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「2030年新築の6割に太陽光パネル」政府目標

2021年08月11日 11時55分33秒 | 住宅ノウハウ・実例
▲このドイツでの住宅用太陽光パネルは、地域のエネルギー計画の中で考えられ
雪止め金具も一体で造られていました。最も普及しているドイツでも色々問題があるようですが
日本で普及させるためには…


「国土交通省は2021年8月10日、住宅の「脱炭素化」を進めるため、
2030年までに新築戸建て住宅の6割に太陽光パネルを設置するという数値目標を
設ける方針を明らかにした。」

との記事を読みました。
補助金の拡充も検討ということで、良いことではあります。

しかし太陽光パネルについては、ずっと以前から
ミタス一級建築士事務所では、お勧めることはせず、
ご希望の場合は、むしろデメリットをお話しした上で、
それでもという方だけに設置しています。

以前と比べて性能や設置方法が良くなっているので、
条件によってはお勧めできる場合もでてきました。

それは、次の2つの場合です。

1)太陽光パネルを無料で設置してくれ、10年後または20年後の
  希望時期で無償でもらえるケースがある。貸与中は電気代が安くなる。
  また、欲しくなったら途中でも使用年数に応じて良心的な価格で買取も可能。
  このケースの場合、取付け工事や保証も比較的安心できる。
 (但し、相手にメリットのある設置条件があるので合致しないと設置してくれません。
  横浜市内の住宅密集地では難しいです。)

2)災害時の停電対策をメインとして考えて、
  費用は掛かっても大容量蓄電池をセットで使用、
  停電時や夜間でも家全体で使用できるようにする。

通常、太陽光パネルだけを設置するデメリットは以下が考えられます。
メリットはご存じなので省略します。

3)支払った金額を、本当に回収できるかどうか不明である。
  支払った金額を安くなった電気代で回収できる事前計算が通常です。

  劣化効率やパワコンの交換費用なども計算に入れるのが普通ですが
 例え計算通りに上手く行っても、使用できなくなって太陽光パネルを
 撤去処分する費用は考えておらず、それを考えると赤字になる可能性があります。

  家を建て替えるまで太陽光パネルを処分せず放置していても
  建物の解体時には費用が上乗せされます。
 しかもこの費用は、どんどん高くなっています。

4)初期の頃は雨漏れ事故が多く、対策されて現在は少なくなりましたが、
  それでも発生はしています。
  新築では、昔と異なり天井断熱などを確実に行ってる場合が
  多いので、少々雨漏れしても気付きにくい。
 雨漏れ時には、保証があっても簡単には補修できません。

5)屋根材のメンテナンスが困難。
  パネルの下の屋根材が劣化してもメンテナンスが簡単にできない。
  雨はパネルの下の屋根材の上を流れていくので、トラブルが生じた時に対応しにくいし
  余分な費用が掛かります。

6)市街地での隣家、近隣とのトラブル問題。

  住宅の間隔が狭いため、光が反射して眩しい、暑い、というクレームや

  雪が滑り落ちてきてフェンスが壊れた、エアコンの室外機が壊れた、
  人に当たったらどうする、危険だ、などのトラブルがあります。
  通常の雪止め金具では、これに対応できません。

これらを解決するには、

7)太陽光パネルの性能と耐久性、パワコンの耐久性をもっとあげる。
  耐久性は50年、北面や壁面でも、さらには陰になってもそれなりに発電できる性能、
  具体的には 現在の効率20%からイノベーションで50%くらいまでアップ。

8)屋根一体化で隙間や風通しがが不要、しかも熱をもたず効率が落ちない
  太陽光パネルの開発。

9)眩しくないように、光を反射しない完全艶消し仕上げ。

10)屋根を傷めない、専用の雪止め金具の開発と設置

11)蓄電池の性能や耐久性を上げて、コンパクト化、価格もダウンする。
  これも固体化電池などのイノベーションが必要。

  現在の太陽光パネル、大容量蓄電池システムでは工事費まで入れて、
  400万円前後するため、価格も100万円程度まで下げられるように。

もし、7)~11)の改善がなされたら、政府の目標以上が達成できると思います。
本気でやるなら単なる設置の補助金だけでなく、こういった開発にも取り組んで
頂いて、実現すれば良いのですね。
……………………………………………………………………………
ご意見があれば、お気軽にどうぞ!

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