Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Charles Browning

2008-11-15 | SSW
■Charles Browning / A Choirboy’s Lament■

  「翼ジャケット特集」の最終回は、Emmylou Harris がコーラスで参加していることで知られている Charles Browning のアルバム。 彼が 1976年に発表した作品です。 翼は翼でも、ここで描かれているのは鳥ではなく天使の翼。 ひとつひとつの羽根が丁寧に描かれており、前回、前々回に引けをとらないものだと思っています。 ちなみに、この絵を描いたのは Charles Browning の奥さんではないかと思われる Lani Browningです。

  さて、このアルバムはワシントン DC でレコーディングされたもので、確かに東海岸というよりはアパラチア周辺の香りのするアルバムになっています。 1 曲ですがダルシマーが使われていることもあり、そのようなイメージに聴こえるのかもしれません。 全 9 曲のうち 3 曲がインストゥルメンタルということもあって、内容はかなり地味なものになっています。

  では、まず Emmylou Harris が参加した 2 曲、A-2の「Take A Train」とラストの「Go Tell Aunt Rhody」から触れていきましょう。 「Take A Train」はフィドルとハーモニウムが陰鬱なトーンを演出しながらも後半の Emmylou Harris のコーラスが、色彩を取り戻すかのように響くミディアム。 アルバムのなかでも存在感の大きな楽曲です。このアルバムでの Emmylou Harris は、ジャケットの天使が抱えている真紅のバラのよう存在なのでしょう。 セピア色のなかに、彼女だけに色彩が許可されているかのようです。 
  ラストの「Go Tell Aunt Rhody」は Charles Browning、Julianne Wae とEmmylou の 3 人によるアカペラ・コーラス。 3 人のナチュラルな声が微妙な震えとなって心に届いてきます。 活発に活動していた 1970 年代の Emmylou Harris がどのような人脈で無名の Charles Browning と知り合ったのかは分かりませんが、この 2 曲はたしかにアルバムの核となる楽曲だと思います。
  しかし、個人的なベストトラックは、アルバムタイトルの「A Choirboy’s Lament」です。 歌詞の内容はわかりませんが、郷愁感漂う演奏と切ないボーカルが溶け合った見事な楽曲に仕上がっています。 ボーカルの入っている曲としては、前向きな姿勢が伝わってくる「The School At Laughing Waters」、ハワイアンのような雰囲気の温かな「Blue-eyed And Foolish」が標準的な出来でしょう。  トラディショナルみたいな雰囲気の渋いナンバー「Cod’ine」は重々しさに加え、エフェクティブなシンセが駆け巡るのですが、正直この曲は僕につらいです。
  残る「Dopico」、「Walkin’ To Glasgow」、「Yer Grandfather’s Guestroom」はインストですが、お勧めはダルシマーも加わった穏やかな「Yer Grandfather’s Guestroom」です。

  Sounds Reasonable Inc. という無名のレーベルからリリースされたこのアルバムは、セピア色のジャケットとざらっとした手触りもあって、大切に聴き続けたい作品ではあります。 しかし、この時代に生まれた多くの名作に匹敵する内容ではなく、名盤や傑作と呼ぶことは出来ません。  三ツ星評価で言えば、「星ひとつ半」というのが正直なところですが、「天使の翼」がもたらす魔力が多くの人を惑わしてしまう…そんなアルバムなのでしょう。



■Charles Browning / A Choirboy’s Lament■

Side-1
Dopico
Take A Train
Walkin’ To Glasgow
Cod’ine

Side-2
A Choirboy’s Lament
Blue-eyed And Foolish
Yer Grandfather’s Guestroom
The School At Laughing Waters
Go Tell Aunt Rhody

Initial recording sessions produced and arranged by Gary Burke

Recorded at Sounds Reasonable, Inc. Washington D.C.
Cover concept and art by Lani Browning

Charles Browning : 12 string guitar, 6 string guitar, dulcimer, del vecchio guitar
Mac Cridlin : fretless bass
Brian Silber : fiddle
Mike Auldridge : dobro
Scott Moyer : drums, congas, tablas
Gary Burke : piano, harmonium, synthesizer, tubular bells, sandpaper blocks, washtub bass
Johnny Rosen : cymbals
Jimmy Hopps : additional percussion
Emmylou Harris : harmony vocals
Julianne Wae : harmony vocals

A Sounds Reasonable, Inc. Production
SRI-83319-76


最新の画像もっと見る

コメントを投稿