Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Scott Jones

2009-12-09 | SSW
■Scott Jones / Roads■

  今年も、「雪のないままスキー場開き」というニュースを見かけました。 気象庁の長期予想もここ数年はずっと暖冬予想。 平年並みとか寒い冬という予想を今後は見ることは無いのではないかとさえ思ってしまいます。 寒くならないと国内消費も伸び悩んで、このままでは永遠に不況が続いていくかのように思えます。

  そこで、取り出したのが冬の佇まいあふれるレコード。 Scott Jones が 1978年にミネソタの Sound 80 でレコーディングしたアルバムです。 Scott Jones は地元の Flight Records から数枚の作品をリリースしていますが、この「Roads」がデビュー作。 デビュー作品ながらも、自らが演奏するギターやピアノのインスト曲を上手に配置するなど、余裕を感じさせる質の高いアルバムに仕上がっています。

  その傑作を曲順に振り返ってみましょう。 まずは A 面から。 オープニングの「Getting’ Back Into The Land」はサビから入るオーソドックスな曲調ですが、Scott Jones のボーカルや雰囲気を最初に感じ取るには丁度いい曲になっています。 つづく、「Sometimes You’ve Got To Get Away」が変化球が飛んできます。 この曲はアコースティック・ベースとピアノが洒落たナンバーで初期の Tom Waits に通じるジャジーなサウンドです。 タイトル曲の「Roads」はバックアップ・ボーカルが素敵なノスタルジックなワルツ。 ここまでは何の問題もない流れですが、次の曲が唯一残念な楽曲となっています。 その「We Are Little Folk」はいきなりシンセの音にあっけにとられます。 80 年代に流行るフェアライト系の音色なのですが、このアルバムには不要なものです。 曲調もアルバムの流れを阻害する感じでこれは CD だったら確実にスキップです。 もし CD 化したら外してもらってもいいくらいです。 気を持ち直して、「Chattanooga To Lynchburg Trail」へ。 この曲はアコギとセロだけのシンプルな弾き語り。 枯れた味わいです。 つづく「Gate To The Valley」アコギのインスト。 Scott Jones が技巧派のギタリストだったという側面を垣間見ることが出来ます。

  B 面に移りましょう。 まずは「A Minstrel Comes To Town」から。 この曲はギターとハーモニカだけで静かに始まり、次第に楽器が増え音数も増していく楽曲。 その工夫とアレンジはなかなかの出来です。 つづく「Dressed In Candlelight」も典型的な Scott Jones 節ともいえる王道のSSW作品です。 そして異色な楽曲「The Virgin : Virgo」が始まります。 この曲はピアノのリリカルな響きがバッハの平均律クラヴィーア集を聴いているみたいな気分にさせるインストです。 何より驚くのが Scott Jones のピアノのテクニックです。 ピアノ弾きの SSW としては Randy Edelman に匹敵する腕ではないでしょうか。 この曲には完全に参りました。 アルトサックスがモダンな音色で差し込んでくると、アダルトな「Let Me Love You」が始まります。 アルバムの中で最も AOR に近く、夜を感じさせる曲です。 ラストの「Thank You」では流麗なピアノの弾き語りでカッコよく決めています。

  このようにアルバムはヴァラエティに富んだ楽曲と、メリハリの利いた構成もあって傑作と呼ぶのに相応しいものだと思います。 ジャケットの冬景色も素晴らしく、この季節にピッタリな作品でしょう。 唯一の減点曲が無ければ、ほぼ完璧な出来だっただけに、そこが残念でなりません。

■Scott Jones / Roads■

Side 1
Getting’ Back Into The Land
Sometimes You’ve Got To Get Away
Roads
We Are Little Folk
Chattanooga To Lynchburg Trail
Gate To The Valley

Side 2
A Minstrel Comes To Town
Dressed In Candlelight
The Virgin : Virgo
Let Me Love You
Thank You

All Songs composed and arranged by Scott Jones
Produced by Steve Greenberg, Reid Mclean and Marsh Edelstein
Recorded, mixed and mastered at Sound 80 Minneapolis, Minn.

Scott Jones : 6+12 string guitar, grand piano, organ, synthesizers, gong, lead and back up vocals
Steve Grrenberg : drums, percussion
Reid Mclean : organ, synthesizer
Paul Martinson : engineer
Jay Young : electric bass
Chris Brown : acoustic bass
Bobby Rivkin : drums
Tim Pleasant : drums
Mervill Piepkorn :harmonica , vocals
Greg Temple : pedal steel, vocals
Roz Madsen : vocals
Paulette Carlson : vocals
Eddie Barger : clarinet
Mike Frazier : alto sax
Cornie Evanik : cello
Roger Dumas : computer programmer

Flight Records FR1705


最新の画像もっと見る

コメントを投稿