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ミハイル・ロンム監督『一年の九日』

2009-03-12 16:24:00 | ノンジャンル
 先日、母の確定申告に付き合ったのですが、控除を受けるための確定申告には期限がないそうです。今まではてっきり3月中にしなければならないものと思っていました。考えてみれば、国としては控除の申告は遅ければ遅いほど、運用益が見込めるので、都合がいい訳で、なるほどと思いました。皆さんにも意外に勘違いしている方がいらっしゃるのではないでしょうか?

 さて、山田宏一さんの「恋の映画誌」の文章に触発されて、ミハイル・ロンム監督の'61年作品「一年の九日」を見ました。
 登場人物たちのある1年の中から9日だけを描いた、という趣旨のナレーションがあり、ミーチャとイリヤ2人の男性とリョーリャという女性という3人の原子物理学者の関係が語られていきます。1日目にはミーチャが実験中被爆して入院し、2日目に退院します。ミーチャとの6年越しの恋に疲れたリョーリャはイリヤと結婚することにし、それをミーチャに告げようとしますが、照れからか席を立ってしまうイリヤに失望し、ミーチャが1年後に実験を終えるまで一緒にいることを決心します。3日目はミーチャとリョーリャの結婚式。4日目は既に倦怠期を迎えた2人。5日目には、ミーチャが実験で中性子を検出し、研究所中大騒ぎになりますが、ミーチャがまた被爆したことをリョーリャは知ります。6日目、リョーリャはミーチャの体に異変が起きているのに気付きます。7日目、リョーリャはミーチャの実家に連れていかれます。8日目、自宅療養中のミーチャは、リョーリャの出勤後、研究所に出向き、期待していた新しい原子炉での実験が失敗していたことを知ります。9日目、明日人類初めての骨髄移植を受けるミーチャをイリヤが見舞った後、イリヤとリョーリャはミーチャから「体が大丈夫だったら、手術前に3人で飲みに行くのになあ」という手紙を受け取るのでした。
 遠近法を強調した構図が目立ち、硬質な白黒画面が目を引きました。山田さんの文章の喚起力がすごくて、本編の方が山田さんの文章よりあっさりした感じだった気がします。特にラスト、手紙が画面に写されただけで、音楽も何もなくすぐに「終わり」の字幕が出るのには驚きました。フランスでヌーヴェルヴァーグ真っ最中の時期に撮られた映画であることで、特に若々しい印象が強い映画でもありました。ミハイル・ロンム監督をまだ知らない方にはオススメです。