Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Gary Dunbar

2006-04-01 | SSW
■Gary Dunbar / Lonely Song■

 今年になってから出会ったアルバムの中では、ベストともいえるアルバムをご紹介します。 そもそも、僕は現在ではそれほど熱心にレコードを探しているわけではないのですが、時折ネット通販でチェックしてレコードを買ったりはします。 そのなかに含まれていたのがこのレコードです。 海外からの通販が多い中、これはGrampa (3/11掲載)と同時に国内の通販サイトで買うことができました。
 このアルバム、「Lonely Song」というタイトルでかなり心が動かされ、このジャケットを見たときには、まず間違いないだろうと勝手に確信したものです。
 Gary Dunbar の自主制作と思われるこのレコードは、1977年に発表されました。 アルバムは二つ折りのジャケットで紙質もしっかりしています。 なのに、裏ジャケットと背中には何の印刷もありません。 内側には兄弟なのでしょう、Gary Dunbar、Debbie Dunbar、Dave Dunbar の3人の写真と全曲の歌詞が掲載されています。 
 このアルバムはそんな Dunbar 兄弟と仲間たちが集まって制作された暖かみあふれる作品。 しかし、スタジオやレコード会社の所在地などの情報が記載されていないため、どこで作られたのを知ることはできません。 North Country Records というレーベル名から、おそらく北部、カナダに近いほうだとは思いますが。 
 アルバムは、タイトル曲の「Lonely Song」で幕を開けますが、この曲がいきなり名曲。ちょっとメロウなピアノをバックに Gary がしっとりと歌うドリーミーな曲です。 Ann Lockwood の奏でる oboe の旋律がこの曲をより引き立てています。 続く「Living A Lie」は一転して Pedal Steel が鳴り響くカントリータッチの曲。 妹(?)の Debbie Dunbar がバックコーラスで参加している唯一の曲でもあります。 バイクの走り出すSEで始まる「Burger Jock」もこれまた名曲。 まるで The Beach Boys みたいなロックンロールなのですが、音はスカスカでほのぼの。 ちょっと、Jonathan Richman を思い出しました。 「On My Way」もカントリー調の曲。 「Indian Prayer」は宗教的なメッセージのこもったミディアム・ナンバーです。
 B面に移ると、カントリーロックの「Another Lonesome Highway Song」、慈愛に満ちたワルツの「Tired Cowboy」と続きます。 「Sweet Sadness」もまた名曲。 ちょっとボサノバタッチのアレンジに Ann Lockwood の oboe がかなります。 この雰囲気は、Everything But The Girl の Ben Watt のソロのような気分です。 Ben Watt ほどの陰影はありませんが。 続いて、ポップなミディアムチューンの「Don’t Walk Alone」、ラストにふさわしい「Goodbye」へと移ります。 この曲のみ、 Gary Dunbar 一人で録音されています。
 こうしてひと通り聴いてみると、多彩な Gary Dunbar の多重録音に、弟(?)のDaveの必要最低限のドラムスというのが標準セット。 曲調によって、この標準セットに楽器トッピングをしていくというスタイルであることが分かります。 カントリー調の曲には、Fiddle や Pedal Steel を、バラードには oboe や sax を、というオーソドックスな、ものではありますが。
 最初にも書きましたが、このレコードには外からみて背タイトルもないし、品番も表記されていません。 おそらくレコード店にはあまり流通せず、Dunbar 兄弟の友人や知人の間でだけ売られただけなのだと思われます。 プレス枚数も少ないのでしょう。 僕は運よく手にすることができましたが、このアルバムに収録された音楽は、Dunbar 家とその周辺のものだけにしておくには、ちょっともったいない魅力を有しています。



■Gary Dunbar / Lonely Song■

Side-1
Lonely Song
Living A Lie
Burger Jock
On My Way
Indian Prayer

Side-2
Another Lonesome Highway Song
Tired Cowboy
Sweet Sadness
Don’t Walk Alone
Goodbye

Gary Dunbar : vocals , piano , bass , synthesizer , acoustic guitar, electric guitar
Debbie Dunbar : background vocals on ‘Living A Lie
Dave Dunbar : drums except ‘Goodbye’

Ann Lockwood : oboe on `Loney Song’ and ‘Sweet Sadness’
Tom Lockwood : sax on ‘Don’s Walk Alone’
Jerry Hendrix : pedal steel guitar on ‘Livin A Lie’ , ‘Another Lonesome Highway Song’ and ‘Tired Cowboy’
Charlie Hirschfield : bass on ‘Burger Jock’
Roger Harcourt : background vocal , bass on ’On My Way’ and ‘ Tired Cowboy’
Dick Maddey : fiddle on ‘On My Way’
Rick West : background vocal , banjo and mandolin on ‘On My Way’
Jay Fortier : background vocal , bass on ‘ Tired Cowboy’

All Songs by Gary Dunbar
Produced by Gary Dunbar
Engineerd by Debbie Dunbar , Dave Dunbar
Cover Photo by Patti Taylor

North Country Records


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