Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Johnson & Drake

2010-07-17 | SSW
■Johnson & Drake / Carry It On■

  ようやく梅雨明け。 うだるような一日の終わりには、急激に流行したハイボールのような爽快感を求めたくなります。 そこで取り出したのが、Johnson & Drake が 1973 年に発表した唯一の作品。 そもそも、マイルドでメロウなピアノ系サウンドは僕の嗜好のど真ん中なのですが、今日取り上げる Johnson & Drake もその部類に入る作品です。 特に、A-1 の「Hello New Day」は非の打ちどころのないミディアムで、この曲だけで聴く価値十分とも言える出色の出来栄えなのです。 アップテンポのアレンジにホーンを加えたことでアグレッシブな印象の「Slow Boat」を挟んで「Isn’t There Someone」では、本来の繊細な味わいに戻ります。 ここで展開される美しいハーモニーとリコーダー・ソロの気品の高さは彼らの魅力の源泉と言えるでしょう。 つづくのは、The Beatles のカバー「Fixin’ A Hole」ですが、これはオリジナルよりもカラフルなアレンジで、入りとエンディングに工夫が見られます。 タイトル曲の「Carry It On」はサビのメロを左右で交錯したり重なったりしながら舞いあがるようなイメージ。 滑空感を感じる曲となっています。

  B 面はファンキーでソウルフルな「Goldie」で始まります。 不思議なことに違和感を覚えないのは、ボーカル・スタイルに拠る部分も強いと思いますが、つづく「I Am Loved」がスケール感のあるミディアムですので、その流れで一気に聴けるという点もあるような気がします。 そしてCarole King の「So Far Away」で一気にピアノによる流麗な展開に持ち込んでいきます。 誘うようなフルートの音色ではじまる「I’ll Be Better」も、Johnson & Drake 節と言える楽曲。 多彩な楽器の絡み、厚みのあるコーラス、そして緩急自在な展開力、といった Johnson & Drak eの魅力が詰まっています。 つづく「Fade Away」はさらにシンプルになり、朝露の雫のような空気感すら漂わせます。 そしてラストの「Party Song」はタイトル通りの陽気な楽曲。 ニルソンのようなヴォードヴィル調なアレンジですが、1 分 30 秒程度であっさり終わってしまうところも、彼らのセンスの良さを表わしています。
  
  Tom Johnson と Guy Drake による唯一のアルバムは、ミネアポリスの Sound 80 でレコーディングされた作品としても知られていますが、その後の二人の足取りに関しては全くといっていいほど情報がありません。 とくにピアノを弾いていた Tom Johnson がこのまま音楽シーンから消えていたとしたら残念でなりません。 ちなみに、プロデューサーのHerb Pilhofer はミネアポリスのジャズ・ピアニストでCM音楽職人としても活躍したミュージシャンのようです。 彼の作品に Johnson & Drake の痕跡が残っているかは微妙ですが…
  それにしても、それなりの規模のレーベルだった Ovation Records が当時流行ったクアドラフォニックで録音したということで、それなりに力が入っていたと思われるのですが、やはりほとんど売れなかったのでしょう。 残念なことですが、どの時代にも良くあることです。

■Johnson & Drake / Carry It On■

Side 1
Hello New Day
Slow Boat
Isn’t There Someone
Fixin’ A Hole
Carry It On

Side 2
Goldie
I Am Loved
So Far Away
I’ll Be Better
Fade Away
Party Song

Produced by Herb Pilhofer
Engineer : Tom Jung
Recprded at Sound 80 Studios, Minneapolis, Minn.
All Songs by Tom Johnson and Guy Drake except ‘Fixin’ A Hole’ and ‘So Far Away’

Piano : Tom Johnson
Electric piano : Herb Pilhofer
Bass : Boll Peterson
Drums : Bill Berg
Guitar : Ron Steele
Steel guitar : Cal Hand
Percussion : Bill Buchen, Toman Gomez
Trumpets : Steve Wright, Nelson Carr
Trombone : Jim Ten Bentzel. Bruce Hultgren
Saxophone and flutes : Dave Keer, Dave Hawley
Recorder : Steve Rydberg
Violins : Romuald Tecco, Bruce Allard, Eli barnett, Jim Ricardo, Hanley Dawes, Carolyn Dawes
Viola : Salvatore Venittelli, John Gaska
Cello : Daryl Skobba, Eduald Blitz
Bass : Susan Matthew

Ovation Records OVQD 1434


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