令和3年12月4日(土)
名文の松島。まず、原文を!
「抑(そもそも)、ことふりにたれど、
松島は扶桑第一の好風にして、
凡(およそ)洞庭・西湖を恥ず。
東南より海に入て、江の中(うち)三里、
浙江の潮をたゝふ。
島々の数を尽して、
欹(そばたつ)つものは天を指(ゆびさし)、
ふすものは波にはらばふ。
あるは二重にかさなり、
三重に畳(たた)みて、
左にわかれ右につらなる。
負(おへ)るあり抱るあり、
児孫愛するがごとし。
松の緑こまやかに、
枝葉汐風に吹きたはめて、
屈曲をのづからためたるがごとし。
その景色窅然(えうぜん)として、
美人の顔(かんばせ)を粧ふ。
ちはや振神のむかし、
大山祇(づみ) のなせつわざにや。
造化の天工、いづれの人か
筆をふるひ詞を尽さむ。
つづく。