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後藤繁雄編著『独特老人』

2009-09-19 16:06:00 | ノンジャンル
 本「顰蹙文学カフェ」の中で高橋源一郎さんがむちゃくちゃおもしろかったと言っている、後藤繁雄さんの'01年作品「独特老人」を読みました。著明な65才以上の人へのインタビュー集です。
 インタビューされている人は登場順に、森敦(作家・76才)埴谷雄高(作家・78才)伊福部昭(作曲家・76才)升田幸三(棋士・73才)永田耕衣(俳人・89才)流政之(彫刻家・65才)山田風太郎(作家・68才)梯明秀(経済哲学者・86才)淀川長治(映画評論家・84才)大野一雄(舞踏家・84才)杉浦明平(作家・76才)下村寅太郎(哲学者・87才)杉浦茂(漫画家・91才)須田剋太(画家・82才)安東次男(詩人・俳人・70才)亀谷雄策(アート・ディレクター・74才)細川護貞(文人・77才)水木しげる(漫画家・67才)久野収(哲学者・79才)芹沢光治良(作家・94才)植田正治(写真家・76才)堀田善衛(作家・73才)多田侑史(裏千家執事・75才)宮川一夫(映画キャメラマン・81才)中村真一郎(作家・72才)沼正三(作家・64才)吉本隆明(詩人・77才)鶴見俊輔(哲学者・72才)(数字はインタービュー時の年齢)。顔のアップの写真と編者による本人紹介・導入部の後に独白の形によるインタビュー記事という形を取っています。(鶴見俊輔さんの所だけは鶴見さんの要望により対談形式になっています。)最近のご自分の話に多くのページが割かれている中、奥さんが働かないでほしいと言うので、10年働いては10年遊んでいたという森敦さんの話、すべての生物は元を辿っていけば兄弟なのだという埴谷雄高さんの話、飢饉の時少ない食料で済むように二宮尊徳が農民たちを強制的に寝たきりの状態にさせたという杉浦明平さんの話、水木しげるさんが空襲で片腕を失っていたという話、他の動物と同じく人間でも女は一ケ所で動かずに男を待ち構えて捕まえるという、「家畜人ヤプー」の著者で変態を自認する沼正三さんの話、存在するものはすべて正しいという、やはり沼正三さんの話は興味深く読みました。また、「生きているということにおいては百歳の人も十歳の人も変わらない」「(独特の人は)たった今見出した世界の秘密についての発見を、とにかく色あせないうちに、消失しない間に、誰かに話さなければならない」とまえがきで書く後藤さんの言葉にも深く共鳴しました。
 人の話を聞くのが苦手でない方ならばオススメです。