かもめ食堂

東京から10時間で行けてしまう、最も近いヨーロッパ・・ フィンランドのことをどれだけ知っていますか？ 白夜にムーミン、サウナ、アラビア（食器）、キシリトール、一時期流行った（？）フィンランド家具... あ、それからヘルシンキでオリンピックもあったっけ・・　でも、オリンピックのことは知らない その程度でしかなかった、私のフィンランドの知識はたぶん日本人としては平均的なものでしょう そんなフィンランドで一人の日本人女性・サチエが食堂を開きました 来る日も来る日も、だ～れも来ない食堂 しかし、彼女はテーブルを拭き、食器を磨きながら お客を待ち 夕方 店を閉めてプールで泳ぎ、家に帰って自分のための食事を作る 翌朝、市場で食材を買い、また店を開けると言うゆったりとした時間を繰り返しています 或る日、ついに来たお客第一号は日本かぶれの青年・トンミ 日本のアニメが好きなトンミはいきなり「ガッチャマン」の歌詞を教えてくれと言う　　サチエはだれだ だれだ だれだ～と歌いだすが、その先が出てこない・・ すっきりしないまま帰宅途中に立ち寄った書店のカフェで、サチエは難しい顔をしながら「ムーミン谷の夏まつり」を読む日本人女性を見つけ、思い切って「ガッチャマン」の歌詞を訊ねると、怪訝な顔をしながらもスラスラとメモしてくれる その日本人女性・ミドリのフィンランド旅行を決めた理由が面白い 地図を開いて目をつぶって指差したところがフィンランドだったから・・ そんなのもアリなんだぁ　そんな風に人生を生きるのって出来るようで出来ない　 出来たら、きっともっともっと楽しいと思うのだけど... 毎日、真面目にやっていれば、いつかお客はやってくると一本 芯の通ったサチエを演ずる小林聡美 「やっぱり猫が好き」などで知る彼女のイメージとはかけ離れているが、ピタッとはまり役で、実際の彼女はサチエのような人ではないかと思ってしまうほど ミドリを演じる片桐はいり、後からこの二人に加わる もう一人の訳あり日本人女性・マサコを演じるもたいまさこ と個性派ぞろいの映画ですが フィンランドのゆったりと流れる時のように肩の力が抜けた演技に、いつしか観客である私もそのやさしい時間を心地よく共有していました 最近見た邦画の中で一番好きです エンディングに流れる井上陽水のまったりとして、どこか甘く切ない「クレイジーラブ」はこの映画をいっそう際立たせていました

東京には望むことのできないゆったりとした時を過ごすためにフィンランドに行きたくなっちゃった・・ どうしましょう

かもめ食堂公式サイト

於・シネスイッチ銀座