■Bill Destler / September Sky■
毎年、秋の訪れとともにレコード棚から引っ張り出す 1枚。 このブログを立ち上げたときから、9 月の最終投稿はこのアルバムにしようと密かに思っていたレコードです。
これは、いまやバンジョーコレクターとして有名らしい Bill Destler が 1973 年に残した唯一のアルバム。 セピア色のジャケット、茂みに座ってギターを爪弾く Bill の姿、そして大きくレイアウトされた文字。 このアルバムの持つ独特の寂しさと味わいを見事に表しているように思います。 センスのあるデザインではないと思いますが、その洗練されていないもどかしさ故に、心に染みてくるような気がします。
このアルバムは、ブックマークしている素敵なページ「S.O.N.G.S」でも取り上げられましたが、1 曲目の「Septembersong」の持つ味わいがアルバム全体の印象に直結しているように思います。 静かに爪弾かれるギターをバックに、つぶやくようなボーカルで歌われるこの曲は、吹く風がひんやりし始めた 9月に、ふと気づいてしまった自分の孤独さを歌にしたかのようです。 夏の終わりとともに恋が終わってしまったかのような寂しさに包まれた名曲と言えます。 アルバムでは重要な役割を果たしている Ron Rutowaski との息のあったギターが聴ける「Go Jump In The River」、ベトナム戦争で離れ離れになってしまった友人兄弟のことを歌った「Pack The Flag Away」など、アルバムは淡々と進行していきます。 A面ラストの「Daddy , What’s A Train」は、親友である Bruce Philipps の曲で、バンジョーの響きも優しいオールドタイミーなサウンド。 Ron Rutowaski のコーラスも楽しめます。
B 面も粒ぞろいですが、なかでも「Green Grass」が秀逸です。 別れ(Separation)と再会(Reunion)をテーマにしたこの曲は、「Septembersong」のような深い哀しみではなく、哀しみの向こうに見えたかすかな光、あるいは木漏れ日から見えるささやかな希望を感じ取ることができます。 Bill 一人の弾き語り「Willie Moore」につづく「Came Into Spring」は珍しく明るめの曲調。 Bill 自身は「Happy song」と表現していますが、「ハッピーな歌よりも悲しい歌のほうが書きやすい」ともコメント。 この言葉は Bill Destler 自身の性格や人生観をよく表したものですね。 「Every Day She Takes A Piece Away」は、「多くの人が過去にすがって生きていると感じる。それは悲劇だ」というコメントが添えられている曲。 そういう意識で聴くせいか、Bill のボーカルが他の曲よりも力強く、雄々しく聴こえます。 ラストの「Little Jimmy Brown」はトーキングスタイルの曲で異色といえば異色。 最後が「アーメン」で終わるあたりはクリスチャン・ミュージックかのようです。
アイビーリーグのコーネル大学のある町として有名なニューヨーク州のイサカ。 人口も数万人しかいない小さな町ですが、周囲には多くの滝があり豊な自然に囲まれているとのこと。 そんな町を拠点にしたローカルレーベル「Swallowtail Records」は素朴で良質なアコースティック・サウンドが特徴です。 そろそろ 9月も終わり… イサカの町の木々も徐々に色づきはじめるのでしょう。
澄み切った 9月の空の下、若き日の Bill Destler が見つめる先にはどのような風景が広がっていたのでしょうか。
■Bill Destler / September Sky■
Side-1
Septembersong
Go Jump In The River
Pack The Flag Away
Beth Is A Ling Way From Home
Threes and Fours
Daddy , What’s A Train
Side-2
Green Grass
Willie Moore
Came Into Spring
Never You Mind
Every Day She Takes A Piece Away
Little Jimmy Brown
Bill Destler : guitar , vocal ,
Ron Rutowaski : guitar , five string banjo , fiddle
All Songs were written by Bill Destler
Except ‘Daddy , What’s A Train’ by Bruce Phillips and ‘Willie Moore’ traditional
Producer : Phil Sharpiro
Engineer : Ken Coleman
Cover Design : Vic Curran
Photography : Carl Stecker
Swallowtail Records ST-3
毎年、秋の訪れとともにレコード棚から引っ張り出す 1枚。 このブログを立ち上げたときから、9 月の最終投稿はこのアルバムにしようと密かに思っていたレコードです。
これは、いまやバンジョーコレクターとして有名らしい Bill Destler が 1973 年に残した唯一のアルバム。 セピア色のジャケット、茂みに座ってギターを爪弾く Bill の姿、そして大きくレイアウトされた文字。 このアルバムの持つ独特の寂しさと味わいを見事に表しているように思います。 センスのあるデザインではないと思いますが、その洗練されていないもどかしさ故に、心に染みてくるような気がします。
このアルバムは、ブックマークしている素敵なページ「S.O.N.G.S」でも取り上げられましたが、1 曲目の「Septembersong」の持つ味わいがアルバム全体の印象に直結しているように思います。 静かに爪弾かれるギターをバックに、つぶやくようなボーカルで歌われるこの曲は、吹く風がひんやりし始めた 9月に、ふと気づいてしまった自分の孤独さを歌にしたかのようです。 夏の終わりとともに恋が終わってしまったかのような寂しさに包まれた名曲と言えます。 アルバムでは重要な役割を果たしている Ron Rutowaski との息のあったギターが聴ける「Go Jump In The River」、ベトナム戦争で離れ離れになってしまった友人兄弟のことを歌った「Pack The Flag Away」など、アルバムは淡々と進行していきます。 A面ラストの「Daddy , What’s A Train」は、親友である Bruce Philipps の曲で、バンジョーの響きも優しいオールドタイミーなサウンド。 Ron Rutowaski のコーラスも楽しめます。
B 面も粒ぞろいですが、なかでも「Green Grass」が秀逸です。 別れ(Separation)と再会(Reunion)をテーマにしたこの曲は、「Septembersong」のような深い哀しみではなく、哀しみの向こうに見えたかすかな光、あるいは木漏れ日から見えるささやかな希望を感じ取ることができます。 Bill 一人の弾き語り「Willie Moore」につづく「Came Into Spring」は珍しく明るめの曲調。 Bill 自身は「Happy song」と表現していますが、「ハッピーな歌よりも悲しい歌のほうが書きやすい」ともコメント。 この言葉は Bill Destler 自身の性格や人生観をよく表したものですね。 「Every Day She Takes A Piece Away」は、「多くの人が過去にすがって生きていると感じる。それは悲劇だ」というコメントが添えられている曲。 そういう意識で聴くせいか、Bill のボーカルが他の曲よりも力強く、雄々しく聴こえます。 ラストの「Little Jimmy Brown」はトーキングスタイルの曲で異色といえば異色。 最後が「アーメン」で終わるあたりはクリスチャン・ミュージックかのようです。
アイビーリーグのコーネル大学のある町として有名なニューヨーク州のイサカ。 人口も数万人しかいない小さな町ですが、周囲には多くの滝があり豊な自然に囲まれているとのこと。 そんな町を拠点にしたローカルレーベル「Swallowtail Records」は素朴で良質なアコースティック・サウンドが特徴です。 そろそろ 9月も終わり… イサカの町の木々も徐々に色づきはじめるのでしょう。
澄み切った 9月の空の下、若き日の Bill Destler が見つめる先にはどのような風景が広がっていたのでしょうか。
■Bill Destler / September Sky■
Side-1
Septembersong
Go Jump In The River
Pack The Flag Away
Beth Is A Ling Way From Home
Threes and Fours
Daddy , What’s A Train
Side-2
Green Grass
Willie Moore
Came Into Spring
Never You Mind
Every Day She Takes A Piece Away
Little Jimmy Brown
Bill Destler : guitar , vocal ,
Ron Rutowaski : guitar , five string banjo , fiddle
All Songs were written by Bill Destler
Except ‘Daddy , What’s A Train’ by Bruce Phillips and ‘Willie Moore’ traditional
Producer : Phil Sharpiro
Engineer : Ken Coleman
Cover Design : Vic Curran
Photography : Carl Stecker
Swallowtail Records ST-3
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