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登賢『ゴールデン・トライアングル秘史』

2009-03-19 18:20:00 | ノンジャンル
 高野秀行さんが推薦している、登賢さんの'00年作品「ゴールデン・トライアングル秘史 アヘン王国50年の興亡」を読みました。国民党が共産党に破れ、'50年にラオス、タイ、ビルマの国境地帯であるゴールデン・トライアングル(金三角)に逃れ、'92年に完全に武装を解くまでの歴史を、著者が'98年に現地に取材して書き上げた大著です。
 内容の大筋を掴んでもらうため、主な章立てを書き出してみますと、「第2章 パンドラの箱 李国輝、死の谷を抜け金三角の開祖となる」「第3章 危地に赴く 銭運周がアヘン密輸護衛の指揮を執る」「第4章 背水の陣 国民党敗残部隊がビルマ政府軍を破る」「第5章 領主の親戚 銭運周がシャン族領主の娘を娶る」「第6章 辺境の覇者 李弥将軍が復興部隊の権力を奪う」「第7章 雲南に反攻せよ! 李弥将軍の極秘作戦は何か」「第8章 激動のシャン シャン州の全領土が李弥将軍にひれ伏す」「第9章 帝国神話 カレン族と連合し支配区を拡大する」「第10章 『乾季の嵐』作戦 ビルマ軍傭兵部隊との激戦に勝利する」といった具合で、序章と27章、そして終章まで続きます。取材について書かれた文と、当時の出来事を描いた文とが区別して書かれ、上下段で486ページという相当の量ですが、その内容の面白さに最後まで読めました。
 どこがそんなに面白かったかたというと、山岳地帯を舞台にゲリラ戦が絶えず行なわれ、その戦術が面白いというところ、少人数の部隊が大部隊のビルマ政府軍やタイ政府軍を破っていくところ、凄惨な戦争場面の描写、政略結婚などなりふりかまわずの生き残りにかけた権力者の様子などなどでしょう。あまりに描写が細部に行き届いているので、本当に取材に基づいたものかどうか疑問に思うところもありましたが、面白ければそれが実際に起こったことなのかどうなのかは、私の中ではあまり問題にはなりませんでした。
 面白いノンフィクションを読みたい方には、文句無しにオススメです。