■Debbie Friedman / Sing Unto God■
前回とりあげた、Debbie Friedman のファーストアルバムです。 制作年の表記はないのですが、’72 Choir というクレジットから、1972 年の作品だと思われます。 レコーディングは前作同様ミネソタの Sound 80 ということもあり、エンジニアも同じ Dean Klinefelter なのですが、参加ミュージシャンはセカンドとは全員違う面々です。
このアルバムは Debbie Friedman 名義での作品なのですが、実態はミネソタ州都セントポールの Highland Park Senior High School のコーラスが主役と言ってもいいでしょう。 ほとんどの曲をこのコーラスがメインで歌唱し、Debbie Friedman がリードをとる楽曲は「Sh’ma」「Let Us Adore」そして「The Kaddish」の 3 曲しかないのです。 コーラスがメインとなる楽曲は、高校生の合唱コンクールのようなアマチュア感あふれる仕上がりですが、曲の題材やアルバムのコンセプトの影響もあり、清楚で神聖なベールに包まれたようなイメージです。 「Si Shalom」や「May The Words」のように伴奏がギターだけの曲は、その印象はさらに強まります。
一方、リズムセクションの入った曲はアップテンポなものが多く、Fifth Dimension に近い高揚感が感じられます。 曲ごとに入れ替わるその静と動の対比もアルバムの特徴となっています。 「Yismechu」や「Mi Chamocha」などがそういった「動」の部類に入る楽曲です。
Debbie Friedman がボーカルをとる 3 曲のなかで、もっとも 70 年代の SSW 的な味わいなのが「Sh’ma」です。 「The Kaddish」は、ややルーズな佇まいがローラ・ニーロに近いものを感じます。 しかし、いずれも 2 分足らずで終わってしまい、フェードアウトも雑なので、じっくりと聴いている余裕などありません。
アルバムはタイトル曲「Sing Unto God」を A 面 1 曲目と B面ラストをサンドイッチ状態で配置しており、リプライズ的に幕を閉じます。 この構造はセカンドでも同様でしたので、これには明確な意図があったのでしょう。 起承転結とか輪廻転生といった意味合いかもしれません。
30 分にも満たないこのアルバムを振り返ってみましたが、このアルバムはDebbie Friedman の習作として位置づけるべきだと思います。 ボーカルが 3 曲しかないこともあるのですが、それ以上に彼女の存在感が希薄なのです。 全曲を彼女が書いているにしては、遠慮がちで前面に出てこない感じが気になります。 彼女と Highland Park Senior High School との関係は、卒業生と母校の関係なのでしょうか。 それとも、単にコーラスの上手な学校にお願いしたのかはわかりませんが、彼女一人では大勢の高校生に立ち向かうのはあまりにも荷が重すぎたという印象です。 Debbie Friedman は当時 21 歳ですので、無理もないというところです。
ですから、彼女のアルバムを聴くのであれば、1974 年の「Not By Might Not By Power」から順を追っていくのが理想かもしれません。 1976 年発表の「Ani Ma-Amin」などは年代的にも期待できそうなので、見つけたら聴いてみたいと思っています。
■Debbie Friedman / Sing Unto God■
Side-1
Sing Unto God
L’cha Dodi
Barechu
Sh’ma
V’havtah
Mi Chamocha
Side-2
Si Shalom
May The Words
Yismechu
Let Us Adore
Ba Yom Ha-Hu
The Kaddish
Sing Unto God
Soloist and Lead Guitar : Debbie Friedman
Bass Guitar : Mark Leonard
Drums : Bob Cohen
Piano : Brad Momsen
Choir : 72’ CAMERATA of Highland Park Senior High School St.Paul, Minnesota
Sound Engineer : Dean Klinefelter of Sound 80 Studios
321-S-80321
前回とりあげた、Debbie Friedman のファーストアルバムです。 制作年の表記はないのですが、’72 Choir というクレジットから、1972 年の作品だと思われます。 レコーディングは前作同様ミネソタの Sound 80 ということもあり、エンジニアも同じ Dean Klinefelter なのですが、参加ミュージシャンはセカンドとは全員違う面々です。
このアルバムは Debbie Friedman 名義での作品なのですが、実態はミネソタ州都セントポールの Highland Park Senior High School のコーラスが主役と言ってもいいでしょう。 ほとんどの曲をこのコーラスがメインで歌唱し、Debbie Friedman がリードをとる楽曲は「Sh’ma」「Let Us Adore」そして「The Kaddish」の 3 曲しかないのです。 コーラスがメインとなる楽曲は、高校生の合唱コンクールのようなアマチュア感あふれる仕上がりですが、曲の題材やアルバムのコンセプトの影響もあり、清楚で神聖なベールに包まれたようなイメージです。 「Si Shalom」や「May The Words」のように伴奏がギターだけの曲は、その印象はさらに強まります。
一方、リズムセクションの入った曲はアップテンポなものが多く、Fifth Dimension に近い高揚感が感じられます。 曲ごとに入れ替わるその静と動の対比もアルバムの特徴となっています。 「Yismechu」や「Mi Chamocha」などがそういった「動」の部類に入る楽曲です。
Debbie Friedman がボーカルをとる 3 曲のなかで、もっとも 70 年代の SSW 的な味わいなのが「Sh’ma」です。 「The Kaddish」は、ややルーズな佇まいがローラ・ニーロに近いものを感じます。 しかし、いずれも 2 分足らずで終わってしまい、フェードアウトも雑なので、じっくりと聴いている余裕などありません。
アルバムはタイトル曲「Sing Unto God」を A 面 1 曲目と B面ラストをサンドイッチ状態で配置しており、リプライズ的に幕を閉じます。 この構造はセカンドでも同様でしたので、これには明確な意図があったのでしょう。 起承転結とか輪廻転生といった意味合いかもしれません。
30 分にも満たないこのアルバムを振り返ってみましたが、このアルバムはDebbie Friedman の習作として位置づけるべきだと思います。 ボーカルが 3 曲しかないこともあるのですが、それ以上に彼女の存在感が希薄なのです。 全曲を彼女が書いているにしては、遠慮がちで前面に出てこない感じが気になります。 彼女と Highland Park Senior High School との関係は、卒業生と母校の関係なのでしょうか。 それとも、単にコーラスの上手な学校にお願いしたのかはわかりませんが、彼女一人では大勢の高校生に立ち向かうのはあまりにも荷が重すぎたという印象です。 Debbie Friedman は当時 21 歳ですので、無理もないというところです。
ですから、彼女のアルバムを聴くのであれば、1974 年の「Not By Might Not By Power」から順を追っていくのが理想かもしれません。 1976 年発表の「Ani Ma-Amin」などは年代的にも期待できそうなので、見つけたら聴いてみたいと思っています。
■Debbie Friedman / Sing Unto God■
Side-1
Sing Unto God
L’cha Dodi
Barechu
Sh’ma
V’havtah
Mi Chamocha
Side-2
Si Shalom
May The Words
Yismechu
Let Us Adore
Ba Yom Ha-Hu
The Kaddish
Sing Unto God
Soloist and Lead Guitar : Debbie Friedman
Bass Guitar : Mark Leonard
Drums : Bob Cohen
Piano : Brad Momsen
Choir : 72’ CAMERATA of Highland Park Senior High School St.Paul, Minnesota
Sound Engineer : Dean Klinefelter of Sound 80 Studios
321-S-80321