えくぼ

ごいっしょにおしゃべりしましょう。

あるきだす言葉たち

2013-03-27 13:48:41 | 歌う

          ARUKI 「あるきだす言葉たち」 DASU

 はじめまして、早稲田短歌会の山階基さん、昨日の朝日新聞夕刊の「あるきだす言葉たち」を読みました。写真のアナタはのんきそうな、面白そうな方に見えますので話かけたくなりました。

★手を引いて抱き寄すごとく真新しい止まれの文字に雪降りかかる

※ 十首詠のはじめの歌、「真新しい文字」は新しい道路標識ですね。あるきだしたアナタに「止まれ」とは。止まりたくないアナタに雪が「止れ」の文字を見えにくくしている。歩き続けてください。

★猫と棲んだことなどはなく喜びかたも嫌がりかたもよくわからない

※猫を飼うのではなく「猫と棲む」とは。なるほど「あるきだす言葉」ですね。

★ジャムの蓋かぽんと開いてこれまでの忘れるはずのことよみがえる

※ジャムの壜を開けたのではなく蓋が自らかぽんと開いた、閉じ込められていたジャムが外へ出たくなったのでしょう。

★信号機あれどかそけき十字路に緑と赤の影を伸ばした

※進めと止まれの信号の緑と赤が、十字路に絵を描き詩を書いて、オシャレな歌ですね。

★待つあひだ読んでゐようと手に取ってめくり終はつてしまふ気がする

※この本はアナタには魅力がないのでしょう。私の本かしら。「松井多絵子の本?そんなの知らない」ですか。アナタのことをご存知ない方に、私が昨日知ったばかりの情報を。

 ❤ やましな・もとい 1991年、広島生まれ。早稲田大生。早稲田短歌会所属。
    同人誌「はならび」同人。


朝日俳壇3月25日

2013-03-26 13:37:55 | 歌う

              HAIKU 「朝日俳壇3月25日」 HAIKU

 俳壇の入選句は投稿してから3~4週間後に掲載されるのでしょうか。今週は雛人形の句が目につきます。でもただ一人の女性の選者・稲畑汀子氏は一句も採っていられません、男性選者は合計五句。「あら、まあ」です。お雛様はみな静かな美女ですものね。

<金子兜太選>
★この恋を流したまふな流し雛  (城陽市)  濱田朋子

※この恋は始まったばかりの恋なのでしょう。紅い大輪の恋の花を咲かせたい作者の、熱い声が聞こえるような一句ですね。

<長谷川櫂選>
★雛流す母なる大河遠賀川  (嘉麻市)  江崎義人

※筑紫平野を流れる遠賀川はゆったりと流れていることでしょう。川を母に見立てるのは、胎児の浮かぶ羊水をおもわせるからでしょうか。

★雛壇の雛の刀で遊びし日  (熊本市)  内藤悦子

※雛の刀は鞘に収まり、危なくないオモチャだったのでしょう。怖くない刀がなつかしいですね。

<大串章選>
★雛市の短き橋の混み合へる  (群馬県東吾妻町)  酒井大岳

※ようやく春がはじまる3月のはじめ、外へ外へと出てきた人々が集う。「短き橋」がこの句を元気にしていると思います。

★子に向きを教へられつつ雛飾る  (羽村市)  寺尾善三

※作者は若いパパでしょうか。雛壇に雛を飾るのはヤヤコシイです。父と子の交流が微笑ましい句を読みながら楽しくなりました。 昔々の雛祭りを思い出しながら   松井多絵子


朝日歌壇3月25日

2013-03-25 13:54:04 | 歌う

             ASAHI 「朝日歌壇3月25日」 ASAHI

 オリンピックの選手の4位はさぞ悔しいであろう。3位なら銅メダルを胸に、表彰台に立ち拍手とフラッシュを浴びる。3位と4位の差は僅差の場合が多い。
 今日は朝日歌壇の第4席を採りあげてみたい。3席までは選者の「評」が載ることが多く4席の方たちは残念に思うだろう。しかしオリンピックは4年に一度、朝日歌壇は週に一度、チャンスはいくらでもある。3位以内でなくても☆のお楽しみもあるのだから。

<永田和宏選>
 ❤仮設とう悲しき言葉日常の名詞となりて挨拶交わす  (本宮市) 広川秋男

※「仮設」と言えば通じてしまう。震災の避難者の住宅はまだ寒いことでしょう。仮の住まいに不安を抱きながら暮らす人々に早く春が訪れますように。

<馬場あき子選>
 ❤電車降り家まで歩く時間だけ電話してくる子は毎晩を (摂津市) 内山豊子

※ケータイ電話はとやかく言われますが、限られた時しか話せない場合や身内でも向きあって二人だけで話しにくい場合など、便利ですね、ケータイは。

<佐佐木幸綱選>
 ❤先月まで居た人のいない月になり三人官女ただそこに居る (千葉市) 金子亮子

※2月までいた人がいないとは亡くなられたのでしょうか。あるいは転居、嫁いだのかもしれません。大切な人が身近にいなくなった淋しさ。雛壇の三人官女が効果的ですね。

<高野公彦選>
 ❤桃の日の父は哀しも雪中に愛娘庇ひ庇ひて逝けり (厚木市) 山田芳雄

※あの報道は神話であって欲しかった。何とも悲しく残酷な雛祭り、雪の恐ろしさ。「愛娘」は「娘」だけでよいのでは。「庇ひ庇ひ」で父の娘への愛が読者に痛いほど伝わりますから。
                                                                                                松井多絵子


深く、短く、眠りたい

2013-03-24 14:07:16 | 歌う

         HARU 「深く、短く、眠りたい」 HARU

❤ うつらうつら会うどの人もどの人も髪には蝶が羽をひろげて  松井多絵子

 「春眠、暁を覚えず」の頃となりました。生活情報誌「リビング」に「睡眠は深く、短くが良い」と書かれています。睡眠が専門の医師・遠藤拓郎先生によれば、3月の睡眠が1年を左右するそうです。「季節の変わり目の睡眠によって、デキる人とデキない人に差が出ます。7時までに朝の光を浴びると体内時計が働き、眠りのリズムが整い、一年を活発に過ごせるようになります」

 この時期に冬の睡眠のクセが抜けないと、春のスタートが遅れ、5月病にもつながる可能性があるとか。さあ、大変。夜型の私は、朝は8時半に起きても、昼間は本を読んでいたら、うつらうつら。「美魔女タイプ」は深く眠るそうで、深い眠りにより成長ホルモンが分泌され、美容と健康が増進するそうです。ぜひ「美魔女」になりたい私は眠りを改善しなければなりません。

❤ 眠りたい、白もくれんの花ばなを見上げていたり見とれていたり  松井多絵子


待つことは楽しい

2013-03-23 14:18:05 | 歌う

         ※※※「待つことは楽しい」※※※

❤ 待たせずに開きし桜の花ばなに今年は酔えず夕べとなりぬ  松井多絵子

 デパ地下のあるケーキの店に並ぶ人々、男性もかなりいる。ケーキの店はたくさんあり、どの店もまるで歌壇のように見える。どれもおいしそうで、すぐに買うことができる店が多い。しかし、特定の店だけに人が並んでいる。何か話題になっているのか、いい味なのか。並んでやっと手に入れたから格別な味なのか。

 今年の東京のさくらは私たちを待たせることなく開花しすぐに満開になってしまった。朝刊に昨夜の上野公園の様子が報道されている。ライトアップが間に合わず、街路灯しかない。「うえの花まつり」は昨年は23日からはじまり120万人が訪れた。開花してから満開になるまで一週間はかかる。このような過去の開花状況が誤算となり、警備体制が整わず花見弁当も食材集めに追われたらしい。

 我が家から徒歩3分のところからつながる遊歩道のさくらは昨日すでに満開、小学校の校庭の桜もほぼ満開、入学式までは咲きつづけてくれないだろう。入学式の思いでのシーンに桜が咲いていない。子供も少ないなんて淋しい。あまりに早く開花し、すぐ満開になってしまった桜を見ながら例年のように心が弾まない。まだお腹が空いていない時に「どうぞ召し上がってください」と目の前にだされた焼きたてのケーキのような気がする。

❤百歳の桜を支える根をおもう我が立つ下のあまたの脈を   松井多絵子