■Ten Broek & Theresa / Reasons■
前回に続いてオレゴン州からのレコードを取り出してみました。 オレゴン州のマイナーレーベル、Riverbend Records から 1978 年に発表された Ten Broek & Theresa の素敵なアルバムです。
このアルバムを語るにはまずは素晴らしいジャケットから。 葉の落ちたポプラ並木の手前に佇む小さな家。 そして後方にはうっすらと虹がかかっています。 その光景を割れてガラスのない廃屋の窓から眺めているという描写のセンスだけで名盤の気配を感じてしまいます。 昨年 8 月に取り上げた Paul MacNeil の「If It Rains」を思い出しますが、共通してるのは虹の存在とその向きでした。
さて、アルバムの本題に移りましょう。 Ten Broek & Theresa は男女の 2 人コンビ。 それぞれ Jon Ten Broek と Theresa Demarest が本名です。 そうなると、Ten Broek & Demarest となるのが普通だと思いますが、そのあたりの事情は察する術もありません。 サウンドは、お互いがリードボーカルをとるために、変化に富み、飽きの来ない良質の SSW 作品となっています。
女性の Theresa Demarest がリードを務める曲は名曲ぞろいです。 オープニングの「Nobody Else」は、Daniel Moore の曲ですが、ミディアムな流れに Jon Ten Broek のコーラス、そしてベースソロが絡むあたりは聴き応えがあり、オープニングにふさわしい佳作となっています。 自身のピアノの弾き語り風の曲としては「I Love You」と「My Song Has No Words」がありますが、どちらもシンプルな構成。 前者は純粋なラブソングでフルートが震える心を描写しているかのよう。 後者はもしかして失恋や落胆を表現しているのか、アルバム中では最も陰鬱なイメージです。 アルバムタイトル曲の「Reasons」も、お得意のミディアム・バラード。 Jon Ten Broek のコーラスや美しいフルートソロが曲を引き立てています。
と、ここまで書きましたが、アルバムの最大のハイライトは「Haven’t Got The Time」でしょう。 Theresa のペンによるスロー・バラードなのですが、軽くジャジーなアレンジに美しく昇華するメロディー、それに呼応するかのようなセンスあふれるギターソロ、ピアノソロなど、サウンド全体が奇跡的に一体化している名曲となっています。 この時代のスタンダードになってもおかしくないと思うほどです。
続いて、相棒の Jon Ten Broek のボーカル曲をピックアップします。 A 面 2 曲目の「Last Phone Call」は、心暖まるミディアムなバラードで、Theresa のバックコーラスもあり、充実度満点の出来となっています。 ところが、他の曲はどうかというと「Ramblin’」は 2 拍子の明るいアップチューン、「Funeral Song」も典型的なカントリー・ワルツの凡庸な仕上がり。 B 面に移っても、オールドタイムなジャグ「Oh, Sweet Darlin’」、平凡な 2 拍子「Sea Maid」といったように個性に欠ける楽曲となっています。 ラスト 2 曲の「Move On」も、平均点のミディアム、「Crimson Rose」は、Jon Ten Broek とのデュエットがあってこその楽曲という印象です。
このようにコメントすればお分かりのように、このアルバムは Jon Ten Broek が主人公ではなく Theresa Demarest こそがメインだと感じます。 残念ながら、美しい楽曲の合間の息抜きとして、Jon Ten Broek の曲が存在していると言っても過言ではありません。 そう考えると、むしろ Theresa Demarest のソロ・アルバムが聴きたかったとさえ思います。 それは言い過ぎかもしれませんし、今さらどうこう言ってもどうにもならないことかもしれません。 しかし、Theresa Demarest の楽曲のクオリティには、音楽が奇跡を起こす寸前の輝きを感じざるを得ないのです。
■Ten Broek & Theresa / Reasons■
Side-1
Nobody Else
Last Phone Call
Ramblin’
I Love You
Funeral Song
Reasons
Side-2
Oh, Sweet Darlin’
Haven’t Got The Time
Sea Maid
My Song Has No Words
Move On
Crimson Rose
Producers : Theresa Demarest , Jim ‘Spook’ Flanagan , Kriss Smith
Theresa Demarest : vocals , acoustic guitar , piano
Jon Ten Broek : vocals , acoustic guitar ,rhythm guitar
Mike Reed : clavinet , synthesizer , organ , fender rhodes
Martin Wilson : solo guitar
Mike LaRue : drums , congas
Jim ‘Spook' Flanagan : bass , solo bass
Kriss Smith : violin , viola
Kathy Smith : violin
Janie Smith : flute
Tom Shelden : clarinet , alto saxophone
Maryl Cannon : alto saxophone
Background vocals on ‘Reasons’ : Kathy ,Kriss and Janie Smith
Snakers in ‘Move On’ : Kriss Smith
Riverbend Records RBR97701-1
前回に続いてオレゴン州からのレコードを取り出してみました。 オレゴン州のマイナーレーベル、Riverbend Records から 1978 年に発表された Ten Broek & Theresa の素敵なアルバムです。
このアルバムを語るにはまずは素晴らしいジャケットから。 葉の落ちたポプラ並木の手前に佇む小さな家。 そして後方にはうっすらと虹がかかっています。 その光景を割れてガラスのない廃屋の窓から眺めているという描写のセンスだけで名盤の気配を感じてしまいます。 昨年 8 月に取り上げた Paul MacNeil の「If It Rains」を思い出しますが、共通してるのは虹の存在とその向きでした。
さて、アルバムの本題に移りましょう。 Ten Broek & Theresa は男女の 2 人コンビ。 それぞれ Jon Ten Broek と Theresa Demarest が本名です。 そうなると、Ten Broek & Demarest となるのが普通だと思いますが、そのあたりの事情は察する術もありません。 サウンドは、お互いがリードボーカルをとるために、変化に富み、飽きの来ない良質の SSW 作品となっています。
女性の Theresa Demarest がリードを務める曲は名曲ぞろいです。 オープニングの「Nobody Else」は、Daniel Moore の曲ですが、ミディアムな流れに Jon Ten Broek のコーラス、そしてベースソロが絡むあたりは聴き応えがあり、オープニングにふさわしい佳作となっています。 自身のピアノの弾き語り風の曲としては「I Love You」と「My Song Has No Words」がありますが、どちらもシンプルな構成。 前者は純粋なラブソングでフルートが震える心を描写しているかのよう。 後者はもしかして失恋や落胆を表現しているのか、アルバム中では最も陰鬱なイメージです。 アルバムタイトル曲の「Reasons」も、お得意のミディアム・バラード。 Jon Ten Broek のコーラスや美しいフルートソロが曲を引き立てています。
と、ここまで書きましたが、アルバムの最大のハイライトは「Haven’t Got The Time」でしょう。 Theresa のペンによるスロー・バラードなのですが、軽くジャジーなアレンジに美しく昇華するメロディー、それに呼応するかのようなセンスあふれるギターソロ、ピアノソロなど、サウンド全体が奇跡的に一体化している名曲となっています。 この時代のスタンダードになってもおかしくないと思うほどです。
続いて、相棒の Jon Ten Broek のボーカル曲をピックアップします。 A 面 2 曲目の「Last Phone Call」は、心暖まるミディアムなバラードで、Theresa のバックコーラスもあり、充実度満点の出来となっています。 ところが、他の曲はどうかというと「Ramblin’」は 2 拍子の明るいアップチューン、「Funeral Song」も典型的なカントリー・ワルツの凡庸な仕上がり。 B 面に移っても、オールドタイムなジャグ「Oh, Sweet Darlin’」、平凡な 2 拍子「Sea Maid」といったように個性に欠ける楽曲となっています。 ラスト 2 曲の「Move On」も、平均点のミディアム、「Crimson Rose」は、Jon Ten Broek とのデュエットがあってこその楽曲という印象です。
このようにコメントすればお分かりのように、このアルバムは Jon Ten Broek が主人公ではなく Theresa Demarest こそがメインだと感じます。 残念ながら、美しい楽曲の合間の息抜きとして、Jon Ten Broek の曲が存在していると言っても過言ではありません。 そう考えると、むしろ Theresa Demarest のソロ・アルバムが聴きたかったとさえ思います。 それは言い過ぎかもしれませんし、今さらどうこう言ってもどうにもならないことかもしれません。 しかし、Theresa Demarest の楽曲のクオリティには、音楽が奇跡を起こす寸前の輝きを感じざるを得ないのです。
■Ten Broek & Theresa / Reasons■
Side-1
Nobody Else
Last Phone Call
Ramblin’
I Love You
Funeral Song
Reasons
Side-2
Oh, Sweet Darlin’
Haven’t Got The Time
Sea Maid
My Song Has No Words
Move On
Crimson Rose
Producers : Theresa Demarest , Jim ‘Spook’ Flanagan , Kriss Smith
Theresa Demarest : vocals , acoustic guitar , piano
Jon Ten Broek : vocals , acoustic guitar ,rhythm guitar
Mike Reed : clavinet , synthesizer , organ , fender rhodes
Martin Wilson : solo guitar
Mike LaRue : drums , congas
Jim ‘Spook' Flanagan : bass , solo bass
Kriss Smith : violin , viola
Kathy Smith : violin
Janie Smith : flute
Tom Shelden : clarinet , alto saxophone
Maryl Cannon : alto saxophone
Background vocals on ‘Reasons’ : Kathy ,Kriss and Janie Smith
Snakers in ‘Move On’ : Kriss Smith
Riverbend Records RBR97701-1
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