基音から増4度にあたる音がメロディーのときその音の行き先は3種類ある。半音上がるもの半音下がるものそして全音下がるもの。この曲の2小節目に出てくる#11の音は全音下がる音だ。このひとつひとつの音の行き先の必然性がコード進行のカギを握っている。増4度(減5度)の音程に当たる音はその典型ともいえる。完全な全音階的な曲の譜面だと♯、♭はそのルールで表されているけど、そこに半音階のシステムを含む転調があったりするとどっちに書いてもよくなってしまったりもする。エンハーモニックの転換として楽譜上は書かれるし今はたいして誰も問題にしない。半音階が氾濫すれば当然そうなる。べつに音楽の質にかかわる問題ではないけど、やはりメロディーというのはその音がどういう性質の音かどういう進み方をすべきかを把握しておく必要がある。その正解は天性の感覚で掴んでもいいし、勉強を積み重ねて知ってもいい。手段はどうでもいいのだ。ボクの経験だと相当天性の耳を持っている人でもやはりキャリアと勉強の積み重ねがないと細かいところまでは判別できない。音楽の組織というのはそういうものなのだ。音楽というのは自然界のルールに人間の知恵を組み合わせたものである以上持って生まれた感覚をトレーニングによって磨かないと高いレベルには到達しない。音の流れの必然性を感じとる能力はこの典型かもしれない。