新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領の一般教書演説

2018-02-01 08:56:05 | コラム
The State of the Union Address (Message):

この見出しを噂の「広辞苑」で見ると「米国大統領が念頭に議会に送るメッセージ。内政・外交全般にわたって情勢を分析し、政策について具体的な勧告を行う」とある。なるほどその通りで、トランプ大統領にとっては初めてのことだったが、彼の独自色が些か希薄だという印象があったが、そういう趣旨のものだと思って素直に報道を聞いていた。ある意味では解りやすい内容だと感じた。

いきなり英語論だが、どうしてこの英語表記が「一般教書」乃至は「年頭教書」になるかと不思議に思っていた。だが、何かに解説してあったところでは stateは「状況を示す」のであって、United Statesの stateではないらしい。何れにせよ、こういう訳をする方は素晴らしいのか、何かに気を遣っておられているのかと何時も感心している。私はこの種の最悪の傑作が United Nationsを「国際連合」だと思っている。

さて、トランプ大統領の演説である。スピーチライターの手になるものだと思って聞いていたが、プロンプターが何処にあるのか解らないような画面で、大統領がそれを読んておられる気配は余り見えなかったが、よく見ると視線はほとんど下か斜め下に向いているようだった。言葉遣いは流石に日頃の天衣無縫というか38%とか言われているプーアホワイト如何に向けた語り口とは違って、大統領らしいものだと聞こえた。

意外だったのは強調したいだろうところでも、声を張り上げることがほとんどなく、ここぞと思われただろうと着に上を向いて「どうだ」という表情で反応とスタンディング・オベーションを待っておられただけだった点だ。

産経には重要な諸項目に関しては原文との対訳が載っていたが、表現の仕方は穏やかな英文だと思って読んだ。その全体の内容の印象は専門家にお任せするが、基調は飽くまでも「アメリカファースト」と「アメリカを再び偉大に」で貫かれており、これまでの諸政権との施策とは異なる点を明言した辺りは如何にもトランプ氏らしさが出ていて印象的だった。

余計なお世話かも知れないが、私はトランプ氏が Make America Great Againを唱えられた時に「それを言うと、そのコインの裏側では現在のアメリカは偉大ではなくなっていることになる」と皮肉ったのだ。だが、果たして現在のアメリカは好景気に沸き、株価が上昇の一途で、失業率も著しく低下して、「偉大なる方向」に進んでいる。

そういう状態にあればこそ There has never been a better time to start living the American dream. などと言われたのだと思って聞いていた。さらには The era of economic surrender is totally over. From now on, we expect trading relationships to be fair, and very importantly reciprocal. という件もNAFTAやFTA等に関する「決意の表明」として印象的だった。

DPRKの脅威に対するところにかなり長時間を費やされたのも、さもありなんと思って聞いた(「読んだ」と言うべきかな)。あれほど協調されていた不法移民問題でもDACAの緩和(なのだろう)に触れておられた辺りは民主党に対する配慮か譲歩かなとも聞こえた。

純粋に個人的な感想を言えば「矢張り、11月の中間選挙をかなり意識されていたようだとの印象が濃厚だった。日頃からこの演説のような大統領らしい品格を備えた英語で(Twitterのような俗受けを狙わずに)語っておられれば、より尊敬できる大統領になっておられたのかも知れないな」という辺りになる。



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