■Gary Kuper / Shoot For The Moon■
ウッドストック関係の名盤はかなり CD 化が進んでおり、Borderline や、Ken Lauber そしてJohn Herald もここ 10 年くらいで相次いで CD 化されました。 そんなか取り残されたアルバムは数少ないのですが、今日とりあげる Gary Kuper はそんな 1 枚です。
エンボス加工に近い肌触りの二つ折りジャケットに触れるだけで、1970 年代初頭の良質なサウンドが聴こえてくるようです。 ジャケットの内側に写るモノクロの Gary Kuper のアップ、数匹の野良犬、壊れた自転車、遠い山並みなどのデザイン・センスも抜群です。
アルバムのオープニングを飾る「Better Get Up On The Mountain」は秀逸なナンバー。 Gary Kuper のワイルドで男らしいボーカルと、華やかな女性コーラスの対比が印象的です。 歌いだしからエンディングまでしっかり組み立てられたアレンジも見事。 つづく「Everybody’s Love Song」もスケール感のあるミディアムなバラード。 アップでダウン・トゥ・アースなスワンプ「Home Remedies」に続いて土臭いバラード「So Many Changes」へ。 そしてまたアップな「Out Of The Garden」とアルバムは緩急交互に展開していきます。
B 面はアルバムタイトル曲「Shoot For The Moon」でスタート。 この曲はアルバムのなかで唯一のピアノ弾き語りとなるバラード。 微妙に奥まった感じのあるピアノの響きと Gary Kuper の心優しいボーカルが胸に染み渡る名曲です。 アルバムのハイライトとも言えるでしょう。 このようなピアノ系の曲も書けるのであれば、この手の曲をもっと多く残してもらいたかったですね。
ここからの 4 曲は良く見ると、すべてに人物の名前が含まれています。 しかも全員が男性ということで、こういうことも珍しいですね。 最初の「Jacob」はチープなオルガンの音が耳に残るものの平凡な印象はぬぐえません。 ギターの響きが泥臭い「Bobby Say Yes」は久しぶりに女性コーラスのサポートが入るスロウ・ナンバー。 Gary Kuper の荒削りながらも説得力のあるボーカルが堪能できます。 つづく「Johnson’s Pastures」も男らしいバラード。 ラストの「Where’s Jimmy」は淡白なアップナンバーなので、いまひとつ深い余韻が残らずにもったいない感じです。
このアルバムを久しぶりに聴きとおしましたが、Gary Kuper の人間力こそが、このアルバムの魅力の原点だと思いました。 このアルバムがウッドストック系の名盤として位置付けられるのも納得です。
しかし、この Gary Kuper が残したアルバムはこの 1 枚だけでした。 アルバムが売れなかったとはいえ、彼があっさりと音楽シーンから身を引いてしまった理由は何なのか。 いつものように、そんなことをついつい考えてしまいます。
Gary Kuper のように謎めいて、何も痕跡を残さずに消えてしまったミュージシャンは数多いのですが、人脈のるつぼともいえるウッドストック(しかもベアズヴィル録音です)周辺のミュージシャンでそういう人は他にはいないのではないでしょうか。
いったい、Gary Kuper はどこへ消えていったのでしょう。 残念ながら彼を追跡しているようなサイトも見つかりませんでした。 いま手元にあるこのレコードだけが、彼の存在証明なのです。
■Gary Kuper / Shoot For The Moon■
Side-1
Better Get Up On The Mountain
Everybody’s Love Song
Home Remedies
So Many Changes
Out Of The Garden
Side-2
Shoot For The Moon
Jacob
Bobby Say Yes
Johnson’s Pastures
Where’s Jimmy
Produced by Peter K.Siegel For Burmese Records ,Inc.
All Songs Written by Gary Kuper
Recoding engineer : Mark Harman , The Bearsville Sound Studio , Woodstock , New York
Gary Kuper : vocals , acoustic guitar , piano on ‘Shoot For The Moon’
Michael Winfield : electric bass
Dahaud Elias Shaar : drums , kazoo
John Platania : electric and acoustic guitars
Jeff Labes : piano on ‘Home Remedies’ , ‘Out Of The Garden’ , ‘Bobby Say Yes’ , ‘Johnson’s Pastures’ , ‘Where’s Jimmy’ and organ on ‘So Many Changes’
Alan Hand : piano on ‘Better Get Up On The Mountain’ ,’Everybody’s Love Song’ , ‘So Many Changes’ and organ on ’Out Of The Garden’ , ‘Jacob’
Linda November , Maeretha Stewart , Marilyn Jackson : background voices
Polydor 24-4058
ウッドストック関係の名盤はかなり CD 化が進んでおり、Borderline や、Ken Lauber そしてJohn Herald もここ 10 年くらいで相次いで CD 化されました。 そんなか取り残されたアルバムは数少ないのですが、今日とりあげる Gary Kuper はそんな 1 枚です。
エンボス加工に近い肌触りの二つ折りジャケットに触れるだけで、1970 年代初頭の良質なサウンドが聴こえてくるようです。 ジャケットの内側に写るモノクロの Gary Kuper のアップ、数匹の野良犬、壊れた自転車、遠い山並みなどのデザイン・センスも抜群です。
アルバムのオープニングを飾る「Better Get Up On The Mountain」は秀逸なナンバー。 Gary Kuper のワイルドで男らしいボーカルと、華やかな女性コーラスの対比が印象的です。 歌いだしからエンディングまでしっかり組み立てられたアレンジも見事。 つづく「Everybody’s Love Song」もスケール感のあるミディアムなバラード。 アップでダウン・トゥ・アースなスワンプ「Home Remedies」に続いて土臭いバラード「So Many Changes」へ。 そしてまたアップな「Out Of The Garden」とアルバムは緩急交互に展開していきます。
B 面はアルバムタイトル曲「Shoot For The Moon」でスタート。 この曲はアルバムのなかで唯一のピアノ弾き語りとなるバラード。 微妙に奥まった感じのあるピアノの響きと Gary Kuper の心優しいボーカルが胸に染み渡る名曲です。 アルバムのハイライトとも言えるでしょう。 このようなピアノ系の曲も書けるのであれば、この手の曲をもっと多く残してもらいたかったですね。
ここからの 4 曲は良く見ると、すべてに人物の名前が含まれています。 しかも全員が男性ということで、こういうことも珍しいですね。 最初の「Jacob」はチープなオルガンの音が耳に残るものの平凡な印象はぬぐえません。 ギターの響きが泥臭い「Bobby Say Yes」は久しぶりに女性コーラスのサポートが入るスロウ・ナンバー。 Gary Kuper の荒削りながらも説得力のあるボーカルが堪能できます。 つづく「Johnson’s Pastures」も男らしいバラード。 ラストの「Where’s Jimmy」は淡白なアップナンバーなので、いまひとつ深い余韻が残らずにもったいない感じです。
このアルバムを久しぶりに聴きとおしましたが、Gary Kuper の人間力こそが、このアルバムの魅力の原点だと思いました。 このアルバムがウッドストック系の名盤として位置付けられるのも納得です。
しかし、この Gary Kuper が残したアルバムはこの 1 枚だけでした。 アルバムが売れなかったとはいえ、彼があっさりと音楽シーンから身を引いてしまった理由は何なのか。 いつものように、そんなことをついつい考えてしまいます。
Gary Kuper のように謎めいて、何も痕跡を残さずに消えてしまったミュージシャンは数多いのですが、人脈のるつぼともいえるウッドストック(しかもベアズヴィル録音です)周辺のミュージシャンでそういう人は他にはいないのではないでしょうか。
いったい、Gary Kuper はどこへ消えていったのでしょう。 残念ながら彼を追跡しているようなサイトも見つかりませんでした。 いま手元にあるこのレコードだけが、彼の存在証明なのです。
■Gary Kuper / Shoot For The Moon■
Side-1
Better Get Up On The Mountain
Everybody’s Love Song
Home Remedies
So Many Changes
Out Of The Garden
Side-2
Shoot For The Moon
Jacob
Bobby Say Yes
Johnson’s Pastures
Where’s Jimmy
Produced by Peter K.Siegel For Burmese Records ,Inc.
All Songs Written by Gary Kuper
Recoding engineer : Mark Harman , The Bearsville Sound Studio , Woodstock , New York
Gary Kuper : vocals , acoustic guitar , piano on ‘Shoot For The Moon’
Michael Winfield : electric bass
Dahaud Elias Shaar : drums , kazoo
John Platania : electric and acoustic guitars
Jeff Labes : piano on ‘Home Remedies’ , ‘Out Of The Garden’ , ‘Bobby Say Yes’ , ‘Johnson’s Pastures’ , ‘Where’s Jimmy’ and organ on ‘So Many Changes’
Alan Hand : piano on ‘Better Get Up On The Mountain’ ,’Everybody’s Love Song’ , ‘So Many Changes’ and organ on ’Out Of The Garden’ , ‘Jacob’
Linda November , Maeretha Stewart , Marilyn Jackson : background voices
Polydor 24-4058