一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

注文住宅を考えたら「住宅の考え方が180度変わる」住宅勉強会やセミナー、他では聞けない住宅や建築がわかるブログ。

リビング空間について考える(3)

2007年03月06日 18時27分58秒 | 建築家の日記
こんにちは、清水です。

本日は、朝から解体の終わった現場へ、敷地の仮囲みに行ってきました。前日に大きなホームセンターで資材と道具を購入しました。簡易なものですが、業者に本格的にやってもらうのと比べると、費用は40分の1か50分の1で済みました。本体業者をまだ決めていないのと、費用を安くしたいからです。


さて、昨日の続きです。

リビングを2階にもってくる二つ目のメリットは、

②耐震性に極めて有利であること

みなさんはリビングダイニングを広く明るく、窓を大きくというご希望が多いのですね。これは、よく考えて頂ければ、皆さんでもおわかり頂けると思いますが、それを1階にもってくるのと2階へもってくるのとでは、耐震性に実は有利不利の差が出ます。同じように建築基準法に合っていても、耐震等級3級であってもです。

でした。


阪神大震災でも、新潟の中越地震でも、必ず1階が潰れます。その上に2階が載ってきて、衝撃で2階も潰れることもありますし、2階は残っていることもありますが、2階だけが潰れることはありません。

地震に強いといっても、構造がしっかりしていれば大丈夫なはずと思いますね。正確には、構造がしっかりしていて、1階全体に筋かいがたくさん入っていても、リビングのような広い部屋が1階にあると、接合部分に大きな力が加わり、構造体が破断しやすいのです。

これは、木造に限らず鉄骨でも鉄筋コンクリート造でも同じです。

構造計算で問題ないはずの構造体がなぜ壊れるのか?


阪神高速道路が倒壊した写真をご覧になったことはあるでしょう。
構造計算が最もしやすい例ですし、工事も建築よりもっとしやすい構造体でした。

構造計算は、あるルールをモデル化して決めて、すべてに適用しています。これが、すべての建物の地震に対して完全ではないことは、大きな地震のたびに構造計算の方法が改正されている事実だけで証明できるでしょう。

大きな力が加わるような構造計画は、できれば避けないといけないのですが、1階に大きなリビングが来て、窓をたくさん付けると、柱と梁の接合部に非常に強い力が加わり、部材が破壊してしまいやすくなるからです。


1階をリビングにした場合、このことに注意しなければならないのですが、私が見る限り、これらを考慮したと思われるプランはあまり見たことがありません。

大きな部屋であるリビングを2階にもってくると、1階は間仕切り壁が多くなり構造的には安定し、必然的にどういうプランでも地震に強くなるというメリットがあります。


ミタス 一級建築士事務所 清水煬二

 
中越地震の写真 ミタス 一級建築士事務所




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