令和3年9月19日(日)
高水に
星も旅寝や
岩の上
この大雨では、天の川も水嵩が増し、
この大雨では、天の川も水嵩が増し、
渡ることのできない織姫星は、川原の
岩の上で淋しく旅寝をすることだろう、
の意。
元禄六年(1693)の作。
前書き「吊(とぶらふ) 初秋雨星/
元禄六年(1693)の作。
前書き「吊(とぶらふ) 初秋雨星/
元禄六文月七日の夜。風雲天にみち、
白浪銀河の岸をひたして、雨
烏(う)鵲(じやく)の橋杭を流し、
一葉(いちえふ)梶をふきをるけしき、
二星も屋形をうしなふべし。
今宵を只に過(すぐ)さむも残おほしと、
一燈かゝげ添る折ふし、遍昭・小町が
歌を吟ずる人あり。
星によって、此二首を探て雨星の心
をなぐさめむとす。」
「 吊(とぶらふ) 」・・・吊(とぶらふ)は
「 吊(とぶらふ) 」・・・吊(とぶらふ)は
「弔」の誤用。・・・
「雨星」雨の七夕を惜しむ意の題(底本の
編者史邦によるか)で、
「雨星」は、雨で逢瀬を遮られた二星。
「元禄六」・・・前書きは真蹟懐紙と
「元禄六」・・・前書きは真蹟懐紙と
共通し空想される天上の星を描いた後、
遍昭・小町の歌に基づく句で、
「雨星の心」を慰めにした旨を記す。
その歌とは、
「岩の上に旅寝をすればいと寒し
その歌とは、
「岩の上に旅寝をすればいと寒し
苔の衣を我に貸さなん」
(小町)
「世の背く苔の衣はただ一重
「世の背く苔の衣はただ一重
貸さればうとしいざ二人寝ん」
(遍昭)
<後撰集>の唱和。
「高水」・・・川などの増水。
底本や真蹟懐紙では、この後に
<後撰集>の唱和。
「高水」・・・川などの増水。
底本や真蹟懐紙では、この後に
「遍昭が歌/
七夕に
かさねばうとし
絹合羽 杉風」
が続き、芭蕉庵での唱和と推察される。
『山之井』に、
が続き、芭蕉庵での唱和と推察される。
『山之井』に、
「みつぶにても雨だにふれば、
星のあふせむなし」
とあり、
「雨星」は俳諧に好まれる句題の一つ
であった。
つづく。