Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Jeff Eubank

2006-03-06 | SSW
■Jeff Eubank / A Street Called Straight■
 
 今日ご紹介する Jeff Eubank のこのアルバムは本人の経歴やキャリアも知られていないこともあり、アメリカでもかなりの rare item になっているようです。 唯一検索された海外のサイトでも、『This singer songwriter LP was discovered by collectors some twenty years after its release.』 と紹介されています。 20年も経ってから発見されるアルバムなんて実在するのでしょうか? 発売が直前に中止になり、お蔵入りされていた在庫がまるで倉庫から発見されたかのように見つかったということなのでしょうか? 僕が入手したレコードも、Sealed 状態でしたので、その推測もまんざら嘘ではないかもしれません。
 さて、そんな Jeff Eubank の唯一と思われるこのアルバムですが、なかなかひと言では表現しづらい捉えどころのない作品です。 無理やりひと言で言うと地味なアルバムということになりますが。 1曲目の「Feel Like Me」は、アルバムのなかでも最もチャッチーな曲です。 Jeff のけだるいボーカルと主張しすぎないギターソロなど、アルバム1曲目にふさわしい曲です。 全部自身の多重録音と思われる「For Your Turn」や、子供だまし的なSEが盛り込まれた「Earthian Children」などを経て、聴き所の「Kamikaze Pilot」となります。 この曲は雄大な重々しさとサイケデリックな浮遊感とが相まった風変わりな曲で、このアルバムの代表曲です。
 B面では、「Seventeen On The Planet」がギターとシンセをバックにしたちょっと幻想的な小曲で印象的です。 表題曲など他の曲は、際立った曲もなく、ラストも特に盛り上がらないままこのアルバムが幕を閉じます。 クレジットを見ると、リズムセクション以外のほとんどを自分で演奏していたと思われますが、外見はどこにでもいそうなアメリカの青年なんですよね。
 こんな青年を陰であやつっていたと思われるのが、クレジットにもあるプロデューサーの Tom Mardikes です。 SSW の作品にプリペアド・ピアノというクレジットがあるのはこのアルバムくらいではないでしょうか? ネットで調べたところ、Tom Mardikes は今ではミズーリ大学でサウンドデザインを教えているとのことです。
 ミズーリ州 Kansas City に隣接した Lee's Summit から1983年に突然現れ、何もなかったかのようにシーンから消えていった Jeff Eubank 。 A Street Called Straight と同名のアルバムは、Roy Buchanan のアルバムにあります (邦題は「メシアが再び」) が、そんなことはまったく関係ないまま、このアルバムは世界の片隅にこっそりと存在し、今日も世界中で数人程度のコレクターに狙われ続けているのです。




■Jeff Eubank / A Street Called Straight■

Side-1
Feels Like Me
For Your Return
To Make A Way
Inside
Earthian Children
Kamikaze Pilot

Side-2
Summersong
Seventeen On The Planet
No Need For The Ground
A Street Called Straight
Adolescent Daydream

All Songs written by Jeff Eubank

Jeff Eubank : vocals , acoustic guitars , flutes , synthesizers , piano Allen Decamp : electric guitars , mandolin
Mark Cohick : flutes , saxophone
Don Harris : bass
John Cushon : drums
Fred Bizzard : drums
Gary Schroeder : congas
Scott McDonald : synthesizer , disc jockey

Produced by Tom Mardikes , Jeff Eubank
Engineering : Tom Mardikes
Prepared Piano and Sound effects : Tom Mardikes
Front Cover Illustration : Andrew W.Batcheller
Back Cover Photography : Nick Vedros
Art Direction : Garrett Boge

Dorothea Records DR11


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
通りがかりのものです (L0k1 dePlume)
2010-12-19 23:09:56
びっくりしました。 Tom Mardikes は今どうしているのか?と思って、検索したら、このページに行きつきました。 90年代にTom Mardikes氏の下でアシスタントをさせてもらったものです。そして今もその経験で喰っています。そして彼の影響は偉大としか言いようがなく、まさに命の恩人です。いまも UMKC で教えているのかは分かりませんが、近々コンタクトをとってみます(^^)ありがとうございました。
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驚きました (Milkwood)
2010-12-20 09:00:06
このレコードも最近CD化されましたので、入手してみてください。
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