齋藤寅次郎監督の'57年作品『体当たり殺人狂時代』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
夜のアパートに近づく男の影。靴音をコツコツ鳴らせながら、2階の1室のドアを音もなく開け、靴のまま部屋に上がると、テーブルの上の灰皿にはまた煙の残る煙草が置いてあり、奥の浴室からは入浴している女性の鼻歌が聞こえます。バスタオルを体に巻いて髪の毛をとかす女性は、ネグリジェに着替えると、部屋の鏡台に向かいます。男に気づき、「まあ、随分失礼ね。女1人の部屋に黙って入ってくるなんて」と女が言うと、男は「ふっふっふ、折り入って聞きたいことがあってね。8年前に黒人の子を産んだことがあったな。その子の行方を探してくれと、ある方に頼まれているんだ」と言い、女性から、その子は横浜の国際ホームに預けられていると聞くと、「そこから逃げ出して、帰ってないそうだ。必ず母の元へやってくるはずだから、知らないとは言わせない」と言って女性に迫ると、女性は果物ナイフを持って抵抗しようし、逆に男に殺されてしまいます。それをベッドの下で見ていた混血児は、男が部屋を去ると、「死んじゃ嫌だよ、ママ」と死んだ女性に話しかけますが、そこへ男が戻ってきて「お前がジョージだな」と言うと、混血児は逃げ出します。隣に住むカンペイが異変に気づき、「明美さん!」と言ってドアを開け、死体と凶器のナイフを発見します。一方、混血児は男をまいて、立派な屋敷の屋根に登ると、煙突から中に落ちます。
自転車に乗って歌う青年・ケンキチと、それに引かれる箱に乗っている煙突掃除屋の善さん(大宮デンスケ)。(ここはスクリーンプロセスが使われています。)昨日やったばかりの館にまた呼ばれた彼らは、暖炉からススが部屋に大量に落ちていると苦情を言われ、再び煙突掃除にかかります。それは昨晩、混血児が落ちた煙突でした。お手伝いさんに真空掃除機の説明をする善さんは、過ってお手伝いさんのスカートを吸い取ってしまいます。煙突に真空掃除機をセットした善さんでしたが、何か詰まっていることに気づき、やがて屋根にいたケンキチが煙突に落ちていった後、真空掃除機の中に混血児が吸い込まれます。掃除機の袋から出てきた黒いススだらけの混血児をケンキチと思い込み、2人で帰っていく善さん。「やっと部屋がきれいになったわね」と館の女主人とお手伝いさんが話していると、ケンキチが暖炉から出てきて、2人はビックリします。
連れて帰ったのがケンキチでないことに気づいた善さんでしたが、飯の時間になったと言って、パンを食べ始めます。昨日から何も食べていないという混血児に、パンを分けてやる善さん。油断しているうちに、混血児は善さんのパンを全て食べてしまいますが、家もなく両親もいないという混血児に、善さんは同情し、仕事を手伝うなら、自分の家に置いてやると言います。善さんに愛想が尽きたと去るケンキチ。
川沿いのバラック作りの一軒家に混血児を連れてきた善さんは、自分が発明した発電機、スイッチを入れるだけで3分で湧く風呂、パン焼き機を混血児に披露します。双眼鏡で対岸の川岸に座る無数にいるアベックを見た混血児は、「おじさん、こんなのを見て、いつも楽しんでるの?」と聞きますが、善さんは適当に言い逃れします。風呂で混血児を洗い、いつまでも黒い色が落ちないと善さんが言うと、混血児はもともと自分の肌は黒いんだから落ちるはずがないと言います。自動的に壁から現れたテーブルで食事をしようとする2人でしたが、テーブルが故障して動きだし、2人はその動きに合わせて食事をせざるを得ません。パンの中からテレビの部品が出てきたので、それをテレビに戻して、日本に1つだけというシネスコテレビのスイッチを入れると、ちょうどニュースがやっていて、アラメニア国王がジョージという名の自分の孫を探しに日本に来ていることを知ります。「これ、坊やじゃないのか?」と聞く善さんに、「違うよ!」と答える混血児。混血児は“アパートの惨劇 美人マダムの死体”と題された新聞記事を見ると、その写真がママの写真であることを善さんに教えます。ママが殺されたのを見たという混血児に同情する善さん。 混血児は夜空に向かって“みなし子の歌”を歌い、目を潤ませながら「ママー」と叫びます。「男の子なんだから、もう泣くんじゃない。ママは必ず迎えに来てくれるよ。星にお願いしよう」という善さんに、素直に星に祈る混血児。自動皿洗い機で食器を洗い、壁に収納されていたベッドを出して2人で寝ると、横には女性のヌードの絵が貼ってあります。それについてしつこく質問する混血児と、うやむやにごまかそうとする善さん。(明日へ続きます‥‥)
→Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
夜のアパートに近づく男の影。靴音をコツコツ鳴らせながら、2階の1室のドアを音もなく開け、靴のまま部屋に上がると、テーブルの上の灰皿にはまた煙の残る煙草が置いてあり、奥の浴室からは入浴している女性の鼻歌が聞こえます。バスタオルを体に巻いて髪の毛をとかす女性は、ネグリジェに着替えると、部屋の鏡台に向かいます。男に気づき、「まあ、随分失礼ね。女1人の部屋に黙って入ってくるなんて」と女が言うと、男は「ふっふっふ、折り入って聞きたいことがあってね。8年前に黒人の子を産んだことがあったな。その子の行方を探してくれと、ある方に頼まれているんだ」と言い、女性から、その子は横浜の国際ホームに預けられていると聞くと、「そこから逃げ出して、帰ってないそうだ。必ず母の元へやってくるはずだから、知らないとは言わせない」と言って女性に迫ると、女性は果物ナイフを持って抵抗しようし、逆に男に殺されてしまいます。それをベッドの下で見ていた混血児は、男が部屋を去ると、「死んじゃ嫌だよ、ママ」と死んだ女性に話しかけますが、そこへ男が戻ってきて「お前がジョージだな」と言うと、混血児は逃げ出します。隣に住むカンペイが異変に気づき、「明美さん!」と言ってドアを開け、死体と凶器のナイフを発見します。一方、混血児は男をまいて、立派な屋敷の屋根に登ると、煙突から中に落ちます。
自転車に乗って歌う青年・ケンキチと、それに引かれる箱に乗っている煙突掃除屋の善さん(大宮デンスケ)。(ここはスクリーンプロセスが使われています。)昨日やったばかりの館にまた呼ばれた彼らは、暖炉からススが部屋に大量に落ちていると苦情を言われ、再び煙突掃除にかかります。それは昨晩、混血児が落ちた煙突でした。お手伝いさんに真空掃除機の説明をする善さんは、過ってお手伝いさんのスカートを吸い取ってしまいます。煙突に真空掃除機をセットした善さんでしたが、何か詰まっていることに気づき、やがて屋根にいたケンキチが煙突に落ちていった後、真空掃除機の中に混血児が吸い込まれます。掃除機の袋から出てきた黒いススだらけの混血児をケンキチと思い込み、2人で帰っていく善さん。「やっと部屋がきれいになったわね」と館の女主人とお手伝いさんが話していると、ケンキチが暖炉から出てきて、2人はビックリします。
連れて帰ったのがケンキチでないことに気づいた善さんでしたが、飯の時間になったと言って、パンを食べ始めます。昨日から何も食べていないという混血児に、パンを分けてやる善さん。油断しているうちに、混血児は善さんのパンを全て食べてしまいますが、家もなく両親もいないという混血児に、善さんは同情し、仕事を手伝うなら、自分の家に置いてやると言います。善さんに愛想が尽きたと去るケンキチ。
川沿いのバラック作りの一軒家に混血児を連れてきた善さんは、自分が発明した発電機、スイッチを入れるだけで3分で湧く風呂、パン焼き機を混血児に披露します。双眼鏡で対岸の川岸に座る無数にいるアベックを見た混血児は、「おじさん、こんなのを見て、いつも楽しんでるの?」と聞きますが、善さんは適当に言い逃れします。風呂で混血児を洗い、いつまでも黒い色が落ちないと善さんが言うと、混血児はもともと自分の肌は黒いんだから落ちるはずがないと言います。自動的に壁から現れたテーブルで食事をしようとする2人でしたが、テーブルが故障して動きだし、2人はその動きに合わせて食事をせざるを得ません。パンの中からテレビの部品が出てきたので、それをテレビに戻して、日本に1つだけというシネスコテレビのスイッチを入れると、ちょうどニュースがやっていて、アラメニア国王がジョージという名の自分の孫を探しに日本に来ていることを知ります。「これ、坊やじゃないのか?」と聞く善さんに、「違うよ!」と答える混血児。混血児は“アパートの惨劇 美人マダムの死体”と題された新聞記事を見ると、その写真がママの写真であることを善さんに教えます。ママが殺されたのを見たという混血児に同情する善さん。 混血児は夜空に向かって“みなし子の歌”を歌い、目を潤ませながら「ママー」と叫びます。「男の子なんだから、もう泣くんじゃない。ママは必ず迎えに来てくれるよ。星にお願いしよう」という善さんに、素直に星に祈る混血児。自動皿洗い機で食器を洗い、壁に収納されていたベッドを出して2人で寝ると、横には女性のヌードの絵が貼ってあります。それについてしつこく質問する混血児と、うやむやにごまかそうとする善さん。(明日へ続きます‥‥)
→Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)