■Henry Gaffney / On Again Off Again■
今回の大震災で被災された方、いまだに避難を余儀なくされている方へは、深くお見舞いを申し上げます。 僕自身もこの震災を受けて、今までの価値観に捉われず、行き方そのものの見直しを迫られているような気がします。 具体的に何から始めればいいのか、少しづつ考えて行きたいと思っています。
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男前にさらに磨きがかかった Henry Gaffney のセカンドアルバムは、レコード会社を移籍して 1978 年に発表されました。 キザすぎるジャケットに田中康夫も嫉妬したであろう本作は、前作よりもさらにアダルトに深化したサウンドが堪能できます。 自身のプロデュースとなったことが影響しているのかは判りませんが、前作同様のジャジーな感覚は維持しながらも、より洗練されクールで老獪になっているように感じます。 Steely Dan が Royal Scam (1976) から Aja (1977) へと1年半足らずで急激に熟成したことに比べれば大した変容ではありませんが、そうした時代考証をしながら聴き比べてみるのも楽しみの一つだと思います。
オープニングは Kurt Weill によるスタンダード「Mack The Knife」で幕開け。 口笛で始まるメランコリックな雰囲気のなかで、Eric Weissberg のバンジョーが気分を和らげてくれます。 そういえばこの曲は Franklin Micare も 1978 年のアルバムでカバーしていました。おそらく偶然だと思いますが、時代も参加ミュージシャンも近いこの 2 人に共通したセンスを感じとることができます。 「City Lights」や「Breakout」はともにサビを繰り返すところが印象的で耳に残る楽曲なのですが、特にこの 2 曲には Franklin Micare のサウンドと近いものを感じました。 これは、改めてレコードを聴き直して初めて気がついた発見でした。
この曲に続くのが個人的なベストの 1 曲「There’s A Train」です。 巨匠 Ron Carter のウッドベースとともに Henry Gaffney のボーカルが心に染み入る大人のバラードは、艶やかなストリングスにも包まれて、完ぺきに近い仕上がりとなりました。 前述の「City Lights」はシングル・カットできそうな曲。 少しトロピカルなムードの「Mannequin」、映画のサントラのような「Happy End」と A 面は続いていきます。
B 面はフェンダーの音色でしっとりと始まる「This Is It」から始まります。メロウな中盤までの展開から、急にテンポアップしてMichael Brecker の炸裂するようなソロで突然終わるというアイディアは斬新です。 Frankilin Micare 調の「Breakout」でも Michael Brecker は活躍していました。 その後は、重たいピアノ・バラードの「There’s No Sound」、ライトタッチな「Lady」と続いてラストの「On Again Off Again」へとスムースに続くものの、あっけなく終わってしまう感じです。 「On Again Off Again」はビターな味わいのなかで大人の心象が綴られているのですが、エンディングがクールすぎて物足りなく感じてしまいました。
こうして 2 回にわたって Henry Gaffney のレコードを取り上げてきましたが、2 枚とも時代の最先端を行くハイセンスなサウンドに満たされていることを再認識しました。 にも関わらず、ともに CD 化されていないとは何とも皮肉なものです。 Henry Gafffney は 1995 年からバークレー音楽学校で作曲の講師を務めてましたが、せめて彼が生きている間に CD 化され再評価の対象となって欲しかった思うのです。 意外と、本人が照れ屋さんで、それを拒んできたのかもしれませんが。
■Henry Gaffney / On Again Off Again■
Side-1
Mack The Knife
There’s A Train
City Lights
Mannequin
Happy End
Side-2
This Is It
Breakout
There’s No Sound
Lady
On Again Off Again
Produced by Henry Gaffney
All Songs written by Henry Gaffney except ‘ Mack The Knife’ by Kurt Weill
Strings and woodwinds arranged and conducted by Jack Perry Cone
Concert Master : David Nadien
Woodwinds : Phil Bodnerm George Marge
Henry Gaffney : vocals, acoustic guitar
Joe Caro : acoustic guitar
John Tropea : guitar
Leon Pendarvis : fender rhodes
Pat Rebillot : fender rhodes
Michael Mandel : fender rhodes, synthesizer
Neil Jason : bass
Ron Carter : bass
Danny Trifan : bass
Will Lee : bass
Frank Gravis : bass
Dave Friedman : vibes
David Carey : marimba
Alan Schwartzberg : drums
Bernard Pershey : drums
Chris Parker : drums
Steve Jordan : drums
Eric Weissberg : banjo, steel
Jim Maelen : percussion
Michael Chimes : harmonica
Michael Brecker : tenor solo
Manhattan Records / United Artists Records MR-LA-861 H-0798
今回の大震災で被災された方、いまだに避難を余儀なくされている方へは、深くお見舞いを申し上げます。 僕自身もこの震災を受けて、今までの価値観に捉われず、行き方そのものの見直しを迫られているような気がします。 具体的に何から始めればいいのか、少しづつ考えて行きたいと思っています。
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男前にさらに磨きがかかった Henry Gaffney のセカンドアルバムは、レコード会社を移籍して 1978 年に発表されました。 キザすぎるジャケットに田中康夫も嫉妬したであろう本作は、前作よりもさらにアダルトに深化したサウンドが堪能できます。 自身のプロデュースとなったことが影響しているのかは判りませんが、前作同様のジャジーな感覚は維持しながらも、より洗練されクールで老獪になっているように感じます。 Steely Dan が Royal Scam (1976) から Aja (1977) へと1年半足らずで急激に熟成したことに比べれば大した変容ではありませんが、そうした時代考証をしながら聴き比べてみるのも楽しみの一つだと思います。
オープニングは Kurt Weill によるスタンダード「Mack The Knife」で幕開け。 口笛で始まるメランコリックな雰囲気のなかで、Eric Weissberg のバンジョーが気分を和らげてくれます。 そういえばこの曲は Franklin Micare も 1978 年のアルバムでカバーしていました。おそらく偶然だと思いますが、時代も参加ミュージシャンも近いこの 2 人に共通したセンスを感じとることができます。 「City Lights」や「Breakout」はともにサビを繰り返すところが印象的で耳に残る楽曲なのですが、特にこの 2 曲には Franklin Micare のサウンドと近いものを感じました。 これは、改めてレコードを聴き直して初めて気がついた発見でした。
この曲に続くのが個人的なベストの 1 曲「There’s A Train」です。 巨匠 Ron Carter のウッドベースとともに Henry Gaffney のボーカルが心に染み入る大人のバラードは、艶やかなストリングスにも包まれて、完ぺきに近い仕上がりとなりました。 前述の「City Lights」はシングル・カットできそうな曲。 少しトロピカルなムードの「Mannequin」、映画のサントラのような「Happy End」と A 面は続いていきます。
B 面はフェンダーの音色でしっとりと始まる「This Is It」から始まります。メロウな中盤までの展開から、急にテンポアップしてMichael Brecker の炸裂するようなソロで突然終わるというアイディアは斬新です。 Frankilin Micare 調の「Breakout」でも Michael Brecker は活躍していました。 その後は、重たいピアノ・バラードの「There’s No Sound」、ライトタッチな「Lady」と続いてラストの「On Again Off Again」へとスムースに続くものの、あっけなく終わってしまう感じです。 「On Again Off Again」はビターな味わいのなかで大人の心象が綴られているのですが、エンディングがクールすぎて物足りなく感じてしまいました。
こうして 2 回にわたって Henry Gaffney のレコードを取り上げてきましたが、2 枚とも時代の最先端を行くハイセンスなサウンドに満たされていることを再認識しました。 にも関わらず、ともに CD 化されていないとは何とも皮肉なものです。 Henry Gafffney は 1995 年からバークレー音楽学校で作曲の講師を務めてましたが、せめて彼が生きている間に CD 化され再評価の対象となって欲しかった思うのです。 意外と、本人が照れ屋さんで、それを拒んできたのかもしれませんが。
■Henry Gaffney / On Again Off Again■
Side-1
Mack The Knife
There’s A Train
City Lights
Mannequin
Happy End
Side-2
This Is It
Breakout
There’s No Sound
Lady
On Again Off Again
Produced by Henry Gaffney
All Songs written by Henry Gaffney except ‘ Mack The Knife’ by Kurt Weill
Strings and woodwinds arranged and conducted by Jack Perry Cone
Concert Master : David Nadien
Woodwinds : Phil Bodnerm George Marge
Henry Gaffney : vocals, acoustic guitar
Joe Caro : acoustic guitar
John Tropea : guitar
Leon Pendarvis : fender rhodes
Pat Rebillot : fender rhodes
Michael Mandel : fender rhodes, synthesizer
Neil Jason : bass
Ron Carter : bass
Danny Trifan : bass
Will Lee : bass
Frank Gravis : bass
Dave Friedman : vibes
David Carey : marimba
Alan Schwartzberg : drums
Bernard Pershey : drums
Chris Parker : drums
Steve Jordan : drums
Eric Weissberg : banjo, steel
Jim Maelen : percussion
Michael Chimes : harmonica
Michael Brecker : tenor solo
Manhattan Records / United Artists Records MR-LA-861 H-0798
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