とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

古典の参考書第9回「玉の緒よ絶えなば絶えね ながらへば忍ぶることの弱りもぞする」

2022-04-11 10:07:04 | 国語
 この歌は、後白河法皇の娘であった式子内親王が詠んだものです。新古今和歌集と小倉百人一首に収められているとても有名な和歌です。

【品詞分解】
玉の緒   名詞
よ          間接助詞
絶え       ヤ行下二段活用「たゆ」の連用形
な          強意の助動詞「ぬ」の未然形
ば          接続助詞
絶え       ヤ行下二段活用「たゆ」の連用形
ね          強意の助動詞「ぬ」の命令形
ながらへ              ハ行下二段活用「ながらふ」の未然形
ば          接続助詞
忍ぶる   バ行上二段活用「しのぶ」の連体形
こと       名詞
の          格助詞
弱り       ラ行四段活用「よはる」の連用形
も          係助詞
ぞ          係助詞
する       サ行変格活用「す」の連体形

【現代語訳】
(私の)命よ、絶えるのならば絶えてしまえ。このまま長く生きていれば、耐え忍ぶ力が弱って(心に秘めた恋がばれて)しまいそうだから。

【助動詞「つ」「ぬ」の強意の用法】
 完了の助動詞「つ」と「ぬ」は、もう一つ「強意」の意味になるときがあります。どういう時に「強意」になるのでしょうか。
 結論を言うと、下に推量の助動詞(む、べし、など…)がついていれば「強意」になります。まだ事実として動作が完了していないときは「完了」にはならないので「強意」なのです。ですから、
  てむ
  なむ
  つべし
  ぬべし
 のパターンで出てきたときの「て、な、つ、ぬ」は強意になります。ここで出てきた「なば」は順接仮定条件です。仮定であるとうことはまだ事実として完了はしていません。ですから「強意」です。
  てば
  なば
 も「強意」になるのです。

【もぞ、もこそ】
 「もぞ」「もこそ」は「~すると困る、大変だ」という意味です。
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