■Jay Telfer / Time Has Tied Me■
前回ご紹介した John Laughlin のアルバムをプロデュースしていた Jay Telfer の唯一のソロアルバムをご紹介します。 このアルバムは、1974 年に Axe Records というマイナーレーベルからの発売です。 このレーベルは、アルバムにも参加している Fergus Hambleton のお兄さんにあたる Greg Hambleton がオーナーということで、ほぼ自主制作に近いレーベルと考えていいでしょう。
Jay Telfer は、Passing Fancy というグループの創設者でありリーダーだった人のようです。 Passing Fancy は 1967 年のトロント万博で演奏も行ったという伝説のバンドで、1967 年には唯一のアルバムを発表しています。 このオリジナルのアナログ盤は、かなりのプレミアムがついているようですが、2000 年頃に CD 化されています。 いずれにしても僕はまだ未聴なので、機会があれば聴いてみたいと思います。
Passing Fancy が 1969 年に解散した後も、Jay Telfer は音楽活動を続けて、1971 年の Murray McLauchlan のデビュー作にもドラムスでクレジットされています。 その後、1973 年には前述の John Laughlin のプロデュースを行い、ようやく自身のソロアルバムを発表したのが 1974 年ということになります。 さっそくアルバムの内容をおさらいしてみましょう。
1曲目の「Anything More Than Your Smile」は、タイトルから想像できるようなポップソング。 ちょっとニルソンがこんな曲をやりそうという感じの曲です。 曲が書かれたのは 1969 年ということなので、Passing Fancy の解散前後の作品ということになります。 つづく「Yellow Hair」は、Murray McLauchlan のハーモニカに導かれて始まるカントリー調の曲。 クレジットを見て今日発見したのですが、この曲はなんと John Laughlin の曲でした。 今までまったく気がつきませんでした。 クラリネットの音色が大道芸の BGM を連想させる「Ms ‘n You」、これまた John Laughlin の曲「Rich Man’s Song」と続きます。 この曲はミディアムスローな曲で、アルバムの中でも最もシリアスな雰囲気が漂っています。 続く「Doldrum」は一転して怠惰な生活を送る男のことを題材にした曲です。 そんなモチーフを表現するためか、Jay Telfer のボーカルも二日酔いのようなダメダメな感じを演じています。 この曲も 1969 年の曲。
B面に移ると、アルバムタイトル曲「Time Has Tied Me」で始まります。 この曲は軽快なフォークロックで、キャッチーな出来。 つづく「Suite One」はしんみり系のバラードでなかなかの佳作。 いよいよ完全に Nilsson 化してしまったかのような「Hydro Bill」は、知っている人なら誰に聴かせても Nilsson 似ということに否定できないと思います。 時代考証的には、この頃は Nilsson の人気絶頂期だったということでしょう。Murray McLauchlan のピアノをバックに歌われるしみじみした「Ten Pound Note」は覚えやすく印象に残る曲。 この曲も1969年の作品です。 Pasing Fancy が解散しなければ、このアルバムに収録された 1969年の作品 3 曲は、彼らのセカンドアルバムに収録されることになっていたのでしょうね。 アルバムラストの「No Peace In Quiet」は、ちょっとブルース調の曲。 B 面の流れや曲のクオリティが良かっただけに、あまり特徴のないこの曲でアルバムのラストなのは残念です。
さて、アルバムのクレジットで気になる人物がいますので、そのことを触れておきましょう。 その名前は、Fred Mollin です。 彼は Tony Kosinec の「Concsider The Heart」にベースで参加、 Randy Edelman の「You’re The One」のプロデュースなど僕の愛聴盤によく登場する人物なのです。 最近では、Jimmy Webb の新録作品もプロデュースしていますね。 そんな Fred Mollin は自身の公式サイトにもあるように、今ではカナダ音楽シーンの重鎮とも言える存在なのです。
次回の予告をしておきましょう。 Ann Mortifee から始まり John Laughlin そして、Jay Telfer と友達の輪みたいにつながってきたので、次は Murray McLauchlan のファーストアルバムにしようかと思います。
■Jay Telfer / Time Has Tied Me■
Side-1
Anything More Than Your Smile
Yellow Hair
Ms ‘n You
Rich Man’s Son
Doldrum
Side-2
Time Has Tied Me
Suite One
Hydro Bill
Ten Pound Note
No Peace In Quiet
Produced by Greg Hambleton
Engineered by Terry Brown at Toronto Sound Studio
All Songs Written by Jay Telfer except ‘Yellow Hair’ and ‘Rich Man’s Son’ by John Laughlin
Jay Telfer : acoustic and electric rhythm guitars ,brush and percussion , organ
Richard Fruchman : bass
Malcolm Tomlinson : drums
Mitch Clarke : all strings and horns charts
Strings : Bill Richards , Andy Benac , Vicki Richards , Stan Soloman , Petere Schenkman , Dave Heatherington
Fred Mollin : acoustic guitar on A-①②④ , B-①②
Jack Zaza baritone sax on A-①③ , B-③⑤
Moe Koffman alto sax , clarinet on A-①③ , B-③⑤
Arnie Chycoski : trumpet on A-①③
Bill Durst : lead guitar on A-① , B-⑤
Murray McLaughlan : harmonica , piano on A-②⑤ , B-④
Peter Goodale :piano on on A-② , B-①②⑤
Kevan Staples : acoustic guitar on A-③、B-③
Walter Egoe : background vocals on A-⑤
Ian Guenther : violin on A-⑤
Dash Hopes background vocals on B-①
Fergus Hambleton : piano , 2nd guitar on B-③④
Axe Records AXS 505
前回ご紹介した John Laughlin のアルバムをプロデュースしていた Jay Telfer の唯一のソロアルバムをご紹介します。 このアルバムは、1974 年に Axe Records というマイナーレーベルからの発売です。 このレーベルは、アルバムにも参加している Fergus Hambleton のお兄さんにあたる Greg Hambleton がオーナーということで、ほぼ自主制作に近いレーベルと考えていいでしょう。
Jay Telfer は、Passing Fancy というグループの創設者でありリーダーだった人のようです。 Passing Fancy は 1967 年のトロント万博で演奏も行ったという伝説のバンドで、1967 年には唯一のアルバムを発表しています。 このオリジナルのアナログ盤は、かなりのプレミアムがついているようですが、2000 年頃に CD 化されています。 いずれにしても僕はまだ未聴なので、機会があれば聴いてみたいと思います。
Passing Fancy が 1969 年に解散した後も、Jay Telfer は音楽活動を続けて、1971 年の Murray McLauchlan のデビュー作にもドラムスでクレジットされています。 その後、1973 年には前述の John Laughlin のプロデュースを行い、ようやく自身のソロアルバムを発表したのが 1974 年ということになります。 さっそくアルバムの内容をおさらいしてみましょう。
1曲目の「Anything More Than Your Smile」は、タイトルから想像できるようなポップソング。 ちょっとニルソンがこんな曲をやりそうという感じの曲です。 曲が書かれたのは 1969 年ということなので、Passing Fancy の解散前後の作品ということになります。 つづく「Yellow Hair」は、Murray McLauchlan のハーモニカに導かれて始まるカントリー調の曲。 クレジットを見て今日発見したのですが、この曲はなんと John Laughlin の曲でした。 今までまったく気がつきませんでした。 クラリネットの音色が大道芸の BGM を連想させる「Ms ‘n You」、これまた John Laughlin の曲「Rich Man’s Song」と続きます。 この曲はミディアムスローな曲で、アルバムの中でも最もシリアスな雰囲気が漂っています。 続く「Doldrum」は一転して怠惰な生活を送る男のことを題材にした曲です。 そんなモチーフを表現するためか、Jay Telfer のボーカルも二日酔いのようなダメダメな感じを演じています。 この曲も 1969 年の曲。
B面に移ると、アルバムタイトル曲「Time Has Tied Me」で始まります。 この曲は軽快なフォークロックで、キャッチーな出来。 つづく「Suite One」はしんみり系のバラードでなかなかの佳作。 いよいよ完全に Nilsson 化してしまったかのような「Hydro Bill」は、知っている人なら誰に聴かせても Nilsson 似ということに否定できないと思います。 時代考証的には、この頃は Nilsson の人気絶頂期だったということでしょう。Murray McLauchlan のピアノをバックに歌われるしみじみした「Ten Pound Note」は覚えやすく印象に残る曲。 この曲も1969年の作品です。 Pasing Fancy が解散しなければ、このアルバムに収録された 1969年の作品 3 曲は、彼らのセカンドアルバムに収録されることになっていたのでしょうね。 アルバムラストの「No Peace In Quiet」は、ちょっとブルース調の曲。 B 面の流れや曲のクオリティが良かっただけに、あまり特徴のないこの曲でアルバムのラストなのは残念です。
さて、アルバムのクレジットで気になる人物がいますので、そのことを触れておきましょう。 その名前は、Fred Mollin です。 彼は Tony Kosinec の「Concsider The Heart」にベースで参加、 Randy Edelman の「You’re The One」のプロデュースなど僕の愛聴盤によく登場する人物なのです。 最近では、Jimmy Webb の新録作品もプロデュースしていますね。 そんな Fred Mollin は自身の公式サイトにもあるように、今ではカナダ音楽シーンの重鎮とも言える存在なのです。
次回の予告をしておきましょう。 Ann Mortifee から始まり John Laughlin そして、Jay Telfer と友達の輪みたいにつながってきたので、次は Murray McLauchlan のファーストアルバムにしようかと思います。
■Jay Telfer / Time Has Tied Me■
Side-1
Anything More Than Your Smile
Yellow Hair
Ms ‘n You
Rich Man’s Son
Doldrum
Side-2
Time Has Tied Me
Suite One
Hydro Bill
Ten Pound Note
No Peace In Quiet
Produced by Greg Hambleton
Engineered by Terry Brown at Toronto Sound Studio
All Songs Written by Jay Telfer except ‘Yellow Hair’ and ‘Rich Man’s Son’ by John Laughlin
Jay Telfer : acoustic and electric rhythm guitars ,brush and percussion , organ
Richard Fruchman : bass
Malcolm Tomlinson : drums
Mitch Clarke : all strings and horns charts
Strings : Bill Richards , Andy Benac , Vicki Richards , Stan Soloman , Petere Schenkman , Dave Heatherington
Fred Mollin : acoustic guitar on A-①②④ , B-①②
Jack Zaza baritone sax on A-①③ , B-③⑤
Moe Koffman alto sax , clarinet on A-①③ , B-③⑤
Arnie Chycoski : trumpet on A-①③
Bill Durst : lead guitar on A-① , B-⑤
Murray McLaughlan : harmonica , piano on A-②⑤ , B-④
Peter Goodale :piano on on A-② , B-①②⑤
Kevan Staples : acoustic guitar on A-③、B-③
Walter Egoe : background vocals on A-⑤
Ian Guenther : violin on A-⑤
Dash Hopes background vocals on B-①
Fergus Hambleton : piano , 2nd guitar on B-③④
Axe Records AXS 505