とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

映画『ドライブマイカー』を見ました。

2022-02-06 13:12:54 | 映画
 映画『ドライブ・マイ・カー』を見ました。3時間という時間にビビっていたのですが、長さを感じさせません。苦しみの中でも自己を見つめていきていくことの意義を描く名作です。高く評価されて当然だと思いました。

監督 濱口竜介
出演 西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、パク・ユリム

 主人公の妻はセックスの後に不思議な物語を語る。主人公はその話を聞く。しかし妻はその話を覚えていない。次の日に自分の物語を主人公に語り直してもらい、それを自分の作品とする。

 自分のことは自分では一番わかっていません。それなのに自分のことが一番わかっていると思い込んでいます。しかしある時ふと自分のことがわからないことに気づいてしまいます。不安になり、自分を信じられなくなります。それがさまざまな苦しみにつながります。生きていくためには自分をとりもどす必要があります。

 演劇は他人の書いた脚本を演ずるものではありません。自己を見つめる作業です。脚本は題材にすぎません。その題材の中で自分はどういう心になるかを見つめる作業なのです。ですから役者が違えばまるで違う表現になります。演出家の作業は演技の指導をするのではありません。それぞれの役者が、ひとりの人間として何を感じ、何を伝えるか、その心を開かせる人です。そこに演劇の真実が生まれます。

 この映画は役者ひとりひとりが、演じる人間を自分のものとしていきます。観客はその過程に参加し、そして自分も自分を見つめ始めるのです。

 すばらしい映画でした。名作です。

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