■Jim Grady / Jim Grady■
ソングライティングのセンスに非凡なものを感じさせたシンガーソングライター Jim Grady のファースト・ソロ・アルバムを取り上げてみました。 ピアノ系の SSW である彼は他のミュージシャンにも多くの曲を提供しているものの、顕著なヒット曲や代表作といえる曲に恵まれなかったことから、あまり語られる機会の少ない SSW です。
陰影の強調されたグリーンを基調としたジャケット写真はノーマン・シーフの手によるもの。 バック・ミュージシャンは泣く子も黙る鉄壁の布陣ということで、サウンドのクオリティは保証されたも同然です。 あとはサウンド・プロダクションとアレンジ、そして楽曲の質が高ければ評価の高いアルバムとなるはずです。 プロデューサーがフィラデルフィア・サウンドで有名な John Madara ですが、レコーディングはハリウッドで行われています。そのようなこのアルバムは分厚いダブルジャケットを装って 1973 年に発表されました。
アルバムは Larry Carton の甘いギターの響きからスタートする「A Foolish Thing To Say」で幕を開けます。 Gino Cunico のソロ作品に通じるソフトでメロウな楽曲ですが、ハープシコードのような響きのピアノにリコーダーやストリングスなどが一体となるさまは、玉手箱のよう。 クレジットを見れば、Michael Omartian や Tom Sellers がアレンジで参加しており納得です。 つづく「Don’t Want It No Other Way」は甘さ控えめで軽快なポップチューン。 キャッチーなサビとタイトな演奏が光ります。 曲作りのユニークさを感じさせるミディアム「Sometimes People Let You Down」、ひと息いれてティータイムになったかのようなバラード「The Reason We Live」、恋人に別れを告げる曲の割にはアップで陽気なナンバー「I Won’t Stay With You This Winter」など佳作がならんだ後はJim Grady が最も得意とするミディアム「Who’s For Complainin’?」へ。 この曲は1曲目の「A Foolish Thing To Say」と並ぶメロウな楽曲ですが、Jim Grady の典型的なスタイルと言えるでしょう。
B 面は A 面に比べて、やや落ちる印象です。 子ども向けミュージカルのような「Broken」、Dean Parks と Larry Carton のギターが目立つミディアム「People In Love」と平凡な曲が続きます。 Jim Grady 自らが手がけたオーケストレーションが荘厳なバラード「I’m Nothing Without You」は意欲的な作品なのですが、味つけが濃すぎで失敗といえるでしょう。 つづく「Desiree」はアップなプリ AOR 的楽曲。 メロディも親しみやすくキャッチーです。 そして、ラストの「A Beautiful Thing」ですが、この曲は 1977 年にライザ・ミネリのアルバムに収録された曲。 弾き語りにストリングスが絡むこのようなバラードは、ライザのように歌唱力があるボーカルが似合うように思います。 これはアルバムを通して言えることですが。
Jim Grady がこのデビューアルバムを制作することになったきっかけは分かりませんが、この豪華なメンバーやジャケットの仕様からも期待の高いミュージシャンだったのではないでしょうか。 しかし、21st Century から発売されたアルバムは本作のみでした。 Randy Edelman や Patti Dahlstrom などの SSW をリリースした同レーベルですが、1 枚のみのリリースとなったのは異例だと思います。 けして高値がついているわけでもないのにあまり見かけないレコードですので、初回プレスしかされなかったのかもしれません。
デビュー作はセールス的にも失敗に終わった Jim Grady ですが、2年後にニューヨークから再登場することになります。 そして、そのセカンドこそが彼の最高傑作となるのです。
■Jim Grady / Jim Grady■
Side-1
A Foolish Thing To Say
Don’t Want It No Other Way
Sometimes People Let You Down
The Reason We Live
I Won’t Stay With You This Winter
Who’s For Complainin’?
Side-2
Broken
People In Love
I’m Nothing Without You
Desiree
A Beautiful Thing
Produced and Directed by John Madara
All tunes composed by Jim Grady
Jim Grady : piano
Hal Blaine : drums and percussions
Joe Osborne : bass
Dean Parks : guitar
Larry Carlton : guitar
Richard Bennett : guitar
Sid Sharp : concert master
Photography : Norman Seeff
20th century records T-418
ソングライティングのセンスに非凡なものを感じさせたシンガーソングライター Jim Grady のファースト・ソロ・アルバムを取り上げてみました。 ピアノ系の SSW である彼は他のミュージシャンにも多くの曲を提供しているものの、顕著なヒット曲や代表作といえる曲に恵まれなかったことから、あまり語られる機会の少ない SSW です。
陰影の強調されたグリーンを基調としたジャケット写真はノーマン・シーフの手によるもの。 バック・ミュージシャンは泣く子も黙る鉄壁の布陣ということで、サウンドのクオリティは保証されたも同然です。 あとはサウンド・プロダクションとアレンジ、そして楽曲の質が高ければ評価の高いアルバムとなるはずです。 プロデューサーがフィラデルフィア・サウンドで有名な John Madara ですが、レコーディングはハリウッドで行われています。そのようなこのアルバムは分厚いダブルジャケットを装って 1973 年に発表されました。
アルバムは Larry Carton の甘いギターの響きからスタートする「A Foolish Thing To Say」で幕を開けます。 Gino Cunico のソロ作品に通じるソフトでメロウな楽曲ですが、ハープシコードのような響きのピアノにリコーダーやストリングスなどが一体となるさまは、玉手箱のよう。 クレジットを見れば、Michael Omartian や Tom Sellers がアレンジで参加しており納得です。 つづく「Don’t Want It No Other Way」は甘さ控えめで軽快なポップチューン。 キャッチーなサビとタイトな演奏が光ります。 曲作りのユニークさを感じさせるミディアム「Sometimes People Let You Down」、ひと息いれてティータイムになったかのようなバラード「The Reason We Live」、恋人に別れを告げる曲の割にはアップで陽気なナンバー「I Won’t Stay With You This Winter」など佳作がならんだ後はJim Grady が最も得意とするミディアム「Who’s For Complainin’?」へ。 この曲は1曲目の「A Foolish Thing To Say」と並ぶメロウな楽曲ですが、Jim Grady の典型的なスタイルと言えるでしょう。
B 面は A 面に比べて、やや落ちる印象です。 子ども向けミュージカルのような「Broken」、Dean Parks と Larry Carton のギターが目立つミディアム「People In Love」と平凡な曲が続きます。 Jim Grady 自らが手がけたオーケストレーションが荘厳なバラード「I’m Nothing Without You」は意欲的な作品なのですが、味つけが濃すぎで失敗といえるでしょう。 つづく「Desiree」はアップなプリ AOR 的楽曲。 メロディも親しみやすくキャッチーです。 そして、ラストの「A Beautiful Thing」ですが、この曲は 1977 年にライザ・ミネリのアルバムに収録された曲。 弾き語りにストリングスが絡むこのようなバラードは、ライザのように歌唱力があるボーカルが似合うように思います。 これはアルバムを通して言えることですが。
Jim Grady がこのデビューアルバムを制作することになったきっかけは分かりませんが、この豪華なメンバーやジャケットの仕様からも期待の高いミュージシャンだったのではないでしょうか。 しかし、21st Century から発売されたアルバムは本作のみでした。 Randy Edelman や Patti Dahlstrom などの SSW をリリースした同レーベルですが、1 枚のみのリリースとなったのは異例だと思います。 けして高値がついているわけでもないのにあまり見かけないレコードですので、初回プレスしかされなかったのかもしれません。
デビュー作はセールス的にも失敗に終わった Jim Grady ですが、2年後にニューヨークから再登場することになります。 そして、そのセカンドこそが彼の最高傑作となるのです。
■Jim Grady / Jim Grady■
Side-1
A Foolish Thing To Say
Don’t Want It No Other Way
Sometimes People Let You Down
The Reason We Live
I Won’t Stay With You This Winter
Who’s For Complainin’?
Side-2
Broken
People In Love
I’m Nothing Without You
Desiree
A Beautiful Thing
Produced and Directed by John Madara
All tunes composed by Jim Grady
Jim Grady : piano
Hal Blaine : drums and percussions
Joe Osborne : bass
Dean Parks : guitar
Larry Carlton : guitar
Richard Bennett : guitar
Sid Sharp : concert master
Photography : Norman Seeff
20th century records T-418
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