新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

アメリカとヘリコプターを振り返ってみた

2023-04-12 07:48:45 | コラム
我が国とアメリカにおける物事の在り方の違い:

畏メルRSが友国土交通省・交通局が発表した2015年~2023年間の飛行機とヘリコプターの事故件数を知らせてくださった。それによると、飛行機の86件に対してヘリコプター25件と事故全体の22%ほどになっていた。深い慮りなく言えば「ヘリコプターの事故って多いのだな。それほど危ない乗り物なのかな」と感じてしまった。

ところが、昨日も取り上げたようにウエアーハウザー在職中には数え切れないほどは大袈裟だろうが、何かと言えばヘリコプターを利用して移動していたのだった。そこには「アメリカは国土が広すぎる」ということもあるが「空を飛ぶことが非常に合理的な時間の節約になるから」と言う考え方が優先されていると思う。

どれ程合理的かとの例を挙げてみよう。シアトル空港に成田から朝8時に到着されたお客様を、そこから空港敷地内の当社の格納庫に移送しヘリコプターで200km南の工場までご案内しても、未だ午前10時前後。午前中は工場を見学して頂き、工場長他の技術陣と昼食を囲んで懇談しても、午後4時にはシアトル空港に悠々と戻れて、シアトル市内のホテルにあらためて車でお送りできるのだ。よほど旅慣れ場おられないとかなり強行軍だが、これぞアメリカ式合理主義の発露だと思っている。

時には空港から工場に直行せずに、600万エーカーと称する我が社の社有林の上空を1時間近くも飛んで「森林資源はこのように充分に確保してありますからご安心を」と宣伝することもできるし、太平洋沿岸まで遠回りして観光にご案内もできるのだ。車で2時間走っても良いじゃないかとの意見もあるが、アメリカ独特の現象で、途中には何も見るべき景色はなくただただ殺風景のフリーウエイを走るだけで退屈なのだ。

如何にも手前味噌的な合理性を挙げておくと、CEOジョージ・ウエアーハウザーの邸宅の庭にはヘリコプターの発着場があり、出張の場合にはそこから空港の自社の格納庫まで飛んで自社のジェット機で目的地に向かうようになっている。「贅沢じゃないか」などと言うなかれ、「時間給にすれば数百ドルにもなる人物を空港でチェックインの列に並ばせるのは時間と経費の無駄遣いだ」というのが、アメリカの経営者の考え方だ。

こういうアメリカ式の合理主義を見ていて、少しは経験して感じたことは「ヘリコプターという存在は飛行機の範疇にはなくて、寧ろ『空飛ぶ自動車』的な感覚で捉えて活用しているのではないだろうか」だった。大手の企業では当然のように、このようにして利用し活用しているのであるから、高額な年俸を稼ぎだす大谷君のようなプロ選手がチャーター機を利用するとか、自家用ジェット機を持つようになるのは贅沢でも不思議ではないだろう。

経済的な要素もあるが、そこにはアメリカという我が国では想像もできないような国土の広さと、如何にして大人数と大量の物品を長距離移送するかを合理的に考えて、自前の飛行機を利用するのがアメリカであると思ってみている。だが、アメリカとの比較では国土が狭く、山岳と丘陵地帯が多くて気象条件が宜しくないと聞く我が国には、ヘリコプターには向いていないのかな、などとつい考えてしまう。

また、シアトル郊外の湖水に来てみれば解るが、往年でも1億円以上の湖水に浮かぶ家で暮らし、移動は水上飛行機という人たちもいれば、そこからクルーザーを持って対岸のワシントン大学のフットボール場に試合を見に来る人もいる。また、カリフォルニア州のナパ・バレーの空港内の有名なステーキ屋には、自家用の小型機で飛んで食べに来る人たちが数多くいるのもアメリカだ。これだって、贅沢と言うよりも彼らの合理主義だと思っている



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