まだまだ建っていることを前提に手入れをしながらお住まいです。
みなさん、こんにちは。ミタス一級建築士事務所の清水です。
本日は、住宅の請負契約書のチェック事項について、簡単にお話しましょう。
建売の売買契約と異なり、注文住宅の請負契約では、
発注者すなわち建て主であるみなさんに、大きな3つのリスクがあります。
完成までに、地震などの災害で被害を受けると、建て主のリスクになります。
建売では売り主の責任になりますから、この点は、注文住宅の方が不利です。
もうひとつ、近隣対策があります。
工事中の近隣からのクレームや要望について、契約にはない通常以上の対応で
応じる場合の費用や工期延長は、通常は建て主が負担します。
例えば、
「作業は朝9時から夕方5時までとし、日祝はもちろん土曜も作業をしてはならない」
と近隣からクレームが出て、これに応じる場合、
工期は延びてしまいます。
また、「窓に目隠しをして下さい。」と要望があった場合、
民法上の範囲外であってもなくても、近所付き合いのために取り付ける場合、
費用が発生します。
中には、外観からの見映えを含めて、費用が高額になってしまう
目隠しの内容や素材を細かく指定してくる近隣もいます。
応じるかどうか、応じた場合は、当然建て主の費用負担になります。
この、2つの点は、請負契約の性質上、
一般的に建て主が負担しなければなりませんからご注意下さい。
大きな3つのリスクですから、もうひとつあるのですが、
これは防ぐことができますからこのあと述べます。
地震以外の火災に関しては、放火であっても工事業者が負担するのが普通で
これは、契約書に書かれているかどうか、念のため確認してください。
そして、大切なポイントは、さらに以下の3点です。
・契約解除について
・工事遅延金の計算方法
・支払い条件
契約解除の方法が、工務店の契約書に書かれていないことが多いです。
また、ハウスメーカーのように書かれていても、
絶対に潰れないという会社以外は、この内容に注意しないといけません。
工事中に倒産してしまい、破産管財人が入ると、工事がストップしてしまい、
管財人との話が付くまでは、現場の中にも入ることができません。
費用の損だけでなく、工期の問題が出てきます。
しかし、まだこの場合は良いほうです。
工事業者が逃げ出して連絡が付かない、または着工したものの、
話が違うから解約したい、と思っても
解約できない場合があります。
銀行との土地を含めたローン契約、
公的な機関から土地を割安で購入して、
何年以内に建物の登記を終えなければ無効になる、
など、期間に関して様々な制約がある場合、
これがネックになることがあります。
ポイントの2番目の遅延金の計算方法ですが、
この記載があるかどうか。
また、あった場合、一日当たりの遅延金がいくらになるか計算してください。
注意点は、ふたつです。
請負金額から出来高を差し引いた金額の何千分の1となっていれば、
遅延金の額はほとんど期待できません。
もうひつとは、その費用が仮住まいなどの賃貸料と同等か
それ以上の金額になっているかどうかです。
ポイントの3番目は、絶対に潰れないという会社なら構いませんが
それ以外なら、契約金は万が一の場合、すなわち工事業者が潰れても
責任の取れる範囲に抑えます。
それ以降の支払いは出来高制か、出来高より少なめに支払うことです。
契約金20%、着工金20%、上棟時30%
などという支払い条件は、潰れる可能性のある業者の場合は
リスクが有り過ぎです。
これは、何年も前から私が大きな声で言い続けていますが、
最近、比較的大きな注文住宅会社が潰れてました。
その記事の中で朝日新聞にも、こういう支払い方法に気を付けようと
記事に記載されていましたが、無関心な人が多過ぎます。
契約書には書いていなくても、契約以降、
なんだカンダと、支払いを早くするように催促したり、
安くすると特典を付けて前払いさせようとする業者がいます。
これは、要注意です。
責任の取れる範囲で行わなければなりません。
被害者の多く、というより、ほとんどの皆さんが
一生に一度の買い物をする割りに、すべて業者任せで、
建物の品質にも無頓着ですし、契約にも無頓着過ぎるというのが、
私の感想です。
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