時の流れの中に!

少子高齢化の中で高齢者はどう生きて行けば良いのか。

認知症を予防する 安楽病棟 番外

2017-12-18 14:01:46 | 認知症
介護施設の実態を調べ介護に携わる人たちの話す現場の過酷さも知り、少し判ったつもりだったが、本当の実態は分かっていたのだろうか!介護職員の人たちも現場の実態を話しても建前だけで、話したくても話せない事柄もあるのではないか、「安楽病棟:帚木蓬生著書」を読み考えさせられた。


看護大学を卒業後に総合病院に就職して内科に配属となったが、二年目に新しく出来た痴呆病棟の異動を城野看護婦は希望した。
城野看護婦の成長物語かと思われたが、内容は患者一人ひとりのエピソードが占めていた。認知症に関心を持っている人間の視点で物語を見つめてみて、文章の中から抜粋しました。

入浴
湯船の中に肩まで沈めるのもひと苦労します。三田くんが相良さんの肩を押していると、お湯の上にぷかりと何かが浮かんだのです。初めは三田くんも何だか分からずじっと眺めていました。水面にうんこがひとつ浮いているのです。

当直の夜
自分は二十三歳の娘だと思っている永冨さんのベッドにもうひとり、男性が乗っています。室伏さんです。永冨さんは夜間はめている紙おむつを半ばはずし、室伏さんはパジャマを下におろし陰部が丸見えです。「はい、もうデートは終わり」わたしは試合終了を宣言するように言います。

妊娠 
八号室に行くと、佐木さんはベッドの上で苦しんでいます。「腹がふくれとる」佐木さんは腹を撫でながら訴えます。「三月に襲われて、あやまちの子ができた」わたしは耳を疑って、もう一度訊き返しました。「間違いなか、おろしてくれ」はっきりした声で答えます。「分かりました、その前によく診察をしないといけません」調べると単なる便秘のようです。病床日記で排便状態を確認します。下剤は飲んでいますが、三日間排便はありません。便秘四日目には適宜浣腸の指示が出ています。「じゃ、おろしますよ」「あんたおろせるとか」「大丈夫です」わたしは大真面目に答え、佐木さんの腰の下におむつをあてがいます。「佐木さん向こうをむいて下さい。そしてお尻を出してくださいね」「何ね、麻酔はかけんとね」「麻酔はかけなくてもよさそうですよ」そう言いながら、浣腸の先端を肛門に押し込みます。「いいですか、このままじっとしておくのですよ、すぐ終わりますから、気持ちが悪くなっても動いてはいけません。」おむつカバーでぴったり覆ったあと、佐木さんの気をそらすためにいろいろと話しかけます。「さあ佐木さん、もう我慢をしなくてもいいです。思い切り力を入れて、お腹のものを出して下さい」やがて便の臭いがし始めます。おむつをはずしてみましたが、少量の粘稠便しか出ていません。「まだですよ」わたしは言いながら、プラスチック手袋をはめて、肛門に人差指をさし込み摘便を試みます。指先に硬便が触れました。「赤ちゃんが出かかっていますよ。はい力んで」左手で下腹部をマッサージしていると便が下がってきました。それをかき出し、もう一度力ませます。すると、腸に溜まっていた便がどっと噴き出します。部屋一杯に臭いが広がりますが、他の患者さんはホールに出ているので実害は出ません。未消化物はありません。三、四日分の量です。

まだまだエピソードは続きますが、これぐらいにしておきます。これらの出来事は考えたことはなかったが、有りうる話だと思います。普通の人には想像出来ないのが認知症の世界なのかも知れません。

※これだけで本の紹介にすると作者から文句がくるかも知れません。これはミステリー小説なのです。最後に解き明かされる痴呆病棟の謎、これはこれで考えさせられる結末でした。


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