「源氏物語を読む」シリーズの13回目。「明石」です。自分の備忘録として書き残しておきます。
・事態は好転
光源氏は明石の入道に誘われて明石に移ります。なぜか明石の土地は明るい雰囲気が漂っています。この帖ではさまざまなことがどんどん好転していきます。そしてそれは故桐壺院のおかげのように描かれています。
・夢のお告げ
物語を展開しているのが、夢のお告げであるのも物語的です。亡き桐壺院が源氏の夢に出てきて未来を予告します。桐壺院にとって源氏は息子ではありますが、一方では自分の妻と関係を持った間男です。しかもその子が東宮となっているわけですから憎いはずです。桐壺院は死んでしまったので、源氏の罪もはっきりとわかると思われるのに、ここでも源氏のために動きます。このあたりはご都合主義のようにも思えます。
・明石の姫君
入道は源氏を邸に迎えて手厚くもてなします。そしてその娘と契ります。この事を源氏は紫の上に手紙で伝えてしまうのです。これはひどい。このあたりの感覚がわかりません。当時の人はこれをどう読んでいたのでしょう。素直に受け入れたのでしょうか。
・右大臣家の没落
そういしているうちに、源氏にとっての目の上のたん瘤である右大臣が亡くなります。そしてその娘であり、源氏の敵でもあった弘徽殿大后も病に倒れます。朱雀帝も夢で桐壺帝に叱責され眼病を患ってしまいます。かわいそうなのは朱雀帝です。朱雀帝こそ何にも悪くないのに、こんな仕打ちをうけるなんて。朱雀帝はついに源氏の召還を決意します。
・明石の姫君の悲劇
晴れて源氏は都へ戻ることになりましたが、その頃既に明石の御方は源氏の子を身ごもっていました。かわいそうなのは明石の姫君。こんな形でお別れというのはあまりにひどい。やっぱり光源氏は何をしてもトラブルメーカーです。