Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

John Braden

2006-09-10 | SSW
■John Braden / John Braden■

 仕事が忙しくて、久しぶりの投稿になってしまいました。 いつもマイナーレーベルの作品が多いので、今日はソフトロックの名門 A&M から発表された John Braden のアルバムを取り上げてみました。 1968 年にレコーディングされ、翌 1969 年に発表されたこのアルバムは、Ry Cooder が参加している作品として、彼のコレクターからは知られているものです。 Ry Cooder が実際に参加しているのは、2 曲だけなのですが、その件については曲の解説の方で触れたいと思います。

 この John Braden ですが、長身かつ小顔、美形にして美声ということで、売れる要素が全て揃っているかのように思えますが、そうは問屋が卸してくれなかったようで、中古市場に出回っているアルバムは、ほとんどが Promotional Copy のようです。 作品的にそれほど劣っているわけではないのですが、A&M というレーベルカラー、そして John Braden が兼ね備えた容姿が、かえって仇になってしまったのではないかと思ってしまいます。

 さて、そんな作品ですが、アルバムとしては A 面の出来がよく、B 面はやや劣ってしまいます。 Paul Horn のフルートがまるで小鳥のさえずりかのように聴こえる「Wild Birds」、ストリングスやオーボエの響きが上品な「Delancey Street」は高い叙情性を備えた楽曲です。 この 2 曲のようなクオリティをラストまで維持できていれば最高なのですが。 Richard Bell のエレピを基調としたオールドタイミーな「Furnished Rooms」に続き、Bob Dylan のカバー「I Want You」が始まります。 アルバムを通じてギターの弾き語りのみの曲なのですが、このカバーは一聴の価値があるかもしれません。 コメントしていませんでしたが、John Braden の美声というのは日本の叙情派フォークの歌手みたいに、高くて線の細い声なのです。 そんな声で、「I Want You」を歌うのですから、誤解を招きそうな表現となることを承知で言うと、さだまさしが Bob Dylan をカバーしたような印象なのです。
 さて、A 面ラストとB 面の 1 曲目は、Ry Cooder が参加した 2 曲となります。 この 2 曲は、Sneaky Pete , Richard Bell , Ry Cooder , Felix Falcon , Chris Etheridge という編成によるもの。 トラディショナルの「What A Friend We Have In Jesus」は、Sneaky Pete のソロを Ry Cooder がバックアップするというスタイルですが、2 人のギタープレイの味わいはかなり奥深いものを感じます。 「Carriage House Song」での Sneaky Pete のスティール・ギターも自由奔放なもので、この 2 曲はアルバム冒頭の 2 曲のテイストとは異なるものの、アルバムを語るには重要な要素となっています。 B 面は、地味で素朴なナンバーが続きますが、牧歌的なワルツ「Ribbons Of Friendship」、クリスチャン・テイストを感じるシンプルな「They Are Waiting」などが印象的です。
 このアルバム以降の John Braden の足跡をネットで追ってみましたが、アルバムらしきものはありませんでした。 1971 年から最近では 2003 年まで、映画の脇役に時折クレジットをみつけることができた程度です。

 表のジャケットは黄色く染まった木々の前で帽子を脱いで決める John Braden。 裏ジャケは枯れ野原に佇む写真となっていますが、これはアルバムのレコーディングが行われた 1968 年の秋の風景なのでしょう。 目を閉じて、レコードを聴きながら、38 年前のカリフォルニアの秋風を想像するのも秋の夜長の過ごしかたの一つですね。

 

■John Braden / John Braden■

Side-1
Wild Birds
Delancey Street
Furnished Rooms
I Want You
What A Friend We Have In Jesus

Side-2
Carriage House Song
Baptist Funeral
Hand Me Down Man
Song To Raymondo
Ribbons Of Friendship
They Are Waiting

Produced by Michael Vosse & Henry Lewy
Arranged by Richard Bell except ‘Song To Raymond’ by Sneaky Pete

All Songs Written by John Braden
Except ‘I Want You’ by Bob Dylan , ‘What A Friend We Have In Jesus’ traditional

John Braden : acoustic guitar
Richard Bell : electric guitar , celeste , piano
Paul Horn : flute
Felix Falcon : drums
Judd Huss : bass
Gene Cipriano : oboe
Ry Cooder : acoustic guitar
Sneaky Pete : pedal steel guitar
Chris Ethridge : bass
Bruce Langhorne : electric guitar
Russ Titleman : acoustic guitar

Paul Shure Strings Quartet
Jules Chaikin Horn Ensemble

A&M Records SP 4172


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