶴間池が見え隠れするようになる。
この付近を「のぞき」と言うらしい。
更に進むと、鳥海山の本体がドンと望めるようになる。
上の方は穏やかな山容だが、下半身は随分と険悪な様相。
まもなく自らも険悪な下半身つながりの斜面を下って行かねばならぬ運命となる。
でも安心。岩場はうまく避けているし、急な斜面(ずっと続く)には鉄梯子やロープが切れ目なく整備されている。
このところしばらく晴天が続いているので、坂道は乾いており、何回転んでも泥んこになることはなかった。
シシ神様の配慮に感謝しよう(雨の日は知らんぞ)。
まだかまだかと思っていた急坂が終わった途端、突然、こんな風景が目の前に開けた。
しばし無言で池の上下の風景を愉しむ。
岩山の間のキレット(凹地)には春、立派な滝がかかるらしい。その名はマタフリの滝。
(マタフリの滝が見られる記録はこちら)
こんなに立派な岩山なのに名前は無いようだ。
岩山の連なりを右に辿って行くと、自らがクルマを置いて来た展望所に人が立っているのが見えた。
シシ神様が踏み歩いた草叢みたい。
とにかく此処は静かだった。
こんなに素晴らしい天気で紅葉真っ盛り、
しかも休日(土曜日)だと言うのに、私が居た約3時間のうちに出会ったニンゲンはたった4人だけ・・・
(クマさんのう〇ちは有った)。
鶴間池周辺のブナ林を散策してみた。
そろそろ帰らなくちゃ。
あんなに綺麗に映っていた鳥海山や紅葉の影がおぼろになっていた。
地元の詳しい人の話では、どんなに天気が安定した日でも、昼が近づくと、鶴間池にはさざ波が立つようになる。
私の知らぬ間に、シシ神様が池を渡って行ったようだ。
当然だが、帰りは登りとなる。
「のぞき」から今一度、鶴間池を覗く。
今度は春、新緑の頃に来てみたい。
「初夏の鶴間池」に行く。
水面に映る紅葉と、2倍楽しませていただきました。
いつも、奥まった所に行ってますが、
🐻さんとバッタリと言う事は、なかったですか?
どんな熊対策をとっているのでしょうか。
古い記録の復刻で恐縮です。その後三回ほど行ってますが、やはりこの日には敵いませんでした。
さて、クマさんですが、過去には数回遭遇してますし(最も近くでは約30mくらいの場所、車に乗った状態では数m)、登山中は常に意識してます。
存在を示す意味では、クマさん鈴を五個、ホイッスル、ラジオ、自声などを活用してます。
ラジオは山奥に入ると雑音にしかならないため、最近は止めてます。
ホイッスルは吹き過ぎて過換気症候群になったこともあります。
登山者の少ないマイナーな山は最近は平日は避け、他の登山者も居ることの多い日曜に登るようにしてます。
ただ最近は秋田駒や鳥海山など登山者の多いメジャーな山でも事故が発生してます。
古い登山者からは煩いと言われますが、キンコカンコ音を鳴らして歩くのみです。