Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Bob Burchill and Perth County Apple Jack

2006-12-03 | SSW
■Bob Burchill and Perth County Apple Jack / Will I Ever Get To Heaven■

 またブログの更新が遅れてしまいました。 もう 12 月ということで、今年あと何枚のアルバムを紹介できるのかと考えるようになりました。 今年最後に紹介するものはこのアルバムにしようというミュージシャンは実は決まっています。 それはその日までのお楽しみにしておきますが、ヒントとしてはカナダの SSW アルバムとするつもりでいます。
 さて、それとは関係ありませんが、今日取り上げるアルバムもカナダ産。 カナダはオンタリオを中心に今も現役で活動している Bob Burchill の 3枚目のアルバムです。 彼のアルバムはこのアルバムしか持っていないのですが、捨てがたい魅力を持った作品と言えるでしょう。

 サウンド的にはリズムセクションがしっかりしているので安心して聴くことのできる曲が多いのが特徴です。 ただ、演奏の上手さの中にも何か垢抜けなさが残るあたりが、こうしたマイナープレスならではの魅力となっています。 「Whistle Down the Road」や「Running Away」で目立っている David Woodhead のベースなどは、ジャコパスの影響下にあるのではと思ってしまうくらい饒舌なものになっています。 いっぽう、Bob Burchill は曲調によって微妙に表情を変えてくるあたりは器用なシンガーという印象です。
 概ね、ミディアムでスワンプ色があったりカントリー色が強かったりという曲が半数以上を占めるのですが、そんなテイストのなかでは異色の「Eagle On The Wind」が出色の傑作となっています。 風の音のようなエフェクト、モダンなエレピ、センスあふれるフルート・ソロ、癒し系のコーラス、ふんわりしたギター・ソロ、といった要素を盛り込みながらも、どことなく幽玄でアシッド感すら感じさせる至福の時間。 そういった 6分の大作がここにあります。 この曲が描き出す風景は、アルバムの他の曲とは一線を画す孤高のものといえるでしょう。 
 B 面冒頭の「Different Ways」は、美しいアコギの音色に導かれた 2分半にも満たない小曲ですが、ここには森林浴をしているかのような凛とした空気感が伝わってくるようです。 この曲は、あたかも初期の James Taylor を聴いているかのような錯覚を覚えてしまいます。 ラストの「Rhythm Of Our Singing」もペダル・スティールが広がりを与えてくれる名曲。 ラストにふさわしい内容となっています。
 
 このアルバムには歌詞付のレコード袋がついており、詩の内容を目で追いながら聴くことができるのですが、1曲目の「Whistle Down the Road」がこの歌詞カードでは、「Trip To Paradise」となっています。 こうしたミスはよくあることですが、どちらのフレーズも歌詞には含まれていません。 個人的には「Trip To Paradise」のほうが曲調には似合うような気がしますね。

 さて、話は変わりますが、ジャケットの Bob Burchill はまるで帽子を外した「警部マクロード」みたいですよね。 と言われても若い人にはわからないと思いますが、「警部マクロード」を演じていたデニス・ウィーバーにそっくりだと思います。 デニス・ウィーバーで検索してみたら、今年 2月に 81歳で亡くなったそうです。 あのスピルバーグの「激突」での彼の名演をまた見たくなりました。
 いっぽう Bob Burchill は最初にも書きましたが、今も現役で活動しており、最新アルバム(なんと 19曲入り!)を今年の 7月にリリースしたばかりのようです。 公式サイトに載っている心優しそうな彼の姿を見ると、なんだか嬉しくなってしまいますね。

 

■Bob Burchill and Perth County Apple Jack / Will I Ever Get To Heaven■

Side-1
Whistle Down the Road
To Be One With You
Running Away
She Keeps Me Satisfied
Eagle On The Wind

Side-2
Different Ways
Will I Ever Get To Heaven
Drunk In The City,
Stormtime,
Rhythm Of Our Singing

The poem in "Stormtime" is written by Milton Acorn

All Compositions by Bob Burchill

Bob Burchill ; vocals , acoustic guitar , harp , mandoline ,fiddle
David Woodhead ; electric bass , keyboard , electric & acoustic guitar , vocals
Jerome Jarvis ; drums , percussion , vocals , effects
Brian Lee Griffith ; electric guitar
Kim Deshamps ; dobro
Richard Hutt ; flute , vocals
Doug Biggs; pedal steel
Birchettes ; vocals on ‘She Keeps Me Satisfied’

Recorded and Mixed at Track Four Studios ,
Radio Waterloo , Ontario , Canada June-July 1977

Produced by Bob Burchill,
Associate Producers : David Woodhead, Jerome Jarvis

A Will o’Wind Production
WOW 001


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