Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Chris Hickey

2008-03-01 | SSW
■Chris Hickey / Frames Of Mind , Boundaries Of Time■

  Chris Hickey は、いまも現役で活動するシンガーソングライター。 その音楽キャリアは、1978 年 The Spoilers というパンクバンドにまで遡ります。 彼のキャリアのなかで最も有名なのが、Show Of Hands での活動でしょう。  IRSから 1989 年に発表されたそのアルバムはリアルタイムで買ったことを覚えていますが、あまり熱心に聴き込まなかったうえに、CD が現在行方不明となっていてその内容を思い出すことができません。 その後 UMA というグループを経て、現在はソロ活動中のようです。 公式ページで、キックボードに乗っている若々しい彼の姿を見ると、とてもキャリアが 30 年とは思えません。

  その Chris Hickey が、The Spoilers と Show Of Hands の間、1985 年に発表したアルバムが、ファースト・ソロ・アルバム「Frames Of Mind , Boundaries Of Time」です。 全ての音源が自宅のカセットデッキで録音されたという「宅録」の元祖のようなアルバムですが、1970 年代後半以降のパンク・ディスコ・AOR といった大きなシーンの流れが過ぎ去った 1980 年代半ばに、シンプルに音楽の原点に回帰するかのような姿勢が魅力となっている作品です。

  サウンド的には、当時盛り上がっていたイギリスのネオアコ世代に近いものを感じます。 ただ、バンド編成ではないので地味でモノトーンな SSW といった納まり方です。 ボーカルスタイルもへなへな系で頼りない感じなので、素人っぽさが抜け切れていないと言われたら素直に同意してしまいます。
  個々の楽曲は微妙に色合いに違いを見せており、1960 年代のフォーク色が色濃いのは「Start Over Again」、「Man Of Principle」の2曲。 一方、1970 年代の SSW 的なものは、「Faraway」、「I Can’t Wait To See You」、「Don’t Just Say No」、「Different Days」などです。 なかには、元パンクの名残りがかすかに伝わる「Not You」や「There Was A Time」などもあります。 とくに後者は Velvet Underground のようです。

 このアルバムを取り上げたきっかけは、Joe Henry が昨年に発表したアルバム「Civilians」です。 ミュージック・マガジン誌の年間優秀アルバム(アメリカ編)の 1 位に選ばれたというこのアルバムに、Chris Hickey の名を見つけたのです。 ライナーノーツや多くのライターが、Van Dyke ParksBill Frisell の参加について言及した作品ですが、この Chris Hickey については誰も注目していないようです。 しかし、現代の鬼才 SSW ともいえる Joe Henry と Chris Hickey の交流には意外さを感じると同時にその理由を知りたくなりました。 なぜなら、わざわざゲストに招いてバックコーラスをしてもらうほどの声の持ち主ではないのですから。



■Chris Hickey / Frames Of Mind , Boundaries Of Time■

Side-1
June Fifth
Faraway
Carol
Start Over Again
Not You
I Can’t Wait To See You

Side-2
Man Of Principle
There Was A Time
Don’t Just Say No
Real Life Dangers
Different Days

All songs written and recorded by Chris Hickey
This album was recorded on a four-track cassette deck (fostex X15)
And mixed at Eldorado Recording Studio in Los Angeles with engineer Tom Root

CNC Records CH 1001


最新の画像もっと見る

コメントを投稿