■Ann Mortifee / Baptism■
「洗礼」というタイトルのアルバム。 このジャケットのイラストも含め、かなり宗教色の濃い内容か、スピリチュアルなサウンドなのか、と予想してしまう作品です。
そんなこのアルバムは、1975 年にカナダオンリーで発売された女性フォークシンガー Ann Mortifee のデビュー作です。 シンガーソングライターとしてカテゴライズするには、歌い方や曲調に違和感がありますので、ジャンルは Folk としました。
Ann Mortifee について、あまり語られてきたことはないと思いますが、彼女は今も現役で活動するミュージシャンで、セカンドアルバム以降は自身のレーベルからリリースしたり、最近の作品は CD でリリースされたりしてます。 しかし、このファーストだけは、いまだに CD 化されていません。
クレジットを見ると、recorded とは明記されていないものの、engineered という表現で、アビーロード・スタジオの名前が出ています。 EMI 傘下の Capital からのリリースということもあり、おそらくアビーロードでレコーディングされたものと思われます。 残念ながら参加ミュージシャンのクレジットがないので、推測の域は出ませんが。
アルバムは、この時代にしては全 13 曲と多めの収録曲です。 それが影響してか、かなり多くの「捨て曲」が多いのも確かです。 そんなことから印象的な曲のみをピックアップしてみます。 A 面 1 曲目の「The Moonlight」は、カナダの森山良子と命名したくなるような曲。 世界観は「この広い野原いっぱい」に近いフォークソングです。 Ann Mortifee の歌声は、小鳥のさえずりのような清潔感を感じさせます。 A 面はこの曲以降、静かめの地味な曲が続いていきます。 そんななか、ふと Joni Mitchell に似ているかも、と思わせる場面があったりします。
B 面に移ると、「One Man Sally Ann」は、「The Moonlight」に近い雰囲気を持ったフォークソング。 彼女の震えるハイトーンのボーカルがこれでもかと味わえます。 「I Know Your Pain」は歌いだしのスキャット風の部分が、「宇宙戦艦ヤマト」が地球に帰還するときに流れる BGM のような感じです。 この曲は、アルバムを通して聴くたびに思い出しては、すぐ忘れてしまう曲です。 静かな波の音をバックに囁くように歌われる「So Long We Lay」が終わると、アルバムラストにして最大の名曲「Baptism」です。 この曲は、アルバムタイトル曲でもあり、「洗礼」という神聖な響きとともに、天国に上っていくときの天使の歌声を聴いているかのような気分にさせられます。 メロディーも、ホルンとストリングスによるアレンジも曲を盛り上げ、聴く人すべての心から不純物を取り除くかのようです。 アルバムの他の 12 曲は、この曲を聴かせるまでの巡礼だったのでしょうか。 そんな気にさえさせられる名曲です。
ただ、最初に書いておけば良かったかもしれませんが、Ann Mortifee の歌い方や声そのものがどうもダメ、という人も少なからずいると思いますので、そのあたりはご注意を。以前、この「Baptism」を女性シンガー好きの友人に聴かせたところ、反応が良くなかったこともありました。
さて、このアルバムは全曲 Ann Mortifee の作曲ですが、A①⑤⑥、B①④⑤ の作詞は、クレジットにもある Valerie Hennell が手がけています。
このアルバムをリリースして 5 年後の 1980 年に Ann Mortifee は、「The Ecstacy Of Rita Joe」というアルバムを発表してますが、これは演劇色の強いもののようです。 彼女のアルバムは他にも 1 枚アルバムを持っていますが、なぜか僕は「Baptism」しか聴く気になれないのです。 興味のある方は、彼女自身のページをお訪ねください。
■Ann Mortifee / Baptism■
Side-1
The Moonlight
Lady Singing The Blues
Evening Falls
Good Night , Gentle Sire
Ah ! Lover
Everybody Knows
Side-2
One Man Sally Ann
Sleep On
I Know Your Pain
The Elves Of Dawn
On Hearing Of Lori
So Long We Lay
Baptism
Produced and Nurtured by Norman Newell
Assistant Production by Gil King
Arranged by Nick Ingman
Engineerd by Peter Bown , Mike Tarratt & John Barnett
EMI Studios , Abbey Road , London
Valerie Hennell :lyrics and inspiration
Capital Records ST-6437
「洗礼」というタイトルのアルバム。 このジャケットのイラストも含め、かなり宗教色の濃い内容か、スピリチュアルなサウンドなのか、と予想してしまう作品です。
そんなこのアルバムは、1975 年にカナダオンリーで発売された女性フォークシンガー Ann Mortifee のデビュー作です。 シンガーソングライターとしてカテゴライズするには、歌い方や曲調に違和感がありますので、ジャンルは Folk としました。
Ann Mortifee について、あまり語られてきたことはないと思いますが、彼女は今も現役で活動するミュージシャンで、セカンドアルバム以降は自身のレーベルからリリースしたり、最近の作品は CD でリリースされたりしてます。 しかし、このファーストだけは、いまだに CD 化されていません。
クレジットを見ると、recorded とは明記されていないものの、engineered という表現で、アビーロード・スタジオの名前が出ています。 EMI 傘下の Capital からのリリースということもあり、おそらくアビーロードでレコーディングされたものと思われます。 残念ながら参加ミュージシャンのクレジットがないので、推測の域は出ませんが。
アルバムは、この時代にしては全 13 曲と多めの収録曲です。 それが影響してか、かなり多くの「捨て曲」が多いのも確かです。 そんなことから印象的な曲のみをピックアップしてみます。 A 面 1 曲目の「The Moonlight」は、カナダの森山良子と命名したくなるような曲。 世界観は「この広い野原いっぱい」に近いフォークソングです。 Ann Mortifee の歌声は、小鳥のさえずりのような清潔感を感じさせます。 A 面はこの曲以降、静かめの地味な曲が続いていきます。 そんななか、ふと Joni Mitchell に似ているかも、と思わせる場面があったりします。
B 面に移ると、「One Man Sally Ann」は、「The Moonlight」に近い雰囲気を持ったフォークソング。 彼女の震えるハイトーンのボーカルがこれでもかと味わえます。 「I Know Your Pain」は歌いだしのスキャット風の部分が、「宇宙戦艦ヤマト」が地球に帰還するときに流れる BGM のような感じです。 この曲は、アルバムを通して聴くたびに思い出しては、すぐ忘れてしまう曲です。 静かな波の音をバックに囁くように歌われる「So Long We Lay」が終わると、アルバムラストにして最大の名曲「Baptism」です。 この曲は、アルバムタイトル曲でもあり、「洗礼」という神聖な響きとともに、天国に上っていくときの天使の歌声を聴いているかのような気分にさせられます。 メロディーも、ホルンとストリングスによるアレンジも曲を盛り上げ、聴く人すべての心から不純物を取り除くかのようです。 アルバムの他の 12 曲は、この曲を聴かせるまでの巡礼だったのでしょうか。 そんな気にさえさせられる名曲です。
ただ、最初に書いておけば良かったかもしれませんが、Ann Mortifee の歌い方や声そのものがどうもダメ、という人も少なからずいると思いますので、そのあたりはご注意を。以前、この「Baptism」を女性シンガー好きの友人に聴かせたところ、反応が良くなかったこともありました。
さて、このアルバムは全曲 Ann Mortifee の作曲ですが、A①⑤⑥、B①④⑤ の作詞は、クレジットにもある Valerie Hennell が手がけています。
このアルバムをリリースして 5 年後の 1980 年に Ann Mortifee は、「The Ecstacy Of Rita Joe」というアルバムを発表してますが、これは演劇色の強いもののようです。 彼女のアルバムは他にも 1 枚アルバムを持っていますが、なぜか僕は「Baptism」しか聴く気になれないのです。 興味のある方は、彼女自身のページをお訪ねください。
■Ann Mortifee / Baptism■
Side-1
The Moonlight
Lady Singing The Blues
Evening Falls
Good Night , Gentle Sire
Ah ! Lover
Everybody Knows
Side-2
One Man Sally Ann
Sleep On
I Know Your Pain
The Elves Of Dawn
On Hearing Of Lori
So Long We Lay
Baptism
Produced and Nurtured by Norman Newell
Assistant Production by Gil King
Arranged by Nick Ingman
Engineerd by Peter Bown , Mike Tarratt & John Barnett
EMI Studios , Abbey Road , London
Valerie Hennell :lyrics and inspiration
Capital Records ST-6437