まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

ヘンな仲間の読書会

2011-02-22 15:22:41 | 哲学・倫理学ファック
高校の先生たちとカントの読書会を開いています。
数ヶ月に1回のペースですが、最初は 『純粋理性批判』 の序文と序論を読み、
今はカントが晩年に書いた論文 「理論と実践」 を読んでいるところです。
ぢゅんちゃんがその様子をブログに書いてくれたこともありました。
現在、この読書会は4名でやっております。
私以外の3名はみんな高校の先生なのですが、
その構成がちょっと変わっています。
ぢゅんちゃんは公民の先生なのでそれはまあいいでしょう。
もう1人は地歴科の先生です。
特に世界史を中心に教えています。
彼が地歴公民学習研究会で、フランス革命に関する授業の報告をしてくれたときに、
それにインスパイアーされて、カントのフランス革命論や世界史に関する議論が含まれている、
「理論と実践」 を読もうということになったのでした。
彼は福島大学教育学部出身で私の教え子でもあり、
卒論ゼミは世界史でしたが、私の授業も一通り取ってくれて、
当時あった 「倫理学特講」 という授業でカントを読んだこともあったので、
世界史の教員とはいっても、カントの読書会に出てみようと思う素地は持っていたのでしょう。
カントの歴史観、歴史哲学というのは相当変わっていますので、
現代における歴史教育にとってどれほど意味があるのかよくわかりませんが、
この読書会が彼の歴史観を深めるのにいくらかでも役に立ってくれるといいなと思います。

そして、もうお一方は、私と同い年の国語の先生です。
彼とは長い付き合いで、上述の地歴公民学習研究会で私がアーレントについて発表したときに、
初めて顔を出してくれて以来、その研究会にずーっと来てくれています。
何度かご自分が発表もしてくださっています。
研究会後に行われる恒例の打ち上げでは、
彼が長年培ってきたネットワークをフル活用してとてもいい店に連れていってくださるので、
ほとんど今では 「2次会のドン」 ともいうべき重要な存在となりました。
それにしても国語の先生なのに彼はなぜ地歴公民学習研究会に来てくださるのでしょうか?
彼の関心はものすごく広く、かつ、その思索がものすごく深いので、
おそらく国語という教科のなかだけでは彼の考えていることが収まりきれないのでしょう。
国語を教えるための素材として現代文を読むだけでなく、
そこに書かれている内容に深く入り込んでしまうがために、
哲学、倫理学、政治学、社会学等々の学問内容にも立ち入らざるをえないのではないでしょうか。
じっさい、今読んでいる 「理論と実践」 に関しても、彼が一番面白がって読んでくれています。
彼の現在のテーマである共同体とか共同性という問題に、
カントの議論が深く突き刺さるものがあるのでしょう。

実は彼は 「山川仙人」 というお名前でブログも開いていらっしゃいます。
一度、こちらでもご紹介しようと思っていましたが、
どの記事も、私が書いているような軽薄な文章とはちがい、
奥深く鋭く、そしてとても高度な内容なので、
私のブログのこのノリのまますんなり絡んでいくことができずに、
今までご紹介することができませんでした。
私のブログではもの足りず、むしろ最近ではぢゅんちゃんのブログに入り浸っているという人は、
ぜひ山川仙人さんのブログをのぞいてみることをオススメします。
(というか、そういう人はとっくに山川仙人さんのブログにたどりついていることでしょう)
逆にぢゅんちゃんのブログもときどき難しすぎてついていけないと思っている人は、
山川仙人さんのブログにはまったく歯が立たないだろうと思います。
それにしても大学教員 (しかも哲学・倫理学!) のブログよりも高校教員のブログのほうが、
内容が高度だというのはいったいどういうことでしょうか。
福島の高校、レベルが高すぎるぞっ!
私ももうちょっと彼らを見習って、日常の小ネタばかりでなく、
もっと中身のある深い話をたまにはできるようになりたいと思います。

とまあ、こんなヘンなメンツに囲まれて読書会をすることができるなんて、
とても幸せなことだなあと思うのでした。
ところで、こんな私が急に高度で難解な話なんてできるわけありませんので、
とりあえずは山川仙人さんをめぐる小ネタを近々ご紹介したいと思います。