Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Wayne Rostad

2010-12-25 | SSW
■Wayne Rostad / Writer Of Songs■

  クリスマス寒波が到来して、日本海側は大雪のようです。 これでスキー場も何とか営業開始できるようになるのでしょう。 もう 1 週間早ければお客さんも余裕を持ってスケジュール組めたでしょうけど、こればかりは仕方ありません。
  
  毎年、冬になると雪景色のジャケットのレコードを紹介しますが、Wayne Rostad のデビュー・アルバムもその仲間入りです。 1979 年に発表されたこのアルバムは、ナッシュビルやトロントでレコーディングされたもの。 1947 年生まれという Wayne Rostad が 32 歳で作り出した作品です。 

  アルバムはシングル・カットされた「Willie Boy」で幕を開けます。 この曲はカナダのカントリー・チャートで最高 9 位を記録したスマッシュ・ヒット曲ですが、それほどキャッチーな曲ではありません。 つづく「Good Time Lady」、「The Year McLaren’s Store Burned Down」とスロウな楽曲が続くに従って、Wayne Rostad の男臭さが前面に出てきます。 とくに後者は扇情的なストリングスと哀愁あふれるコーラスが音に厚みを加えて、奥行きと深みのあるバラードに仕上がっています。 ギターのアルペジオが心地よい「Dollard Marlowe」、典型的なカントリーワルツ「Highway Eleven」と弛みなく流れていきます。

  B 面に入っても安定した楽曲が続きます。 アルバム・タイトルにも引用された「Baby, Lady, Poet And Writer Of Songs」は懐深い優しさと余裕にあふれた傑作ミディアム。 アルバムを代表する 1 曲を選ぶとしたらこの曲でしょう。  標準的なカントリー「Ryan’s BP Station」をはさんで、広がりのあるバラード「We Should Have Been Friends」へ。 ストリングスとペダル・スティールの音色が郷愁を誘う様は、まぶたの中の夕焼けのようです。 ここからのラストまではレベルの高いバラードが続きます。 セカンドシングルとなった「Ridean Street Queen」は流れを汲んだ素晴らしいワルツ。 ラストの「Take Me As I Am」はピアノの音色が印象的なバラード。 もう 1 曲あったらおなか一杯になりすぎるという程よい曲数で、アルバムはゆるやかにエンディングを迎えていきます。

  このように、このアルバムは数多くのカントリー系の SSW 作品のなかでも、バラードを中心としたマイルドな味わいの濃い傑作だと言えるでしょう。 テケテケしたバンジョーが煩わしかったりという場面はいっさいありません。 そうした点からも、カントリーであることを意識せずに聴くことができるアルバムです。
  故郷の家に向かい新雪を踏みしめる男。 男のダンディズムを表したジャケットも壁に飾りたくなるような出来映えですが、この伊達男 Wayne Rostad は地元 CBC テレビ場組のホストを 20 年以上勤めたりして、カナダではかなり有名な存在のようです。 公式ページも充実しており、このアルバムも CD 化されて販売されていました。

■Wayne Rostad / Writer Of Songs■

Side 1
Willie Boy
Good Time Lady
The Year McLaren’s Store Burned Down
Dollard Marlowe
Highway Eleven

Side 2
Baby, Lady, Poet And Writer Of Songs
Ryan’s BP Station
We Should Have Been Friends
Ridean Street Queen
Take Me As I Am

Produced by Dallas Harns, Gary Buck
Recorded at MBS Elmira, RCA Nashville, Manta Tronto

Mike Francis : electric guitar, acoustic guitar, fretted dobro
Pete Wade : electric guitar, slid dobro
Bobby Thompson : acoustic guitar
Keith McKay : acoustic guitar
Al Brisco : pedal steel, slide dobro
Lloyd Green : pedal steel
Dave Lewis : drums, percussion
Buddy Harmen : drums
Greg Smith : electric bass
Joe Allen : electric bass
Rob Asrelatine : acoustic piano, electric piano, synthesizer
Pig Robbins : acoustic piano, electric piano
Randall Prescott : monte harp, 5-string banjo
Al Cherney : violin
Brian Barron : violin
Maria Riedstra : violin
Nuala : Freund : violin
Pat McCormick : violin
Larry Toman : violin
Tom Wermuth : violin
Patricia Mullen : violin

Background vocals : Judy Donnerlley, Miffy Kirkham, Carla Jensen, Dave Hifcrift, Randall Prescott, The Jordanaires, Gary Buck and a friend

Stag Creek Records TWA1111