貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

鹿の尻からの声!?

2022-02-28 14:49:22 | 日記
令和4年2月28日(月)
ぴいと啼 
  尻声悲し 
    夜ルの鹿
     (九月八日)
 奈良に泊まった夜、
猿沢の池の畔を散策していると、
鹿の鳴き声が聞こえてきた。
 口からではなく、
 尻からの声なのだ。
 ぴいという擬声語が、
悲しみを先行させ、
漢字の「夜」と
片仮名の「ル」の合成語が、
真っ黒な夜の景色を
四方に放出している。


最後の名月かな?

2022-02-27 14:58:55 | 日記
令和4年2月27日(日)
名月に 
  麓の霧や 
    田のくもり
     (八月十五日)
 故郷の里にて、
弟子達と共に月見の宴を張っていると、
伊賀盆地には霧が満ちているという。
 単刀直入な句。
 何のてらいもない
かるみの作品だが、
芭蕉には最後の名月であったらしい。
 それをおもんばかると、
思いは、しみじみと深い。
 「くもり」の三文字が
「涙のくもり」
とも読めてくる。


鬼気迫る暗夜の恐怖

2022-02-26 14:41:29 | 日記
令和4年2月26日(土)
いなづまや 
 闇の方行(かたゆく) 
  五(ご)(い)の声
      (文月の頃)
 闇夜に稲妻が光る中を、
五位鷺が鳴きながら飛ぶという
薄気味の悪い状況を詠んでいる。
 命を飲み込むような厚い闇と、
突き刺すような鋭い稲妻と、
悲鳴さながらの鳴き声とが合体して、
陰暦七月の雷鳴とどろく
暗夜の恐怖を描き出している。
 鬼気迫る作品である。


いつの間にか、杖に白髪の・・・墓参!

2022-02-25 15:23:07 | 日記
令和4年2月25日(金)
 背中の右側が張り付いたように痛く、
湿布をしても、テーピングをしても変化なし。
 最後の綱の鍼灸院へ電話し、
一時から診ていただくことに。
 平成29年以来という久方ぶりで
治療していただく。
 お陰で、寝返りもうてそうに回復。
 有り難し。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
家はみな 
 杖にしら髪の 
   墓参(はかまいり)
          (七月十五日)
 兄の招きで、伊賀の里に帰り、
親戚一同が墓参りするが、
参ずる人々は皆老人であると気づく。
 人生無常を実感する。


うれし泣きの相撲とり草?

2022-02-24 15:36:54 | 日記
令和4年2月24日(木)
道ほそし 
  相撲とり草の 
      花の露
      (7月上旬頃)
 さて、相撲とり草とは?
 調べると、
スモウトリグサとは、 
 ① すみれの別称
 ② なずなの別称
 ③ オヒシバ・メヒシバの別称
 イネ科の植物で、
時期的に見て、オヒシバのようだ。
 久しぶりに膳所の義仲寺の草庵に
帰ってみると、
雑草の中に細い道が通じていて、
スモウトリグサが咲いている。
その花が露に濡れている。
 如何にも自分が来たのを歓迎して
泣いているようだ。
 かの陶淵明の『帰去来辞』の
「三径就荒松菊猶存」
(三本の小道は荒れているけれども、
松と菊は残っていた。)
という故郷に帰ってくると、
荒れ地になっていたが、
松と菊とは残っていて嬉しいことだと
詠んだ詩人を、
芭蕉は連想したか。
 最近の義仲寺