Reflections of Tomorrow

シンガーソングライターを中心に、知られざる未CD化レコードを紹介していくページです

Hod & Marc

2006-07-13 | SSW
■Hod & Marc / Hod & Marc■

 最近の 3 作品はいずれも 1970 年代後半の同時代性を持ったロック寄りのソロ・ミュージシャンでしたので、そろそろ 70 年代前半の SSW 系ど真ん中に戻りたいと思います。
 そんなことで取り出したのが、Hod & Marc の唯一のアルバムです。 1972 年に Bell Records からリリースされたこのアルバム。 ひと言で言うと、ロハスなアルバムです。
 というのも、アルバムのどの部分を切っても、非常に緩やかなスローナンバーばかりで、しかもボーカルもさりげなく、リズムセクションもほとんど入ってこないため、二酸化炭素の排出量が少ないなあ、と感じてしまうのです。 演奏もボーカルも、あまりにも地球に優しすぎるサウンドなので、若くて血気盛んな世代にはまったくお勧めできません。 自分でも感じるのですが、40 過ぎてようやくテンポ感が理解できるように気がします。
 
 そんなアルバムなので、いつものように楽曲のコメントを寄せようと思っても、自分の貧困なボキャブラリーでは表現できそうにもありません。 午後の陽だまりのような安らぎを感じる「I’d Love Making Love To You」、ギターのみでシンプルで牧歌的な「You Can Talk To Me」、音数の少なさになかにハーモニーが挿入され、Eddie Hinton のギターがアクセントとなる「Aimee」、リズムセクションがいることを実感できる数少ない曲「The Warm Summer Rain」、クレジットがないので詳細不明ですが、女性コーラスが入る「In Colorado」と、どれも似たような曲調及びテンポでA面は進んでいきます。
 B 面は、サックスやフリューゲルホーンの入る R&B テイストの「Jazzman」以外は、あくまでもメロウにスロウに時間が過ぎ去っていきます。

 こうしてアルバムを聴いて思うのですが、さすがにサラリーマンをやっている自分の時間感覚にはスローすぎて、かえって疲れてしまうかもしれないということです。 クラブ・カルチャーなどに親しんでいる若者は、イライラしすぎて切れてしまうでしょう。 そんなことを感じますが、ここまでメリハリの少ないアルバムというのもかえって珍しいため、時代を先駆したロハス・アルバムというキャッチコピーが自分で言うのもおかしいくらい似合っていると思います。

 さて、クレジットででは、全曲の作曲やギターで Hod David の名前があるのですが、Marc のほうは、「By Love I Mean」の作詞にクレジットされているだけです。 おそらく、リードボーカルは Marc だったと思われ、Hod と Marc は Simon & Garfunkel と同じ役割分担だったようです。
 
 ネットで検索すると、Marc Allen Trujillo は、地道に俳優や音楽の活動を続けているようです。 一方、Hod David には驚きました。 彼は、今も New York で現役のプロデューサーとして活躍しているようなのですが、なんと Bonnie Pink の 2005 年のアルバム「Golden Tears」で 3 曲をプロデュースしていました。 そこで知ったのですが、彼は Maxwell (NYのソロR&B系ミュージシャン)のギタリスト兼プロデューサーだったのです。 このアルバムの内容からはとても信じられません。 同姓同名の別人なのでしょうか?

■Hod & Marc / Hod & Marc■

Side-1
I’d Love Making Love To You
You Can Talk To Me
Aimee
The Warm Summer Rain
In Colorado

Side-2
You Still Don’t Know
Jazzman
Come & Gone
By Love , I Mean
The Lonely Young Girls

Produced by Bob Johnston

A-①④ music &lyrics by Hod David
A-②③⑤,B-③ music by Hod David , lyrics by Will Jacobs
B-① music & lyrics by Hod David , Will Jacobs & Steve Margoshes
B-② music by Hod David , lyrics by Tom Paisley
B-④ music by Hod David , lyrics by Will Jacobs , Hod David & Marc Allen Trujillo
B-② music by Hod David , lyrics by Tom Paisley & Hod David

Strings Arrangements by Bob Mersey

Hod David : acoustic guitars
Tim Drummond : bass
Bob Wilson : keyboards
Eddie Hinton : electric guitar
Kenny Buttrey : drums
Ed Kollis : harmonica
Pete Drake : steel guitar

Bell Records Bell 6080