とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

内容のないロジック(『ねじまき鳥クロニクル 第1部泥棒かささぎ編』を読みました。その2)

2021-01-11 11:31:39 | 村上春樹
 村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル 第1部泥棒かささぎ編』を読みました。心に引っかかったところを書いておきます。

 「私」の妻の兄は「綿谷ノボル」と言います。その綿谷ノボルについて「僕」は次のように言います。
 
 綿谷ノボルはそういう意味では知的なカメレオンだった。相手の色によって、自分の色を変え、その場その場で有効なロジックを作り出し、そのためにありとあらゆるレトリックを動員した。レトリックの多くは基本的にはどこかからの借り物であり、ある場合にはあきらかに無内容だった。(中略)大多数の人間がどのようなロジックで動くものかを実によく心得ていた。それは正確にはロジックである必要はなかった。それはロジックに見えればそれでいいのだ。大事なことは、それが大衆の感情を喚起するかどうかなのだ。

 「綿谷ノボル」のような意味のない人間が、今の世の中どれだけ多いか。そしてそういう人物が権力を持つような世の中です。かれらは自分が「知性」を持っていると考えています。不思議な自信を持っているのです。

 無意味なロジックに気づき、本当のロジックを持たなければなりません。勇気をもって戦わなければならないときもあるのです。
コメント
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