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貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

自称「乞食の翁」と呼ぶか?

2021-09-29 10:16:43 | 日記
令和3年9月29日(水)
櫓の声 
  波ヲうって氷ル 
     夜やなみだ
  腸の氷るような寒夜、櫓に波の
当たる音を聞くにつけ、なぜだか
涙を催して仕方がない、
の意。
延宝八年(1680)の作。
「櫓の声」・・・舟をこぐ櫓の音。
「櫓声」は、漢詩で鷹のまがうものとされ、
歌語「鷹の涙」を介して、
「櫓の声」と「涙」の結びつく必然性が
あると指摘される。
 十・七・五の字余り句で、
上句/中七・下五の二段構造により、
漢詩的表現の可能性を追求した作。
 深川の草庵生活を対象に、
大げさな表現を敢えて使い、
自己を劇中人物のように扱ったと見る
のが妥当のよう。
 種々の前書きが知られて、その一つでは、
杜甫「絶句四首の詩句」を引きつつ、
「他だ老杜にまされる物は、独多病のみ。
閑素茅舎の芭蕉にかくれて、
自乞食の翁とよぶ。」
と記す。(これを真蹟と見ない説もある。)
つづく。