■Georgie / Only Me■
せっかくの連休なのに、腰痛になってしまいしばらくパソコンに向かうこともままならないほどでした。 自宅で静養しながら、何気ない普段の生活のありがたみを切に感じているところです。
さて、今日取り出したのは、5 月の陽気に相応しいメロウなブリーズ感覚あふれる Georgie の唯一の作品です。 彼の本名は George Rizzo といい何と 14 人兄弟の末っ子。 6 歳の頃から働きはじめたという経歴は、今では児童労働となってしまい公表できない事象ですが、それほど経済的には厳しい環境の中だったのでしょう。 このアルバムが発表されたのは 1971 年に George Rizzo が何歳だったのか不明ですが、彼が何百もの町をヒッチハイクをしながら仕事を転々としてきた経験から生み出された音楽がここに凝縮されていました。 とくに暇があればつま弾いていたであろうギターの音色はこのアルバムの最大の魅力です。
レコードに針を落とした瞬間、鮮やかなギターの音色にのけぞってしまう「Scarlet Lace」でアルバムはスタート。 この珠玉の名曲だけで、Georgie のサウンド指向がほぼ把握できます。 ソフトロックのようでもあり、ネオアコのようでもある「Fly」、シンプルな構成のなかにも情念豊かなボーカルが力強い「The Brown Eyed Kind」とアルバムは進行。 ピアノを中心とした MOR 風バラード「A Man’s Kind Of Woman」は彼の個性が前面に出てこないところが残念な印象。 ギターを再び抱えた「When The Good Times Rolled」は憂いを帯びた弾き語り。 解き放たれたような弦の響きと疾走感が心地よい「A Million Miles High」で充実したA面が締めくくられます。
B 面に移りましょう。 まずは、優しい木漏れ日のようなミディアム「Mrs. Martin」で納得のいく立ち上がり。 ノスタルジックなホンキートンク・ピアノが印象に残る「Candy Store Blues」は後半に登場するブズーギも効果的。 つづく「Next Summer」は Ben Watt のソロ「North Marine Drive」に入っていてもおかしくない曲。 ほんわりした浮遊感がたまりません。 ひとりぼっちの孤独感を歌った切ないバラード「Only Me」は彼のこれまでの人生を歌ったものなのでしょう。 ヒット向きではないのですが、唯一シングルカットされた曲です。 つづく「Your Cake And Eat It」もしっとりした弾き語り。ギターの音色が荒っぽいけどまろやかという不思議な感じです。 ラストの「I’ll Chase Your Tears Away」では、映画のラストシーンのような安らかなムードに包まれならがエンディングを迎えていきます。
このようにアルバムをレビューしてみましたが、このアルバムは隠れた名盤として語りつがれてもおかしくないないクオリティということを再認識しました。 1971 年という時代には早すぎた感すらあります。 このまま何枚かアルバムをリリースしていけば、Kenny Rankin や Michael Franks のようになったかもしれません。 あるいは、もっと AOR に寄った進化もあったかもしれません。 しかし、不幸なことに GWP はこのアルバムを最後の作品としてリリースした後に、倒産してしまったのです。 それを知った彼の失意はいかほどのものだったのでしょうか。 苦労して手にしかけた夢が途絶えてしまったのです。
彼のその後については誰にもわかりませんが、自身のリリースはおろか、セッションとしての参加や楽曲提供もほとんど無かったようです。 ところが、興味深いサイトを発見しました。 Explore Talent というサイトに彼が登録していたのです。 それによると彼は現在 60 歳、まだニューヨークに在住しており、まだ音楽活動に意欲を燃やしているようでした。 どんなに辛いことがあっても乗り越えていく… 彼もそうした強い人間のひとりだったのです。
■Georgie / Only Me■
Side 1
Scarlet Lace
Fly
The Brown Eyed Kind
A Man’s Kind Of Woman
When The Good Times Rolled
A Million Miles High
Side 2
Mrs. Martin
Candy Store Blues
Next Summer
Only Me
Your Cake And Eat It
I’ll Chase Your Tears Away
Produced by Andy Wiswell
Published by Five Stars Music Inc.
Words and Music by George Rizzo
Conducted by Dick Hyman
Recorded at Century Sound Studio
Engineer : Joe Benneri
GWP records / ST-2040
せっかくの連休なのに、腰痛になってしまいしばらくパソコンに向かうこともままならないほどでした。 自宅で静養しながら、何気ない普段の生活のありがたみを切に感じているところです。
さて、今日取り出したのは、5 月の陽気に相応しいメロウなブリーズ感覚あふれる Georgie の唯一の作品です。 彼の本名は George Rizzo といい何と 14 人兄弟の末っ子。 6 歳の頃から働きはじめたという経歴は、今では児童労働となってしまい公表できない事象ですが、それほど経済的には厳しい環境の中だったのでしょう。 このアルバムが発表されたのは 1971 年に George Rizzo が何歳だったのか不明ですが、彼が何百もの町をヒッチハイクをしながら仕事を転々としてきた経験から生み出された音楽がここに凝縮されていました。 とくに暇があればつま弾いていたであろうギターの音色はこのアルバムの最大の魅力です。
レコードに針を落とした瞬間、鮮やかなギターの音色にのけぞってしまう「Scarlet Lace」でアルバムはスタート。 この珠玉の名曲だけで、Georgie のサウンド指向がほぼ把握できます。 ソフトロックのようでもあり、ネオアコのようでもある「Fly」、シンプルな構成のなかにも情念豊かなボーカルが力強い「The Brown Eyed Kind」とアルバムは進行。 ピアノを中心とした MOR 風バラード「A Man’s Kind Of Woman」は彼の個性が前面に出てこないところが残念な印象。 ギターを再び抱えた「When The Good Times Rolled」は憂いを帯びた弾き語り。 解き放たれたような弦の響きと疾走感が心地よい「A Million Miles High」で充実したA面が締めくくられます。
B 面に移りましょう。 まずは、優しい木漏れ日のようなミディアム「Mrs. Martin」で納得のいく立ち上がり。 ノスタルジックなホンキートンク・ピアノが印象に残る「Candy Store Blues」は後半に登場するブズーギも効果的。 つづく「Next Summer」は Ben Watt のソロ「North Marine Drive」に入っていてもおかしくない曲。 ほんわりした浮遊感がたまりません。 ひとりぼっちの孤独感を歌った切ないバラード「Only Me」は彼のこれまでの人生を歌ったものなのでしょう。 ヒット向きではないのですが、唯一シングルカットされた曲です。 つづく「Your Cake And Eat It」もしっとりした弾き語り。ギターの音色が荒っぽいけどまろやかという不思議な感じです。 ラストの「I’ll Chase Your Tears Away」では、映画のラストシーンのような安らかなムードに包まれならがエンディングを迎えていきます。
このようにアルバムをレビューしてみましたが、このアルバムは隠れた名盤として語りつがれてもおかしくないないクオリティということを再認識しました。 1971 年という時代には早すぎた感すらあります。 このまま何枚かアルバムをリリースしていけば、Kenny Rankin や Michael Franks のようになったかもしれません。 あるいは、もっと AOR に寄った進化もあったかもしれません。 しかし、不幸なことに GWP はこのアルバムを最後の作品としてリリースした後に、倒産してしまったのです。 それを知った彼の失意はいかほどのものだったのでしょうか。 苦労して手にしかけた夢が途絶えてしまったのです。
彼のその後については誰にもわかりませんが、自身のリリースはおろか、セッションとしての参加や楽曲提供もほとんど無かったようです。 ところが、興味深いサイトを発見しました。 Explore Talent というサイトに彼が登録していたのです。 それによると彼は現在 60 歳、まだニューヨークに在住しており、まだ音楽活動に意欲を燃やしているようでした。 どんなに辛いことがあっても乗り越えていく… 彼もそうした強い人間のひとりだったのです。
■Georgie / Only Me■
Side 1
Scarlet Lace
Fly
The Brown Eyed Kind
A Man’s Kind Of Woman
When The Good Times Rolled
A Million Miles High
Side 2
Mrs. Martin
Candy Store Blues
Next Summer
Only Me
Your Cake And Eat It
I’ll Chase Your Tears Away
Produced by Andy Wiswell
Published by Five Stars Music Inc.
Words and Music by George Rizzo
Conducted by Dick Hyman
Recorded at Century Sound Studio
Engineer : Joe Benneri
GWP records / ST-2040
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます