もうすぐ引っ越す。
実家を出るのだ。
実家を出るのはイギリスで留学生活を送って以来である。
今度も一人暮らしではないが、シェアフラットでもない。
二人暮らしになる。
大変な労力で新居候補を見つけたのは彼女で、僕はそれを内見しに行っただけだ。
僕はふとイギリスでやった引っ越しのことを思い出す。
確かイギリスで大学寮から民間の寮に移動したのは、2010年の6月あたりだったと思う。
その時のことを改めて書こうと思う。
僕がいたイギリスの大学では、2年目は大学寮を出ていかねばならない。
そういうわけで、民間のフラットを探すことになった。
けれど、一から民間のフラットを探すのが大変なことは分かりきっていた。
仕方がないから僕は至る所で空き室が無いか聞いて回っていた。
僕が住んでいた場所は、どちらかと言えば買い手の方が多い。つまり需要過剰なのだった。
イギリスではどこでもそうだが、一人(あるいは二人でも)の場合、基本的にシェアフラットに住む。
流動性は高いので、どこかに空き室はあるのだが、値段は必ずしも安くない。
立地も重要だ。利便性から治安まで違ってくる。
またシェアフラットである以上、フラットメイト次第で生活環境は激変する。
とにかく考えなければいけないことが沢山ある。
イギリスで部屋を探す能力がどう考えても低い僕を救ったのは、Tさんだった。
Tさんが紹介してくれたギリシャ人の女の子がちょうど大学近くのフラットから出ていくということで、次に入る人を探していた。
彼女の引っ越しは少し早かったため、どうしても誰かが彼女の代わりに入る必要があった。
彼女はひどく焦っていたが、僕もひどく慎重になっていた。
僕は大学よりも自室で研究する時間が長いため、部屋選びはとても重要なのだ。
妥協は許されない。
このギリシャ人の女の子と同時に、タイ人の男の子が一緒に部屋を探さないかと誘ってくれた。
タイ人の男の子は友人のコースメイトだった。
おおらかで、優しく、マイペースだった。
お菓子作りが好きで、音楽が大好きで、とにかく良い奴だった。
一緒に住んだら、かなり楽しいだろうと思えた。
けれど、彼はどこか信用しがたいところがあった。
課題で軽くズルしたり、要領良く振る舞ったりした、という話を聞いたからだ。
彼がもし急にタイに帰ることにしたら、どうすればいいのだろう。
他方、ギリシャ人の子の部屋は全員ヨーロッパ人。
ただでさえ人見知りで、英語もまだろくすっぽ出来ない自分が入って大丈夫なのか?
ふたつに分かれた道。
どちらを選ぶのか?
人間ははっきりした情報がないままで、AかBを選ばなければならない時がある。
僕はギリシャ人の女の子を選ぶことにした。
理由がはっきりしていたわけではない。でも、そうすべきと感じだのである。
どういうわけか僕の勘が珍しく当たり、その後、タイ人の彼はタイに帰ることになった。
博士課程に進むと言っていたが、うまくいかなかったらしい。
もし選択を間違っていたら、かなり面倒なことになったことは疑いを得ない。
ぎりぎりまで結論を出さない僕にギリシャ人の女の子は、かなりイライラしていた。
メールにかなり怒りの感情がほとばしっていた。
しかし留学1年目で強くなった僕はそんなことは無視して(彼女の足元を見て)、自分のタイミングで契約を結んだ。
そこから僕の新しい生活が始まった。
そこで出会ったのがデイビッドというイギリス人で、僕はイギリスで初めてイギリス人と一緒に生活し始めたのである。
彼が僕にイギリスでの生活のイロハを教えてくれた。
街にも連れ出してくれたし、英語も彼のおかげでずいぶんと上手くなったと思う。
そういうわけで僕がここで言いたのは、家を選ぶということは運命の女神をつかまえるが如くである。ということなのだ。
実家を出るのだ。
実家を出るのはイギリスで留学生活を送って以来である。
今度も一人暮らしではないが、シェアフラットでもない。
二人暮らしになる。
大変な労力で新居候補を見つけたのは彼女で、僕はそれを内見しに行っただけだ。
僕はふとイギリスでやった引っ越しのことを思い出す。
確かイギリスで大学寮から民間の寮に移動したのは、2010年の6月あたりだったと思う。
その時のことを改めて書こうと思う。
僕がいたイギリスの大学では、2年目は大学寮を出ていかねばならない。
そういうわけで、民間のフラットを探すことになった。
けれど、一から民間のフラットを探すのが大変なことは分かりきっていた。
仕方がないから僕は至る所で空き室が無いか聞いて回っていた。
僕が住んでいた場所は、どちらかと言えば買い手の方が多い。つまり需要過剰なのだった。
イギリスではどこでもそうだが、一人(あるいは二人でも)の場合、基本的にシェアフラットに住む。
流動性は高いので、どこかに空き室はあるのだが、値段は必ずしも安くない。
立地も重要だ。利便性から治安まで違ってくる。
またシェアフラットである以上、フラットメイト次第で生活環境は激変する。
とにかく考えなければいけないことが沢山ある。
イギリスで部屋を探す能力がどう考えても低い僕を救ったのは、Tさんだった。
Tさんが紹介してくれたギリシャ人の女の子がちょうど大学近くのフラットから出ていくということで、次に入る人を探していた。
彼女の引っ越しは少し早かったため、どうしても誰かが彼女の代わりに入る必要があった。
彼女はひどく焦っていたが、僕もひどく慎重になっていた。
僕は大学よりも自室で研究する時間が長いため、部屋選びはとても重要なのだ。
妥協は許されない。
このギリシャ人の女の子と同時に、タイ人の男の子が一緒に部屋を探さないかと誘ってくれた。
タイ人の男の子は友人のコースメイトだった。
おおらかで、優しく、マイペースだった。
お菓子作りが好きで、音楽が大好きで、とにかく良い奴だった。
一緒に住んだら、かなり楽しいだろうと思えた。
けれど、彼はどこか信用しがたいところがあった。
課題で軽くズルしたり、要領良く振る舞ったりした、という話を聞いたからだ。
彼がもし急にタイに帰ることにしたら、どうすればいいのだろう。
他方、ギリシャ人の子の部屋は全員ヨーロッパ人。
ただでさえ人見知りで、英語もまだろくすっぽ出来ない自分が入って大丈夫なのか?
ふたつに分かれた道。
どちらを選ぶのか?
人間ははっきりした情報がないままで、AかBを選ばなければならない時がある。
僕はギリシャ人の女の子を選ぶことにした。
理由がはっきりしていたわけではない。でも、そうすべきと感じだのである。
どういうわけか僕の勘が珍しく当たり、その後、タイ人の彼はタイに帰ることになった。
博士課程に進むと言っていたが、うまくいかなかったらしい。
もし選択を間違っていたら、かなり面倒なことになったことは疑いを得ない。
ぎりぎりまで結論を出さない僕にギリシャ人の女の子は、かなりイライラしていた。
メールにかなり怒りの感情がほとばしっていた。
しかし留学1年目で強くなった僕はそんなことは無視して(彼女の足元を見て)、自分のタイミングで契約を結んだ。
そこから僕の新しい生活が始まった。
そこで出会ったのがデイビッドというイギリス人で、僕はイギリスで初めてイギリス人と一緒に生活し始めたのである。
彼が僕にイギリスでの生活のイロハを教えてくれた。
街にも連れ出してくれたし、英語も彼のおかげでずいぶんと上手くなったと思う。
そういうわけで僕がここで言いたのは、家を選ぶということは運命の女神をつかまえるが如くである。ということなのだ。