廃棄物処理法の改正と関東・東北豪雨災害への適用
~日本下水道新聞掲載記事より~
筆者は昨年の通常国会で衆議院環境委員会の理事を務めていました。兵庫県尼崎市が地元で同僚の泉原保二理事から「大規模災害後の災害廃棄物の処理が進まなければ、その後の復旧は遅れる。しかし、阪神大震災、東日本大震災で大変な状況を経験したにもかかわらず、その後の災害廃棄物行政は一向に変わっていない。議員立法で廃棄物処理法を改正すべきである。」との提案を受けました。
筆者は、阪神大震災で西宮の実家が全壊してその後始末の苦労が身にしみましたし、衆議院災害対策特別委員会の理事として平成25年10月16日未明の伊豆大島の豪雨による土石流災害(死者等39名、全壊71棟他)後、現地に伺ってその惨状を目の当たりにしておりましたので、福島選出議員で東日本大震災でご苦労された吉野正芳理事と共に、環境省に相談をかけました。しかし、法律を改正することは大変な作業が必要となりますので、廃棄物処理法の改正には良い顔をしてくれません。「早急に法改正しろ。」「そう言われても、検討には2~3年が必要です。」と、押し問答をしているうちに昨年8月20日早朝には広島市で豪雨による土石流災害が発生し(死者75名、全壊133棟他)、衆議院災害対策特別委員会理事会で現地に伺い、知事、市長と善後策を協議しました。
もうこれ以上待てないと、吉野理事と共に「環境省が協力してくれないなら、我々が議員立法で緊急対応策をまとめる。」と最後通告をしたところ、環境省から「議員立法を進めるのは待ってくれ。必ず次の通常国会に環境省から法案を提出するから。」と9月に入って返事が戻ってきました。その後、元国土交通事務次官の佐藤信秋自民党環境部会長も交えて、環境省等と法改正案の検討を進め、内閣提出法案にまとめて、本年7月10日に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律(平成27年法律第58号)」として成立したものです。
この法律は8月6日に施行されたのですが、9月26日に同法(特例措置)の適用第1号となったのが、本年9月9日の関東・東北豪雨災害による災害廃棄物対策です。鬼怒川等の堤防決壊により大災害が発生し、10月7日には激甚災害に指定されましたが、同法が適用されることによって上下水道等を含む現地の復旧が進むものと期待しております。
10月9日に法務副大臣の官記辞令を天皇陛下から頂戴いたしました。安全・安心の暮らしを実現するために、法の支配の実現だけではなく、これからも下水道等の整備に務めて参ります。
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