Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Bob Stegner

2009-12-23 | SSW
■Bob Stegner / Sweet Song■

  枯れた草原に横たわる髭の濃い男。 白いシャツの下に濃い色のシャツを着ているのかと思いきや、それは首まで達しようかとする分厚い胸毛でした。 この胸毛に気づくのにはかなりの時間が必要でしたが、多くの日本人女子からは敬遠されそうな佇まいです。 
  辛口な紹介から入ってしまいましたが、Bob Stegner はコロラド州デンバーを拠点としたシンガーソングライター。 1980 年に発表した本作の前に、もう1枚のオリジナル・アルバムがあるようですが、こちらは未聴です。 では、本作はどうかというと、正直それほど優れたアルバムとは言えません。 個人的には、彼のボーカル・スタイルが暑苦しくて、重たすぎるのです。 声量もあり、男らしい声の持ち主なのですが、声が好きになれませんでした。 この点は好みの問題なのですが、それを排除しても名曲と言えるレベルの作品が集まっているわけではありません。

  例えば、オープニングを飾る「Silk And Satin」はスマッシュヒットしたというシールが貼られていますが、おそらくローカル・チャートでのヒットと思われます。  初めて聴くと柔和な SSW という予想を裏切るエモーショナルさに驚くことでしょう。 さらに、ブラスとエレピの熱い演奏がファンキーさを強めています。 異色な曲としては、B-1 の「Caribou And Coyotes」。 この曲は、スロウからアップまで忙しく変化する難易度の高い楽曲。 ジャズのテイストの入った複雑な構成で、アル・ジャロウくらいの歌唱力でないとモノにできないと感じました。 アルバムタイトル曲だけに期待の高まる「The Sweet Song」は残念ながら平凡なミディアム。 ドラマチックに仕立てているのですが、メロディーと歌唱に物足りなさを覚えます。 ただ、後半のギターソロとコーラスの絡みは悪くありません。

  このアルバムで1曲選ぶとしたら、A-4 の「I’m Coming Home」でしょう。 イントロは日本人好みのフュージョン風のギターから始まるのですが、グルーヴ感と爽快感を併せ持つ佳作に仕上がっています。 マニアックな曲を探しているクラブ DJ 向きかもしれません。 次に挙げるとしたらカントリー風味の「The Mountain Tune」です。 軽快なフィドルを含む明るいメロディーの曲ですが、アルバムラストに配置したのは正解だと感じました。 ほかにも、ゆったりした余裕のあるミディアム「Fireweed」はソウルフルなムードで中々の出来。 リリカルなピアノをバックにしたシンプルな「The Lady Wore Red」も印象に残ります。 

  そんな厳しい評価のアルバムですが、気になる点がひとつあります。 それは、バック・コーラスにクレジットされている Richard Marx の文字です。 個人的には興味の範疇外ですが、1990 年代初頭にヒット曲を連発したソロ・ミュージシャンのリチャード・マークスと同姓同名なのです。 これが、同一人物かどうか分かりませんが、もしそうだとしたら彼のコアファンにとってはこの「Sweet Song」は最初期のレコーディングとして貴重な作品になることでしょう。 そこまでのコアファンがいるかどうかは、僕には判りませんが。

■Bob Stegner / Sweet Song■

Side 1
Silk And Satin
Songwriter
Every Dayata Time
I’m Coming Home
The Sweet Song

Side 2
Caribou And Coyotes
Fireweed
The Lady Wore Red
The Owl Called My Name
The Mountain Tune

Producer : Reed Williams
Arranger : P.Douglas McLemore

Recorded at Venture Studios, a division of Rainbow Ventures, Denver, Colorado

Bob Stegner : lead vocals, rhythm guitar, background vocals
Richard Nanista : bass
Richard Markus : drums, congas, percussion
Richard Watson : drums
P.Douglas McLemore : piano, clavinet, rhythm guitar, ARP Omni.
Perry Sheafor : piano
Randy Barker : electric guitar
Jim Stevens : flute
Dugg Duggan : harmonica
Bob Symmonds : trumpet
Gerald Endsley : trumpet
John Daley : trombone
Lynne Glaeske : first violin
Debbie Redding : second violin
Diana Oldsen : viola
Gerorge Banks : cello
Chip Chase : fiddle
Jim Wright : electric stick
Mike Russo : pedal steel
Barb Reeves : background vocals
Phyllis Murra : background vocals
Richard Marx : background vocals
Carolyn Stegner: background vocals

Venture Records LPV 0101



最新の画像もっと見る

コメントを投稿