Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

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Theresa Demarest

2008-09-21 | SSW
■Theresa Demarest / Ariel■

  Theresa Demarest は 1970 年代から活動しているミュージシャン。 Tom & Theresea として 2 枚、Ten Broek & Theresea で 1 枚のレコードを残していますが、このアルバムは 1980 年になって彼女がソロ名義で発表したファースト・アルバムです。 デュオ名義だった過去のアルバムでは、男性よりも存在感があった Theresa Demarest のソロということで、欲しかった 1 枚ですが、ようやく入手することができました。 
  レーベルは Ten Broek & Theresea や John Ten Broek のソロアルバムと同じ Riverbend ですので、大きく環境が変わったということはないのですが、1970 年代からにじみ出ていたアーバンでジャジーなサウンドが強まった感のある作品となっています。

 アルバムは 4 ビートのジャズ「Tell Me Everything’s Nice」で幕を開けます。 Jonathan McLaughlin の転がるようなピアノが特に印象的ですが、ここまでジャズ寄りの楽曲でスタートするとは少々意外です。 つづく「Oh, Babe」はパーカッションの雰囲気が Carole King の「Brother, Brother」を彷彿とさせるナンバー。 この曲もピアノやギターのセンスが光ります。 ギタリスト Martin Wilson の手による「Dancer」は、ラテンのリズムと羽のように軽やかな Theresa Demarest のボーカルがマッチしたグルーヴ感あふれるナンバー。 フルートなどの管楽器のソロが入れば申し分なかったと思います。つづく「Sunshine」は、驚きのナンバーでもありこのアルバムのハイライトです。 というのもピアノのイントロやメロディーの雰囲気が、Norah Jones の名曲「Don’t Know Why」にそっくりなのです。 このようなオールドタイミーな楽曲は五万とあるかもしれませんが、息を呑みました。 A 面ラストの「Ridin’ Down Highways」はライト&スムースな楽曲。 ここでもピアノの Jonathan McLaughlin による好サポートが目立ちます。

 B 面は、複雑なアレンジの「You Got Everything Babe」でスタート。 細かいリズムの刻み方やサックスのソロの入り方など、Steely Dan を意識したことは確実でしょう。 つづく「A Feeling For You」は珠玉の名曲。 久しぶりにこんなに美しいバラードに出会えて感動してしまいました。 流麗なピアノ、美しい旋律、そしてTheresa Demarest の抑制されたエモーションと、どこをとっても欠点に見当たらない名曲です。 「Wake Up」はライトなパーカッションをバックにしたメロウなナンバー。 アレンジやソロパートなどクオリティは高いです。 「Oh, How I Feel」は、珍しくコーラスに厚みを持たせたミディアム。 ラストの「Ariel」はピアノを中心とした地味なナンバー。 バラエティに富んだアルバムを締めくくるには、こうした楽曲のほうが余韻を残すということを、よく分かっている曲順だなあと感心しました。

  このようにアルバムのクオリティは見事なものです。 1970 年代はどうしても脇役の存在だった彼女がようやく主人公となったのがこの作品ですから、彼女の創作意欲が頂点となっていたことは容易に想像できます。 この勢いで活動を盛んにしていれば、彼女はもっと多くのアルバムを世に残すことができたはずです。 しかし、次のレコードが発表されたのは 1992 年。 この 10 年の間に何があったのかは分かりませんが、Theresa Demarest はその後 4 年おきにアルバムを発表しており、ここ数年が最もリリースが多いような状態です。
 
  Theresa Demarest のソロ・アルバムはこの作品しか聴いていませんが、1970 年代の女性シンガーソングライターの作品が好きな方の琴線をくすぐることは間違いないでしょう。 特にジャズや AOR など、アダルト指向の強い SSW サウンドが好みであればなおさらです。
  このアルバムには Tom & Theresea や Ten Broek & Theresa で見せた姿よりも、堂々として力強く、エモーショナルで気品の高い一人の女性の姿がありました。



■Theresa Demarest / Ariel■

Side-1
Tell Me Everything’s Nice
Oh, Babe
Dancer
Sunshine
Ridin’ Down Highways

Side-2
You Got Everything Babe
A Feeling For You
Wake Up
Oh, How I Feel
Ariel

Producer : Theresa Demarest
Arranger : Martin Wilson
Words and Music : Theresa Demarest
except ‘Dancer’ and ‘A Feeling For You’ by Martin Wilson

Theresa Demarest : vocals
Mike LaRue : drums
Tommy Russo : backing vocals
Lezlie Botkin : backing vocals
Jim Solberg : bass
Martin Wilson : lead guitar
Jonathan McLaughlin : piano
Gary Clinton : sax

Riverbend Records RBR97701-2
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